九官鳥、喋ってナンボ

来訪者からみた九官鳥の第一印象

その1、[キャリアウーマン]  食べるの ?
その2、[営業マン] どうコメントしていいのか困った顔つきで睨めっこしている。
その3.[子煩悩な人] 九ちゃんアホ言うてみぃと言って逆に、九官鳥に睨まれていた。

その4.[業者] こいつか、なかでベラベラ喋ってたん。持ってきたホースを指し、「これはな仕事道具や、蛇やないで。」
その5、[女の子] オイオイと言って何かあげて親しくなろうとしている。

その6、[男子中学生] 九ちゃん。とお義理で言ったきり好きなCDの話になる。
その7、[保険外交員] 昔は天皇陛下万歳と言わせていたとこもあったて聞いたよ。

その8、[女子高生] Qちゃんオハヨウは。コンニチは。と急かす。九官鳥は、はぁ〜 ? という顔つき。
    (その時の初代Qは人間に換算して女子高生より少し年上の女性だった)




黒い潜望鏡が現れたかと思うとジリジリとこちらに鎌首を向ける。
潜望鏡の中から二代目九のギラリと強気の亀の目がズームアップ

「噛んでみー」「ええか、噛んでみー」 ギャーという悲鳴の次には、
「おーし、噛んだなぁ、誰が世話してると思てんねん ! 」
「あんたの糞(ふん)、掃除してるとこやろー ! 」「飼い主噛むんやったら落鳥させるぞー」
二代目九はそそくさ、ほふく前進をして、止まり木の上に上がり何事もなかったように背中を見せている。

成長してもなお個体間距離を奪われる九官鳥に飼い主の指は血が滲んでいる。
長期間の子育てを必要とする哺乳類と飼い鳥との足し算の出来ない温度差。

でも最近警告の一声を発すると寸止めするようになった。九官鳥はパブロフの犬なのか
そして、ご褒美に鳥篭の中で腕に乗り餌をもらっている。

一見、従順なヒナ鳥を演じている、ようですが、たぶん、温かい便座の上のつもりなんでしょう。

又ある時、隣の部屋に皆寄って談笑をしていると九官鳥のいる部屋がうるさくなる。
タイミングよく会話がすべって途絶えた瞬間 「モー、スコシヤナー」 なにがもう少しやねん。
オハヨウだのオイチョだのコノヤローだのハイハイだの、呼んでいるのか仲間になっているつもりなのか。

んっ、静かになった。九官鳥が黙った。沈黙した。

すると襖の上から下へ順番に覗く目があった。
みんな、なにかあったのかと心配したのだった。

状況だけは、 九官鳥 (ほんとうは桃李) もの言わざれど、下おのずから蹊を成す。

大あくびをした九は鳥篭の片隅でうずくまり瞼が下から上へ閉じてゆく。

では、おやすみなさい。



その9、[保育士]、厳しい保育で有名な○○先生の言うこと聞かれへんのかーといってハイハイハイと7回言わせていた。

その10、[難しい人]、九にオハヨウと言われ歯を磨きながら急にオハヨウオハヨウと連呼して子供帰りしていた。

その11、[捕食動物に近い人]、大声で喋る彼はビーピーと番犬のような九官鳥に威嚇されていた。
     彼の一喝 「うるさいなー、焼き鳥にしてまうぞー」彼はいつも「ミ」一筋 (飼い主はハサミ好きな雑食動物です。)

その12、[生物の先生] 一見して「頭ポント分けやな」と九の親戚のムクドリや過去に助け飼った梟の話が始まった。

おまけ [化学女性教師] あ〜あ、はやまったんちゃう、今度はうさぎ送ったる言うたやろ。


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