一方,重電三社の1999年度中間期の収益の発表がありました。日立は,[99年3月締めの]98年度[の決算]で大きい赤字を計上しましたが,今年度[99年度中間期]は相当に回復した模様。東芝は例のフロッピーのドライバーの件で数千億円に上る大規模な賠償金を支払うことになったため,赤字で,通期でも大幅な赤字でしょう。それに対し,三菱電機は,マスコミには谷口社長の中期計画が内容を伴わないと言って叩かれているものの,何とか赤字と黒字のすれすれを行っているようです。これも,重厚長大の産業界にとり目出度いことです。
でも,ニュースは表面つらで読んではいけません。なぜ,99年3月の決算であれだけ膨大な赤字を出した日立が,たったの6ヶ月で黒字になるか。要するに,営業外の収益で黒字にしている。営業外の収益とは何かというと,資産の切り売りです。
たとえば,株式を売却する(これは,株式の持ち合いを解消することがナウい当今の世情にも合致しており,好ましい処置と評価されるでしょうが,元々,取得価格が大変安い株式を現在の「外資と金融会社がはやして高騰させている」19,000円を越えなんとする現在の株価では,利益が出るのは有りがたい。本当は「含み益」を[新の制度での]決算に計上できるのだけど,これを確定させているわけ。それと,保養所や社宅などの不動産を処分する,など,いわば,「タコが自分の足を食べる」のと同じことではないでしょうか。
これは何も重電3社に限ったことでは有りません。ですから,ニュースは裏まで読みましょう。
それと,非常に大きい恐怖は 「東芝の訴訟問題」ですね。なんと,1千億円の賠償金を支払うという。しかし,これでも安いほうで,この和解をしなければ九千億円以上の罰金を支払う必要になる可能性があったという。この集団訴訟は,まだまだ続いており,東芝がOEMしているPCメーカーに対してもこの訴訟が適用されそうであるし,そうすると,東芝はこれらのOEM会社から反対に損害賠償を請求される可能性があるわけで,一体いくらの賠償金を支払わなければならないのだろうか。
株式を持っているわけではないが,やっぱり心配である。あんまり日本をいじめないで,と言いたいけど,この集団訴訟のリーダーを勤める弁護士は,「たばこ訴訟」を勝ち取った辣腕弁護士であり,日本の企業だけではなく,米国の企業もやり玉に上げているのだから,日本の企業も世界規模に発展しているとして喜ばしいことだという結論にしておこうか。