高岡〜輪島 能登半島乗り継ぎの旅


2008年8月11日(月)


高岡 13:30 → 脇 14:36  加越能バス 脇行 ¥500

 高岡駅はいまだ昭和の香りが漂う。小さな地下街は寂れているが懐かしい雰囲気だ。バスは薄暗いアケードの下から発車。万葉線は新車が行き交うが、こちらは木の床の古いバス。市街にはレトロな建物が散在している。氷見までは、鉄道から大きく離れた国道160号を北上。小さな峠を越えると、旧道に入り、やがて氷見の商店街。氷見は藤子不二雄Aの出身地ということで、いたる所に忍者ハットリくんが。市街を抜けると再び国道に戻り、右手に富山湾を眺めながら灘浦海岸へと快走する。終点「脇」は、石川県との県境の直前に位置する静かな海岸だった。

                     脇

              氷見の商店街

                



脇 14:45 → 七尾駅 15:22  北鉄能登バス 七尾駅行 ¥750

 七尾からやってきた真っ赤なマスクの新車が折り返す。引き続き富山湾を右手に北上するが、石川県側はアップダウンが多くなり車窓は変化に富み、さらに美しい。百海から海岸を離れ、峠を越えて七尾市街に入る。峠の沢野集落では旧道を経由。

                    脇

              高岡方面「脇」バス停

                



七尾駅 15:30 → 羽咋駅 16:26  北鉄能登バス 羽咋駅行 ¥910

 七尾から南西に逆行し、半島を横断して西海岸の羽咋に出る。JR七尾線に沿うように国道159号が走るが、その少し南の県道244号を経由する。高台をいく狭い2車線道。こちらが旧街道だろう。右手に広く盆地を見下ろす。

                   七尾駅

                 七尾駅

               



2008年8月12日(火)


羽咋駅 6:55 → 富来駅 7:58  能登西部バス 富来駅行 ¥1060

 2日目は、能登半島の西海岸を北上する。羽咋からのこの路線は、ほぼ北陸鉄道能登線の廃線に沿って走る。高浜までは海沿いを行くが、海岸線は遠い。彼方に日本海が輝く。高浜からは内陸に入り、三明まで右側に廃線跡を利用したサイクリングロードがぴったりと平行する。高浜から富来までは海岸廻りの路線があるが、接続が悪く断念した。富来トンネルを抜けるといよいよ能登金剛と呼ばれる険しい海岸線に出る。
 終点富来駅は、期待通りのクラッシックなバス駅(→郷愁のバス駅gallery富来駅)。古びた待合所には小さな出札窓口があり、門前までの乗車券を購入する。その後出札の老翁と立ち話になったが、昨年の大地震以来、さらにこの西海岸はさびれてしっまたという。その昔は、能登の観光は東側よりもこちらがメインであった。観光客が大挙して押し寄せた頃をなつかしく語っておられた。この富来駅からは徒歩数分で海岸に出ることができる。酷暑の中にも浜風が涼しかった。

押し寄せし麦わら帽子も富来過ぎて今はいづくに
さまよひぬらん

                   

               

               道路左が廃線跡



富来駅 8:40 → 門前 9:45  能登西部バス 門前行 ¥1010

 富来から門前は、金沢〜門前の特急便が内陸の国道249号を行くのに対し、普通便は海岸廻りの県道49号を経由する。この県道はほぼ全線に渡り狭隘路が続く。集落の狭隘路では、家々の黒光りする瓦屋根が美しい。ヤセの断崖などの名所をかすめながら、険しい能登金剛の海岸線を堪能。

                    富来駅

                

                

                

                



門前 11:00 → 輪島駅 11:35  北鉄奥能登バス 輪島駅前行 ¥740

 門前は、昨年の地震のつめ跡が多少見られたが、見事に復興を遂げていた。門前とは、曹洞宗の元大本山総持寺の門前町ということ。横浜育ちの自分にとっては総持寺は馴染みが深い。曹洞宗の寺はやはり身が引き締まる。しばらく閑寂な広い本堂で感覚を研ぎ澄ます。
 門前の営業所も被害を受けたのか立て替え中だった。輪島までは峠越えの道。広い道だが小さなバスが運用に就く。

                    門前

                 門前

           峠を越えて輪島を目指す



輪島駅 12:00 → 上大沢 12:35/12:57 → 輪島駅 13:32 
                      北鉄奥能登バス 上山(雑座)行往復  片道¥650

 15分以上も前からドアを開けて出発を待つ上山行の小型バスには、すでに大勢のおじいさんおばあさんが乗り込んでいた。後方の二人席の通路側に何とか座れたほど。冷房が切ってある車内は半端ではない暑さ。それでも賑やかな老人会が続く。出発間際にはちょうど満席となり、市内でさらに乗り込み立ち客が出るほどの大盛況。それにしても賑やかだった。こんな楽しい老後はうらやましい。
 輪島市街を抜けるとすぐに海岸線に出る。しばらく2車線道を行くが、鵜入を過ぎると断崖の狭隘路に入る。さらに小池・下山の内陸の集落も経由し、道の険しさは増す。大沢の集落では、間垣が出迎えてくれる。ここから上大沢までの狭隘路は特に美しい。上大沢の集落も間垣に囲われ秘境の雰囲気が漂う。わずか15分での折り返しだったが、日本にまた聖地を見つけることができた。帰りのバスの乗客は一人。ゆっくり撮影しながら、極上の狭隘路を堪能した。

磯つたふ崖のほそ道開くれば間垣の囲む大沢の里

                   

上大沢の間垣

              

              

              

                下山



参考; MORI-SAKETEN.com 北陸ローカルバス探見隊