越前海岸のバスを歩いてつなぐ


2007年7月27日(金)


バス路線は県境・峠などでしばしば分断される。それでもあきらめることはない。
その間を無理なく歩くことによって乗り継ぐことができる場合が意外と多いのだ。

武生新 8:45 → 糠長島 9:57   福鉄バス 糠長島行

 出発は武生新駅。河野から越前海岸を北上し、福井に至る。敦賀から福鉄バスで杉津の先、終点元比田まで乗り、国道8号を歩いて河野(桜橋)に至るプランも考えられたが、徒歩の距離が長く、しかもトンネルが多い区間で、時間の制約もあり今回は断念した。
 武生から南下し、王子保駅を出ると、山間の緑鮮やかな田園風景が広がる。この辺りは北陸の中でも最ものどかなところだ。峠を越えて河野から海岸線に出る。河野は険しい山が迫り、狭い地に民家が密集する。終点糠長島は、民宿などが立ち並び賑わいを見せていた。

                   糠長島にて

              王子保付近

                貝谷付近



糠長島 9:10 → かれい崎 10:20  徒歩約4キロ

 この区間に集落はほとんどない。バス路線が切れているのもうなずける。真っ青な海を左手に爽快な道が続く。歩道も整備されていて歩きやすい。南越前町と越前町の境界に白竜の滝があり、小さな公園となっている。しばらく滝と海を眺めながら休憩。二つ洞門をくぐると突如集落が現れ、ほどなく「かれい崎」のバス停に着く。ゆっくり休憩を入れながら歩いて1時間の行程。バス停の目の前に公衆温泉浴場があり、海を眺めながら湯につかり、のんびりと疲れを癒した。


かれい崎 11:25 → 梅浦 11:50   福鉄バス 武生新行

 ここからは「高佐」「茂原」「厨」「大樟」と集落の間の狭隘路が続く。小さな海水浴場が点在し、カラフルな旗が飾られている。束の間の夏の賑わいである。

 

                 かれい崎

                  厨

                



梅浦 11:50 → 呼鳥門 13:25   徒歩 約5キロ

 越前海岸で最も険しい区間。ここから越前岬までのバス路線はあるのだが、早朝の上りと夜間の下り各1本しかなく、一泊しないかぎり乗り継ぎには利用できない。この日、トンネルが続く梅浦から先の海岸線の国道は、土砂崩れで通行止め。迂回路の崖上の県道6号を歩くことになった。こちらがむしろ本来の旧道だろうか。坂がきつかったが眺めもよく、素彫りのトンネルもあり、なかなかいい道であった。玉川で海岸線に戻り、越前岬を越えて、水仙ランド入口バス停に着く。ここで福井行が折り返すのだが、バス停前のレストランも廃業となっていたので、名勝呼鳥門まで歩き昼食とする。

            県道6号と素彫りのトンネル

           県道6号より見下ろす

                越前岬



呼鳥門 13:57 → 大味 14:15 京福バス 福井駅前行

 ここから北は京福バスのエリアとなる。地形は穏やかになり、引き続き美しい海岸線を行くが、とにかくバスの窓が汚く、景色が霞んでしまう。越前海岸の中でも最も観光に利用される路線であるのに残念だ。このバスは、下車した「大味」から内陸に入り福井を目指すが、まだまだ海岸線を北上しよう。

                  



大味 14:15 → 小丹生 14:47   徒歩 約3キロ

 この区間は、交通量が少なく、道路整備も遅れていたようで、断続的に改良工事が行われていた。小丹生のバス停よりかなり手前に、転回場があり、すでに乗車予定のバスが休んでいた。約3キロで乗り換え時間45分と、危ういスケジュールであったが、10分前に小丹生に到着。




小丹生 15:00 → 福井駅前 16:00  京福バス 福井駅前行

 この越前海岸は、今回が二度目で、大学生の時に三国から梅浦まで歩き通したことがある。夏の終わり、鮎川という海水浴場で、人生最初で最後の野宿をした。午前3時ごろ、猛烈な雷雨となり、午前5時雨が上がるとともに歩き始め、この丹生の海に二重の虹がかかった。その神秘的な風景は今でも脳裏にはっきりと焼きついている。その鮎川の海岸は、コンクリートの岸壁が出来ていて当時の面影は失われていた。学生時代は無謀な旅をしたものだと、なつかしさにひたりながら、越前の海に別れを告げた。