From LongTimeRiders YahGo!Go!! First Up Load 010329

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テレレバー
普通とちょっと違うフロントフォーク 
  BMWのフロントフォークは一見すると普通のバイクのフロントフォークと同じ形をしています。
  ところがよく見てみると普通のバイクと違うところがあります。
  トップブリッジはありますが、ダウンステムはありません。
  そしてタイヤ、フェンダーの上から車体にA型のアームが延びていて、
  車体の奥にサスペンションが覗いています。
  このサスペンション機構、BMWの登録名称「テレレバー」といって、
  スイングアームとテレスコピックを足して2で割ったようなイメージです。
  普通、バイクのフロントサスはテレスコピック方式が主流です。
  テレスコピックとは”望遠鏡”の意味で
  アウターチューブとインナーチューブの動きが
  望遠鏡のズームのように伸び縮みすることからこう呼ばれています。
  サスペンションのスプリングはチューブの中に内蔵されています。
  そしてチューブ内のオイルがダンパーの役目を行ってます。
  一方テレレバーはパイプ部分にはスプリングは入っていません。
  (オイルは入っているがダンパーの役目までは果たしてないという話を聞きました。)
  サスペンションはあくまでもAアームの奥にある1本のショックユニットです。
  パイプチューブはタイヤの動きをトレースさせるレールの役目をしています。
うまく説明できるかな?   図AA ↓
B トップブリッジ 、 C ダウンステム
 角度固定
A Aアーム車体側 、 B トップブリッジ
C Aアームフォーク側 、  角度可動
  テレスコピックとテレレバーの写真を見ながら説明します。(図AA)
  両者ともBはトップブリッジ、Cはダウンステムです。
  (テレレバーはこの言い方が正しくないと思いますがとりあえず・・。)
  テレスコピックはB、C共にフレームに固定されている状態です。
  サス可動部分はテレスコピックはCR間、テレレバーはBC間です。 
  なのでテレレバーはBは車体に角度固定されてますがCは角度固定されていません。
  代わりにBCの支点としてAが車体に固定されています。
  そしてテレレバーはBC間の長さが変化するため
  角A、B、Cともに角度が変えれることが必要になってきます。
  だからBCのジョイント部分はボールジョイントが使われています。
  (ステアリング操作のため角度の自由化が必要なので・・。
  形としてはシフトペダルのピロボールみたいなものを想像してください。) 
故に・・
  テレレバーには特有の(テレスコピックとは違う)動きや整備時の注意があります。
  まずは整備時の注意ですが、トップブリッジを外すときには
  必ずフロントをジャッキアップしなければいけません。
  またジャッキアップしてもトップブリッジを外したときに
  浮いているフロントタイヤの重さでフォーク自体が
  メーター側に落ち込む(?)事が考えられます。
  以前は個人整備でバイクのフォークオイル交換などやっていましたが
  テレレバーに関してはモータースに全て任せたほうが無難でしょう。
図BB 辺AB 辺ACの長さは一定
赤の辺BC 低荷重時
黄の辺BC 高荷重時
(ブレーキングなど)のフロントフォーク
  次に動きについてです。
  上の図を見てわかると思いますが(図BB)テレレバーはキャスター角が変化します。
  一般にバイクのキャスター角は立ってるとコーナリング重視、
  寝ているとクルージング重視と言われています。
  でもコーナリング中にフロントブレーキをかけるとバイクは寝てくれません。
  寝ていたバイクも、アウトにはらみそうになってしまうぐらいに起きてきます。
  フロントブレーキをかけるとキャスター角は立ってくるのになぜ曲がらなくなるのか?
  それとも加速時と減速時では作用が逆になってしまうのでしょうか・・?

  そういった力学的なことは根本健さんに任せたいと思いますが
  どうやらこのキャスター角の変化があるからこそ
  テレレバーのバイクはコーナリング中のブレーキも
  割と無頓着になれるような感じがします。
  (相対的に言ってフロントのノーズダイブよりリアのホップアップの方が目立ちますので
  車体に対するキャスター角は立っているのでしょう。
  だからブレーキング時には多少はアウトにはらむような気がしますが、
  それでも普通のテレスコピックに比べると安定している気がします。)
  動きでRSについて(R1100RSも)もう1つ・・。
  RSではトップブリッジ側のボールジョイントはステムナットの部分にあります。(下左)
  そしてキャスター角が変化するとトップブリッジ面の角度が変わり
  結果的にハンドル垂れ角の変化となります。
  フロントフォークが縮むと垂れ角はきつくなります。
  これは結構困ったもんで、例えば
  メインスタンドをかけてブレーキレバー等を丁度良い角度に調整しても
  メインスタンドを降ろしたら、きつい角度になってしまったり、
  メインスタンドをかけた状態では当たらなかったホーンスイッチが
  メインスタンドを降ろしてハンドルを左に切ったとき当たってしまい
  ホーンが鳴ってビックリしたなんてことがあります。
  (K1200のホーン音は威嚇的であまり好きな音じゃありません。)

  ハンドルが大きいタイプのテレレバー車には、これはいただけません。
  そこでR,、GS、RT、LTなどはボールジョイントがフロントフォーク上端にあります。
  こうするとトップブリッジの角度が変わることはなくなるわけです。
  この機構を”アンチスクワット””アンチチルト”と言うそうです。(図CC)  
図CC
結果(利点と欠点)
  テレレバーの利点と欠点を簡単にまとめました。
  新しく考案されたフロントフォークですが利点と共に
  今までの感覚から言って欠点もある事は否めません。
  利点
  @フロントフォークBRに対するCR間が短いので(図AA)過減速でホイールがブレにくい。
  Aフロントブレーキをかけてもノーズダイブがほとんど無い。
    (テレスコピックは減速Gが図AAでR→C→Bとフロントフォークを縮める方向に懸かるが
    テレレバーは減速Gが図AAでR→C→Aと懸かるためにサスが縮む方向に懸からない為。)
  Bコーナリング中のブレーキングも割と安心。
  欠点
  @アンチスクワットアンチチルトが無いため細かい路面のギャップでは(例えばゼブラゾーン)
   グリップ部分が細かく振動する。
  Aノーズダイブが無い代わりにリアのホップアップが大きい。
   (フロントブレーキを掛けながらの停車ではシート高が高くなるので足付きが悪くなる。)

  今後はRSもアンチスクワットアンチチルト機構が付くかもしれません。
  (現在(2002.03.26)までには付きませんでした。)
  僕としてはアンチスクワットアンチチルト機構は必要な装備です。
  ぜひ改良したい項目です。
  重さに対する強度が問題となってたらしいんですが強度自体は
  R1150GSが出たぐらいから解決しているみたいです。
  (スポーツバイクということで路面の状況情報をダイレクトに体感させるために
  つけないとの話が・・。ダイレクトタイプのテレレバーはボールジョイント2個で済むが
  アンチチルトはボールジョイントが3個必要なので路面体感情報が少し曖昧になるらしい。)
  パーツ的にはステムナットのジョイントをベアリング化、
  インナーチューブを上端にジョイント付きの物に交換、
  トップブリッジ交換でいけそうな気がします。
  どこかのショップでパーツとして出さないかなぁ・・?  

2002.03.26追記  只今K1200RSアンチチルト化計画、画策中。以後こう御期待・・。
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