四国交通 〜山奥の秘境へ 名頃・漆川〜

2003年7月24日(木)

阿波池田 9:00 → 名頃 11:19    四国交通 名頃行(大歩危・かずら橋経由)

 国道32号,県道45号,県道32号,国道439号を経由する.かずら橋までは2車線.その先は,数箇所改良区間があるが,川沿いの狭隘路が延々と続く.大歩危から峠を越えるとかずら橋.ここで5分の休憩.数人の観光客はすべて降り,その先は地元のおばあさんのみとなった.平家落人伝説の多く残る深い山の中を行く.何かの会合の帰りか,京上から7,8人の老人が乗り込み活気づくが,1人2人と降りていき,結局最後は1人となった.終点名頃は,国道439号線上,剣山の麓の小さな集落.この先剣山見の越までは10キロ.以前はそこまで定期バスがあったという.運転手さんによると,登山客もたまに乗るそうで,外人さんが終バスで名頃に着き,山を目指して行ったこともあるという.2キロ先には,奥祖谷二重かずら橋があるので徒歩で尋ねてみた.片道約30分.下のかずら橋と違い,滅多に観光客も来ないようで,まさに秘境であった.

かずら橋にて名頃行

名頃バス停

名頃

名頃〜奥祖谷かずら橋

名頃〜奥祖谷かずら橋

奥祖谷かずら橋

名頃



名頃 12:32 → かずら橋 13:50    四国交通 阿波池田行

  同じバスで折り返す.他に乗客はいないので,運転手さんと2人でタバコをふかしながら行く.

かずら橋バス停

かずら橋

かずら橋に停車中の定期観光バス



かずら橋 14:40 → 阿波池田 15:53   四国交通 阿波池田行(祖谷渓経由)

 県道32号,祖谷渓経由の池田行き.乗客は観光客3名.渓谷沿いの狭隘路.出合までは急カーブの連続.しかも断崖絶壁の上で,かなりスリルがある.途中,定期観光のボンネットバスを追い抜いたが,そちらは満員の乗客を乗せていた.

かずら橋にて池田行

祖谷渓を見下ろす

断崖絶壁の上の狭隘路でボンネットバスを追い抜く



阿波池田 16:10→16:48 漆川八幡神社前 17:01→阿波池田 17:39 四国交通 

 この線は全国でも屈指の狭隘路線として有名.実際にその狭さは半端ではなかった.三好橋を渡り三縄駅前を過ぎた辺りから狭くなり,漆川橋から山登りが始まる.ぐんぐん標高を上げ道は薄暗くなる.途中さらに狭くなり,川沿いにも関わらずガードレールも消える.5人の乗客も次々に降り,道中半ばで1人になった.
 終点は見晴らしのよい比較的広い場所にあった.バス停の名の通りすぐ横に小さな神社がある.運転手さんと立ち話になったが,池田町からもっと奥まで運行して欲しいと言われているが,これ以上は狭くて行けないそうである.また,バスの側面が狭隘路で傷だらけであること,近くの民家数件が廃屋であることなどを教えていただいた.
 10分間の滞在もあっという間に過ぎ,帰りも当然1人だろうと思っていたところ,発車間際にこの山奥には到底似つかわしくない派手な若い女性2人が乗ってきて,一番前の席に陣取った.運転手さんと親しげに話し出したので常連客のようだ.その内の1人が「今日来る?」と運転手を誘い始めた.そのうち携帯電話でも「今日絶対来てね,待ってるから」と誰かと話し出した.池田の夜の街で働く女性のようだ.このバスで山を下り,朝のバスで帰るのであろう.狭隘路の先には美しき秘境がある,これは都会人の幻想.そこには最も人間らしい生活があった.

漆川八幡神社前バス停

漆川八幡神社前バス停にて

漆川八幡神社

漆川八幡神社前バス停より上方に続く道

漆川八幡神社前バス停前より

谷の下にこれから通る道が見える

川沿いの恐怖の狭隘路