ブレーキパッドの交換


 ブレーキパッドの交換時の注意というか工夫で、結構有名でなんでもないことだけど意外と効果的な手法を紹介します。

 乗り手の性格か刀のブレーキはフロントの方がリアより5千km位長持ちしていたが、さすがに磨耗限度の2mm手前まで減ってしまったので交換することにした。
 カタナを買ったはとやFMPサービスでパッド交換が1回無料になる。ダブルディスクのバイクなんかだと、へたな割引よりサービスがいい。このサービスでのパッドの選択肢はべスラの緑か純正で、ファイナルのフロントはラインナップされていなかったので今回は純正のパッド。交換と一緒にキャリパのクリーニングもするつもりだったので部品だけ注文したけど、交換まで無料でしてくれます。

 パッドを交換する前に面を取る(角を鑢で削るだけ)。こうすることでブレーキの鳴きを抑えてくれるとかアタリがつき易くなるとか本に載っている。まぁ「抑える」とか「易くなる」程度だけど。僕はついでにパッド面を中目くらいのサンドペーパーで少し削っておく。
 アタリを付ける必要があるということは、新品のタイアの表面にワックスだの防腐剤だのが付いているのと同じで、新品のブレーキパッドの表面にもパッド以外の何かがついているということで、それならなら削ってやれば良いという理屈。実際一皮剥けるくらい削ると最初から普通にブレーキが効いてくれる。

 もうひとつパッド交換の前にやっておいた方が良い事として、パッドの裏にどこに取り付けるかを書いておくというのがある。カタナのように左右(前後?)が同じ形状でピストンが見た目では同径の場合、メンテナンス時に適当に外してしまうと元通りに組めなくなってしまうことがある。しばらく走ってから書くと意外と書き難く、書いてから落ちやすい。多分スラッジやグリスが完全に取れないせいだろう。
 書き方は普通RR/LL(右のキャリパの右のパッド/左のキャリパの左のパッド)という感じで書くようです。

ちょっとわかり難い 字、下手
面を取った状態 左のキャリパの左のパッド

 ここでさくっとパッドを交換してもいいのだけど、スラッジが張り付いたままブレーキピストンを押し戻すのは気分が良くないのでクリーニングする。
 キャリパをフォークから外し、古いパッドを抜いて軽くレバーを小刻みに握ってピストンがキャリパから外れないよう気をつけながらピストンをせり出す。汚れていない部分が見えるくらいせり出したら、中性洗剤・やわらかいブラシ・パーツクリーナーなどでキャリパ内部とピストンを洗う。間違ってもワイヤブラシなどを使ってピストンやシールを傷つけてはいけない。
 一通り汚れが落ちたらピストンのシール面(側面)にシリコングリスを綿棒などで薄く塗り、キャリパを揉む(ピストンを入れたり出したりする)。ピストンを戻すための逆万力のような専用工具があるが、そんなものは持って無いので古いパッドの間にドライバーを挟んでコジればキャリパーも傷つかない。ピストンを揉むときブレーキフルードが多いとピストンが戻りにくい場合がある。そのときはリザーブタンクの蓋を少し開けておけば戻るようになる(フルードがあふれる場合があるのでウエスとかを当てておいた方が良い)。

 パッドピンも汚れを落とし、パッドにあたる部分にシリコングリスを薄く塗布する。パッドの裏側にもピストンが押す部分にシリコングリスを薄く塗布する。
 部品同士が接触する部分にグリスを塗るのは鳴きを抑え動きをスムーズにする(引き摺りを抑える)効果がある。ブレーキの鳴きを抑えるための専用ケミカルもあるけれど、耐水・耐熱性が高く流動性の低いシリコングリスで十分。
 ブレーキの引き摺りはたいていの場合キャリパが汚れている(付着したスラッジのせいでピストンが戻らない)ことで発生するので、クリーニングは結構効果的。タッチも良くなるし、シール類も長持ちします。

 組み付けるとき、パッドピンやダストカバーがネジで締めるようになっているときはスレッドコンパウンドやモリブデングリスを塗っておくと後々のメンテが楽になる(ブレーキは高温になるので、これらの部品が熱でかじりついてしまうことが多い)。

 フォークへキャリパを取り付けるボルトはたいていネジロックを付けるものだけど、SYのマニュアルにその記述は無かった。はじめてキャリパ外したとき、取り付けボルトにはしっかりとネジロックが付着していたのに・・・何故だ。



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2001年08月14日作成           2001年08月22日 加筆修正
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