天才達の贈り物十六話
<心の居場所>
新年最初の語りだから
フランクルの
どのような過酷な状況に置かれても
人生に都合よく期待するものではない
「生きる意味を求めて問いを発するのではなく、
人生からの問いに応える」
いいかげん
こんな問いは重いから、
疑似体験にでかけることにしよう
一人旅がいい
そう、ふた昔まえの旅がいいかな
季節は冬の寒い夜、場所は東京駅
改札で行き先の書かれた切符を切ってもらい
構内に入ると天井からおおきな時計が吊るされ
九時0五分をさしていた
まだ早いので閉店まぎわの土産物店に連なる
立ち食いそばで腹を満たすとしよう
そば
木札にメニューが書かれている
・・そば・月見そば・とろろそば・てんぷらそば・・
どうせ空想なんだからてんぷら月見そばを頼むとしよう
箸入れの横の七味唐辛子の小瓶をパッパッっと振り
割り箸を口で割り
鉢のそばをすくうと滝の水が逆流するように
豪快に口に入れる
向こうのホームに列車がぎぎぎと
やっとこさついたと
吐息をはくようにゆっくりと止まる
ディーゼル機関車の先頭になにかの絵のプレートがある
その列車は
どこから来たのだろう、明るい客車の屋根にはそれぞれに
夜空に浮かび上がるような雪が積もっていた
やがて反対方向から来た列車がその列車を遮るように
目の前にぎぃぃとゆっくり止まった
これから乗る夜汽車だった
少し並んで客車に入ると窓側のちょうどいい席だった
荷物を網棚に上げ
やっとこさと向かい合わせの反進行方向の窓側の席に
つくと
前の親子が
列車の窓のすりガラスの様になった結露を拭う
手の甲の幅だけ透き通ったガラスにはっきり
親戚らしい人が現れ
親子が勢いよく手を振ると
向こうから「また来るんだよ」と微かに声がした
発車のベルが鳴り終わると静かに列車は動きだす
都会をぬける間、結露で曇った窓に
ぼんやりとした赤い光青い光白い光が群れをなし
駆け抜けていった
どれくらいの時間が過ぎただろう
カンカンカン カーンカーーーンと
踏切を通過する音が聞こえる頃にはもう都会を
抜けていた
その頃には座席の下から暖気が立ち昇り
眠くなっていた
客車の照明が通路を歩ける程度まで落とされ
客車の中はしだいに静かになった
コットン コットン コットン
線路から心地よいリズムで眠気を誘う
いつしか眠っていた
それからは知らない もどかしい孤独は
あったがそれ以上にこの先どんな出会いがあり
自分を待っている何かがあると
漠然とした期待が先行した
無意識の世界では自分に都合よく展開する
なにかの冷気を感じて意識が戻り始めた
列車が減速している
窓に意識を向けると暗いが 少し白っぽい
手の甲で結露を払うと
そこは一面の雪景色だった
半分になった月の明かりは雪を浮き立たせ
ぽつんと立つ電灯は道の雪をほんのり
橙色に染めている
時々民家が見えたが電気は消され屋根には
雪が積もっていた
まもなく
真っ黒な山が迫って来たかと思うと
トンネルに入る
トンネルを抜けると海に向かって少し明るい
除雪されたネオン街があった
その街の中心辺りの駅に列車は止まった
遮る物のない駅の向こうに湯気の立つ温泉街が見える
そこにひときわ目立つ暖簾の掛かった湯治銭湯が
あった
この辺りの動物たちの憩いの場であり
心地良い居場所だった
なぜかって ほら そこかしこに
肉球の足跡が山や森から続いているではないか
寒い 寒い お風呂に入ろう
そうだ ! お兄ちゃん先に入ってて
シャンプー取りに帰るよ
?
