こんな教室です

..'夏'、暑い日ざしが少し傾く頃「ただいまー」と来る子がいる。

始まりだ。次々に入ってくる子供達は向こうのテーブルの籠に山ほど積まれた氷を
おいしそうに口にほうばりカバンを手に「今日はなにするの」と賑やかな声がする。

「足し算と数字の綺麗な書き方」と言うと
「モグラの足し算がしたい」と主張もする。「今日はだめ」
低学年は3日目が変化の時だ。3日目に変化を持たせてみる。

3だ4だ0に芽が生えているこれ6に近い5だから書き直し、
とあっというまに時が過ぎ少し上の学年の子供達がやってくる。「あ〜暑い、うわっ氷ちっさなってる」
夏の..氷..〜

「今日はなんか眠たい」、「寝たらあかんでー」と軽やかなやりとりをしながら席につくとこれが習いと言うものか
「これ割り切れへん」、「大〜還〜げん」「あーわかった」とすこしずつ入ってゆく。

子供達にとって進級というのは大変な反面、競い合う楽しみにしているときもある。
ただ数の扱いは個人差が激しい一面もあり早く進級する子とゆっくり歩む子がいる。
私達の仕事の大きな一つがゆっくり歩む子に数の基本を大切にする意識を作ることである。
まじめさの復活である。

ゆっくり歩む子はただ勝気でないだけのことも多いです、時々観察力などすばらしい感性を秘めているときもあります。

多くの失敗から得た経験的な勘ですが、基本さえ身に付けていれば気持ち一つで追いつき追い越しできます。
しかし年齢が進む程、基本は辛く感じます。

夕日になる頃、公園で遊び終わった高学年の出動である。
補数計算、統計算、片落し、ミスの多い子には分割計算の薦め、数ずくめであるため
読み上げ算の時間はどうしても対話型になる。

「ちょっと、先生、読むの早い! 」、「これ以上おそ読んだら、蝿が止まる」、 「そんなんおれへん! 」
パチリ目の子が「私もっと早いほうがいい」
おっとり聞いていたしっかり者の女の子が「どうでもいいからハヨやろ、お風呂入られへんようになるやんか」
一件落着、とかくこの世は難しい。
ハッピイエンドで終わらない日も多いのです。そんな小さな教室の一日です。

継続は力なりですか・・。

みんな帰り冷房のスイッチを切る頃、窓から見える屋根の上に大きなま〜るい月が浮かんでいた。

戻る