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球の時代

1973年、TDKは従来の二酸化クロムを超える、AVILYN磁性体を開発しました。
AVILYNは、AUDIO、VIDEO、INDUSTRYからの造語とされ、当時世界最高の保持力を誇りました。

1978年に発売したTDK初のVHSテープも、もちろんAVILYN磁性体を採用。120分で4800円の高級品でしたが、ベータとのビデオ戦争を経て、ビデオテープはコモディティ化して行きます。そして多くの一般家庭にVHSデッキが普及しはじめた頃から、VHSテープのデザインも変わっていきます。

店頭で他社品よりも目立つTDKビデオのシンボルとして球体が登場するのは1989年のモデルから。最初はまだ完全球体ではなく、立体バッジのようなワンポイントデザインでした。
球体が主役となるのは、1990年のモデルからで、毎年のようにモデルチェンジをくり返し、球は進化して行きます。そして最後の球体となったのが、この2001年のモデルです。

背景を真っ白に飛ばし、炎を纏った球だけが浮かんだシンプルなデザイン。商品名さえもが後ろに追いやられている構成は、雑誌の表紙レイアウトからの発想でした。


ちなみに、ビデオテープのパッケージデザインが横置きになっているのは日本だけで、海外では縦デザインが普通です。売場の陳列方法が違うためなのでしょう。このころから、売れ筋商品はより高画質のHGから、価格が手ごろでくり返し録画できるHSにシフトしたこともあり、球の色は海外と統一してより目立つ赤玉がHS、HGは青玉に入れ替わりました。気付いた方はいらっしゃるでしょうか。

その後、時代はDVDやBDでの録画に全面的にスイッチしましたが、このモデルは2015年2月に生産終了するまで15年間販売され、TDKのコンシューマメディアとしては一二を争う超ロングライフ商品となりました。


WORKS

● ビデオテープ HS、HG、XP:
・アートディレクション:井澤 正(TDK)
・実施デザイン:高橋 敏(IFF COMPANY)2001年