狼に育てられた少女(娘)

その話は冒頭から衝撃的なものだった。

心理学者ゲゼルはインドに狼に育てられた
二人の少女(アマラとカマラ)がいると
現地の話として公表した。

少女はまだ赤ちゃんのときに狼に連れ去られ
見つかったときは大きく成長していた。

保護された当初はもちろん喋ることも
出来ず、四つん這いで歩き

生肉を口だけで食べ、
服を着せても噛みちぎる。
その姿態はまるで獣。

そののち、施設で治療を受けた結果
二人のうちの一人カマラは、10年近く生きて
死の直前には幾つかの言葉を使いこなし、

二本足で歩き、手を使って食べ、
服を許容するまでに人間らしく
なっていたという。


心理学者ゲゼルは児童心理を説明する
一つの動的な例として紹介したのでしょう。

人間が狼の社会で育つと、狼らしくなる
人の育つ環境がいかに大切かを
言いたかったに違いない。

それが人間社会に戻り、生活の訓練を受けた結果
人間らしさを回復したことは、

人間には後天的学習だけでなく遺伝的素質も大き
く働くものと考えられている。

では、仮に人間に連れ去られた
狼さんの娘さんならどうだろうか。

人間に育てられれば、、
狼さんの娘さんが手を使って食事し
狼さんの娘さんが服を着て二本足で歩き回り
ダンスをし、
話かけてくる人達と喋りまくる。

想像すれば吹き出すくらいありえない。

実はこの狼に育てられた少女の話は
今では限りなく現地の人の架空の話、
事実でないといわれている。

また最近では人のパーソナリティ形成は
人間としての遺伝的な要素のほうが
半々より大きいという学者も現れている。

しかし

三重苦を背負ったヘレンケラーの有名な話に

ヘレンケラーの手のひらに
冷たい水が流れたその瞬間に、サリバン先生が
とっさの機転で
反対の手にWaterと書き綴った、その時、彼女は

手のひらを冷たく流れたものを水と認識したそうです。

人は人によってより人らしくなる。

そして出会う人、環境によって人生は大きく変わってゆく。

と思う。 だが、私は親父にますます似てきた。

一つ前へ| | TOPへ戻る