影になったもう一人の自分


影になったもう一人の自分って誰でしょう。

なにか謎めいた言葉ですね。


それは自我ができ始める頃

一生を一日で言えば朝、日の出の頃

あなたにも私にも、太陽と反対方向に

現れ、いつもくっついて

離れようとしない。

心の(シャドー)です。


ふだん自分のリアルな影をまじまじと眺めたことは

あまりないように

心の影は見えなくて意識もしないものです。

いやそれは自分はただ気づかずに過ごしているだけ

なのかも知れません。


それはあなたがもっとも許せなく認めたくないもの

それが意識の表面に現れると耐えられなくなるので

無意識の蓋をして押し込めている。

ところがそれは無意識の比較的浅いところで

抑圧されているので

ある鏡に他人の姿で写ったりします。

そしてその姿になぜか許し難い憎しみや険悪感、

悲しみをもってしまいます。



フィクション、、シーン1

小田真理さん(仮名)はとても質素で倹約家でした。

いつも朝、スーパーのチラシを見て特価の食材を

基にその日の料理を組み立てていました。

もちろん買い物は自転車で行きます。

ところが姑ときたらよく自家用車で金満市場の

高級魚を買って来て「真理さん、私、いわし嫌い

やからこれにするは」と言って自分の夫と息子に

にも分けています。「あんたもどう?」と

厚化粧をした顔を向けるのです。


真理さんはそんな姑を許せませんでした。

小田真理さんはそんな姑が叫びたい

くらい大嫌いでした。



真理さんの実家の隣の高根乃ハナ

さんのお家は資産家でその家の同い年の

娘の加奈(仮名)さんは小さい頃、誕生日に高価な

人形(それは目までキョロキョロ動く

人形でした)を買ってもらっていました。

真理さんはそれがほんとうにうらやましかったのです。

真理さんの人形は服はインクで描かれ

目は貼りつけてありました。


お互い中学生になり勝気で貪欲な真理さんは

無駄遣いもせず規則をよく守り曲がったことが

大嫌いな娘に成長してゆきました。

通知表のコメントにあまり言うことが

ありませんが、ちょっと正義、正論が

多くそれは正しいのですが、現実はもう少し

融通をきかせてくださいと書かれていたくらいでした。


加奈さんは相変わらず休みにはお洒落をし化粧して

同じ様な友達と遊び場に出かけていました。


真理さんはそんな加奈さんの姿に今は、うらやましさ

も感じなく、自分の生き方に自信をもっていました。

ずっと太陽にむかって生きて行くようでした。


そうして成人し結婚して今の何故か

いや、どうしても許せない姑に出会ったのです。



さて、

心の名探偵のあなたならもうお分かりですね。

姑さんの姿は生きられなかった

もう一人の自分、嫌な自分の影なのです。

私たちが嫌い、許せない、キモイ、

あいつは馬鹿だと思う気持ちが生じたとき

心のどこかにあるもう一人のネガティブな

自分が投影されているのかもしれない。



スイスの心理学者ユング(最初はフロイトの弟子)は

クライアントの治療や精神分析を通して

深層に認めたくないもう一人の自分がいると

考えたようです。

そしてそんな相反する影と向き合い受容しながら

人は成長してゆくと考えました。



なお、このフィクション、、シーン1 は

ほんとうにフィクションですよ。


そして小田真理さんはその後、姑の良い所は利用し

時々は一緒に買い物や旅行にも行き

だんだんとなれ合い、姑は真理さんを頼り

互いに役割分担し、くだけてゆきましたとさ。




では、今宵このへんでこんな浅学の

私の長文よんでくださった方

ほんとうに「ありがとうございました

またお会いできれば幸いです。



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