ステアリングロアステムの交換


 久しぶりにジェベル号にのろうと思ったら、最初ステアリングが引っかかったような感触がした。最初はしばらく乗らなかったので駐輪場の床のタイルとタイアが張り付いてしまったのかと思ったが、ステアリングを切るとゴリゴリした違和感があった。前に分解整備したときにロアベアリングが、おそらく雨水の影響で痛みや錆が浮いていたのを思い出し交換することにした。

 交換する前に一度分解して状態を確認してみるとロアは一度落としたがまた錆でて、テーパローラベアリングのコロを支えているゴムが劣化してしまって形が維持できない状態だった。ゴリゴリ感の原因は後者だと思う。ちなみにアッパはグリス切れも無くほぼ新品同様でコロなんてピカピカだった。結局ロアだけ交換することにして部品を注文した(部品はベアリングとレースがセットになっている)。

 部品が到着したので、週末に交換作業をはじめる。ホイール、ブレーキ、ハンドルバーとメータ等を外し、フロントフォークを外して三又だけにする。ステアリングヘッドナットを外して、ステアリングを分解する。交換するのはフレーム側に圧入されているベアリングレースと、ステムの三又のロアベアリング&レース。先に三又のベアリングを外しにかかる。

ステムの図  図でオレンジがレースで青がベアリング、黒がフレームとステムです。オレンジのレースは圧入(サイズがギリギリかやや小さいところに無理矢理嵌め込んでる)されているので外すのは結構大変。下のステムに付けられているレースはステムの方に隙間がほとんど無いため工具を入れられないし、上のフレームにつけられているレースは上から引っ掛けて外すんだけどフレームの内側にせり出している部分が1mm位しかないのでこちらも工具が引っ掛からない。


欠けたレース マニュアルにはベアリングレースとステムの間に「−(マイナス)」状の棒を当てて叩いて外す、ということになっているのであらかじめ用意していたタガネを噛ましてハンマーでガンガン叩くがまったく外れる気配も無い。これでいいのか不安になってバイク屋に電話で相談。三又側のレースも圧入されていて簡単には外れないのでコンロ等で暖めて膨張してからじゃないとなかなか外れないとのことなので、火傷したりしながら暖める->叩くを繰り返すが一向に外れない。そのうちタガネの先が潰れてきたり、レースの端がかけたりしてしまったので諦めてバイク屋に持ち込んだ。

 三又の方はとりあえず交換できたので(古いからかバイク屋も結構大変だったと言ってた)フレーム側のレースを外すことにする。こちらは本来特殊工具やレースを外し工具を使うが、工具屋に聞いたら数千円レベルの工具で外せるのは精々原付のレースまでで、まともなバイクのレースを外すにはそれなり(1万円以上)のものが必要だとのことだった。それじゃ頼んだ方が安いのでDIYでバールとスチールの棒を買っておいた。これをレースに当てて叩けば外れるだろうと思っていた。

 レースにバールを当ててハンマーで叩く。かなりでかい音が団地に響き渡るがこれまた一向に外れる気配が無い。そうしているうちにバールの先端が潰れて丸くなってしまってレースに引っ掛からなくなってしまった。仕方がないので保険のつもりで買っておいたスチールの棒でもやってみたが、こちらも角が潰れてしまってレースに引っ掛からなくなってしまった。

 この状態では近所にバイク屋がないので持ち込むこともできないし、来て貰うにしてもすぐというわけにはいかないので暫く途方に暮れていたが、マニュアルで純正の特殊工具を調べてみるとジェベル号もカタナ号も同じ番号だったので、なら多少高くても今後使うことはあるだろうと注文、入荷を待つ。すでにフロントをばらした状態で2週間以上経っていた。

特殊工具、高い工具を取り付けたところ

 工具が入荷したので、作業を再開。工具は幅の調整できる円柱の先が一回り大きくなっているというごく単純なもの。その工具をレースに当てて、(角の欠けた)棒で叩きまくる…前の数回でレースはあっさり外れた。レースが入っていた場所は多少錆が浮いているもののレースを固着させるほどではなかったので、結構強い力でレースが圧入されているようだ。

 レースが入る部分に薄くグリスを塗ったあと、新しいレースを叩き込んでいく(本当はレースインストーラという特殊工具を使う)。レースは少しフレームに埋まっているので外した古いレースを当ててハンマーでレースが斜めに入らないように満遍なく丁寧に叩いて入れていく。外すのとは比べ物にならないくらい簡単に新しいレースの取り付けが終わった。

 ベアリングにたっぷりとグリスを塗り込み、レースにもグリスを塗っておく。最近見かけたMotulのベアリング専用のグリスを使用(前はモリブデングリスを使ったけど、どうもベアリングとは相性が悪いらしい。未確認だけど)。あとは分解したときとは逆の手順で組んで行くだけ。ホイールだのフォークだのは問題ないけど、意外とワイアリングを覚えてなくって時間がかかってしまった。作業前にちゃんと覚えておくか忘れずにデジカメで最初の状態を残しておこう。

 組むときの注意点としてはステアリングステムナットを適切なトルクで締めること。普通はステムナット用の工具は持っていないので、ある程度試行錯誤(実際に荷重した状態でハンドルを切って)で軽過ぎず重過ぎずの丁度いいトルクを見つけ出して締める。意外と手でハンドルを切ってみて丁度良いと思っても、実際に走ってみるとバンクにあわせて自然にステアリングが切れるとは限らなかったりする。

 今までやってきた整備の中でも、一番手におえなかった整備だった。次はマイナスの貫通ドライバー(−状の棒ってこのことだと思うので)を用意して整備に臨もうと思う。



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2006年 9月11日作成
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