◆ 機関車遊び ◆
最後の一押しは立ち読みした1冊の雑誌に掲載されていたあるレイアウトでした。鉄道模型趣味2004年8月号小泉宣夫さんの「アリアケセントラル」です。ずんぐりむっくりしたプロポーションの蒸気機関車や客車がぐるぐると回る国籍不明のレイアウトの可愛らしさにノックアウトされました。
鉄道模型はどれも1両うん万円の車両ばかりだろうと思っていたのに、調べてみると数千円で動力車も手に入る模様。なんだこんなに安いんだ、と価格に対する思い込みをおもいっきり壊されました。
森博嗣さんの「欠伸軽便鉄道 弁天ヶ丘線」レポートや、「ミニチュア軽便鉄道」を読んでいて、遊ぶのなら大き目の模型が良いと思っていました。「アリアケセントラル」もそうでしたがバックマンというメーカーのOn30というサイズがよさそうです。
丁度パーフェクトグレードのガンダムMK2を数日掛けて形にして、手を動かす楽しさを数年ぶりに感じていたころで、もっと他に楽しいことはないだろうかと探していたこともあり、何より自分で動いてくれるのがとっても楽しそうだと、鉄道模型の世界に足を踏み入れる事を決意。「可愛らしいし、思ったより安いし、買っちゃおっかな」くらいの決意ですが・・・。
<何が必要なの?>
レールも車両も出しっぱなしで、いつでも遊べるようにしたい。遊ぶのは幅150センチのパソコンデスクの上、液晶モニタ、ミニコンポ、CDラックが乗っているので、使えるのは端の4,50センチくらい。レールはエンドレスにして機関車がぐるぐる回れるようにしたい。とどうやって遊ぼうか、どこに置こうかといろいろ条件を挙げていきました。それと同時に何が必要かをリサーチ。
重要な縮尺ですが、150分の1のNゲージは小さすぎるし、87分の1のHOゲージもまだ小さい。というよりどちらも車両が長すぎる感じがします。25分の1のGゲージの車両のスタイルがものすごく好みですが、このゲージは予算オーバー。小泉さんの「アリアケセントラル」や森博嗣さんの「欠伸軽便鉄道」でも取り上げられている45分の1くらいのOn30というゲージが僕好みのスタイルの車両が多く、価格もお手軽のようです。線路もHOゲージの16.5mmのものが使えるようですし、参入するゲージはOナローに決定。
車両は電気で動いているらしい、車両と線路のほかに「パワーパック」とやらもいる模様、既製のカーブレールは半径が大きすぎるため、狭い机の上に丸い線路を引くには、フレキシブルレールという奴でないとだめらしい・・・。と必要なものがわかってきました。がしかし、線路同士の接続には何を使う?給電方法は?線路の曲げ方は?とまだわからないことが多々。
ま、あんまり考えていても始まらないとModels Shimaというサイトでバックマンのポーターとカブースを注文。中古のパワーパック、ジョイナー、フレキシブルレールも何とか見つけて買ってきました。
しかし買うのに一番苦労したのがフレキシブルレール、Oナローのレイアウト記事やサイトを見ると大概「PECO社のOナロー用」というのを使っています。鉄道模型趣味にも広告が出ていますが、売っているところがわかりません。「PECO製品取扱店」と広告を載せている模型屋さんに何件も行ったり、電話をして聞きましたが「Oナロー用」を取り扱っているところはありません。あきらめて篠原模型の「HO用ローカル」というのを買ってきました。普通のHOレールと比べると枕木の間隔が広くなっているそうです。
あちこちで買い物を済ませ後は車両が届くだけとなった8月の終わりに商品が到着しました。0−4−0のポーターと、赤いカブースの2台です。
<試行錯誤>
デザインは3種類あってどれにしようか悩みました。キャブ(後部の運転者の乗る小さな部屋)の窓枠が赤くなっているものとこれと何日か考えて今回はフォントで決めました。「リトルリバーロギング」。余裕が出てきたら、デザイン違いも欲しいと思います。
給電方法にも少し悩みました。ハンダでケーブルをレールにハンダ付けするようですが、ハンダゴテがないので、サイズ違いですが、大丈夫だろうとNゲージ用のKATOの給電ジョイナーを買いました。まっすぐのまま食卓に置いたフレキシブルレールの端っこにジョイナーを無理やりにはめて、ケーブルをパワーパックにつなぎます。亀の子を線路の上に置いてコントローラーをひねると小さなモーター音と共に機関車が進みます。ヘッドライトも鈍く光ります。カブースを連結して2両で往復運転をしばし楽しみました。
次の課題は線路を円形にすることでした。
目標は机の上にのる半径15センチから20センチ。フレキシブルレールを自然にたわませるのでは到底そんな急カーブは作れません。「枕木をはずして手で曲げる」しかないかなと、枕木を全てはずしました。折れ目がつくと台無しですので、気をつけて少しずつレールをたわめていきます。目標とする半径15センチの円を新聞にマジックで書いて、時折加減を確認しながら曲げていきました。レール2本のうちはじめの1本をやっと円状にして、これじゃぁ時間がかかりすぎると、大きな丸いものを探しました。
半径15センチー20センチという都合のいいものは見つかりませんでしたが、半径7、8センチの小さい缶を台所で見つけました。この曲線に合わせながら2本目のレールを曲げて行くと1本目よりはるかに用意にレールが円になっていきます。図ってみると半径17,8センチくらいのエンドレスになりそうです。
レールが2本とも円になると今度ははずした枕木にレールを通していきます。枕木は4,5本ずつが組になっていますが、小さな半径のエンドレスでは間隔が不自然になってしまうのでこれを2,3本ずつ切り離してから通しました。
枕木に通し終えると端をジョイナーで接続して半径17センチ弱のエンドレスの完成です。すぐに機関車とカブースを線路に乗せて走らせて遊びます。コントローラーをひねるとあとは手放しでいつまでも走っています。小さな明かりをつけて走る姿を随分長いこと眺めていました。
<TMSスペシャル発見>
千葉の実家に帰省したときに「TMSスペシャル」を見つけました。森博嗣さんの「あくび軽便鉄道」が掲載されています。レイアウト真ん中のデルタ線のある線路配置が魅力的です。
他にも可愛らしい車両を幾つか「TMSスペシャル」で見つけました。どちらも偶然車体は赤色の塗装です。1枚目は木製橋を渡る0−4−0のポーター。ずいぐりむっくりしたスタイルが可愛らしいと思いました。「レッドグース」と名づけられて今いたが、ポーターの後ろに客車がドッキングした不思議な格好。
<エンドレスをぐるぐると>
全速力で走らせたり、超スローにしてみたり、出勤前と帰宅後は毎日この編成を走らせて楽しみました。一度コントローラをひねるといつまでもぐるぐると走っている姿を眺めていられるのが楽しい。この趣味にこれまで関心を向けていなかったのがもったいないほど。
いろんな時間にいろんな角度で写真を撮っていたつもりでしたが、取り込んでみると皆おんなじような写真でした。機関車遊びに夢中になって、自分が可愛らしいと思う角度でばかり撮っていたようです。この楽しくて仕方がない時間がどれだけ続いてくれるか・・・楽しみです。
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