雪だるまって頭に毛があるんだろうか
ゆ
番台 ; いらしゃい
大きい動物は3000円、 小さい動物は800円
炭素を含まない無機物は無料
反社会的捕食動物とシャチとクジラはお断りいたしております
タワシは300円、藁手ぬぐい500円
コーヒー牛乳は樽で販売しております
なおアンコールは用意しておりません
////////////////
コトーーーン ジャーー ピチャ ピチャ
お母さん先に出るわよーー
キャー うさー向こうから大きなキャラ来たわよーー
ごぼごぼ バシャバシャ
うさちゃん、お母さんとこれからカバ界で生きるのよ
カバ界の餌の配分早く覚えてね
あっはい これから毎日一緒なんだ
ーーでも母が二人は許せない いつか決着つけたる。ーー
湯舟
))
ああええお湯
冬ごもりなんかやってられへんわ
|
~~~
お母さん早く温まろ
番台 ; いらしゃい
葉っぱでお支払いですね
コアラさんコアラさん たぬきは夜行性ですよ
いいんですか
((
))
お母さん ここにあったよ
母 : いいから後ろ足でぶちっと切るのよ
ブッチ
お兄ちゃん 遅くなってごめん
うわ暗い お兄ちゃんーー シャンプー
よいちょ コンセント入れるよ
パチ パパパ ランラン キラキラ
あれ さっきまでいたのに ?
長湯で溶けちゃったのよ
ぼくがいけないんだ
もっと早くころがってくればよかったんだ
お兄ちゃん ! 帰ってくれよ どこにいるの
雪だるまのぼく悲しまなくていいんだよ
お兄ちゃんお風呂で溶けて無くなったんじゃない
形を変えてお湯になっただけだから
もう湯気になって空に昇る頃よ
空に昇ってどうなるの
また雪になって帰って来るのよ
お母さん窓の外見て雪が降ってる
ほらあのお家に子供たちがいるかもしれないわ
子供たちの眠る屋根にも雪が降るのよ朝になれば
積もった雪を見た子供たちは雪の友達が欲しくて
また雪だるまを作るの
永劫回帰みたいなものね
ただの水の三態じゃないの
じゃあぼくはどうなるの 春になったら溶けて無くなるのでしょ
雪だるまの僕は僕を待つ森にゆくのよ
森で落ち葉をいっぱい巻き付け春になれば水になって
川に流すのよ、落ち葉が海に届いたら落ち葉の栄養で
たくさんのプランクトンが生まれる
そのプランクトンは魚達の餌になるの
それはあなたの営みよ
だからあなたは魚に生まれ変わるのよ
アジアの人達の多くは命が別のものに生まれ変わる
こうゆうのを輪廻転生っていってるわ
食物連鎖でしょう
雪に全てのものを飲み込まれてしまったように見える雪国の
厳しい雪の底にも春を待つ温かい命の営みがあります
//////////////
どんなつらいときにも、一人ぼっちでも
不安や絶望に心を奪われ塞ぎこんだときにも
すべてを失ったと絶望したときにも
人生はあなたに問いかける
未来や人生があなたに何を期待しているのか
ーーーーーーー
"あなたを待っている誰かがいて,
あなたを待っている何かがある"
ヴィクトール・E・フランクル
アウシュヴィッツの終わりのないような
過酷な状況の中ほとんどの人は生き残ることが
できなかった
夜と霧の中で実存した人の例では
この戦争はもうすぐ終わって自分は自由に
なれるんだと人生に期待してしまった人達
人生を悲観し絶望のあまり生きる意味を見失い
高圧電流の流れた有刺鉄線に飛び込み
なくなっていった人達
不運を嘆き悲観にくれユーモアへの意思さえ
なくし生きる意味を失った人達は、免疫力の低下から
同じ感染症に罹患しても助かる率が低かったという
その中で生き残ることのできた
数少ない人達は逆に人生から問われているんだ
と気づいた人達だったという
中でも生きる意味を見出した多くは
それは”あなたを”で始まる上の二行に集約されている
どんなときにも見出そうとすれば
生きる意味は必ずあるものなのですね
アメリカ兵に開放され写真に写っていた長い
収容所生活に耐えぬいた人達の身体はもうこれ
以上やせようがないミイラのようでも
表情は物静かで
内面に熱く力強い秘めたるなにかがあるような
親しみさえ感じられました、んー思い込みかな ?
/////////
次の寸劇は有名人のサルトルさんに
頼みましょうかねキャラのみなさん
実存主義において自分の未来も生き方も
自由だがその結果はすべて自分が引き受け
なければならない責任がある
なぜならばそれは自分の自由が生み出した
ものだから
自由とは孤独と責任が伴っている
これだけでなにが始まるのか
分かってしまいそうですね
))
しっしっ
では
いつまでやれるかわかりませんが
今年もよろしくです
ぜひ
またお越しくださいね
お待ちしています
ありがとうございました。
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