フォークオイル交換


1,1L/\4000
ABSO

 先送りして来たカタナのフォークオイルを交換した。新車の場合は慣らしの意味もあるので5000km位が交換時期と言われるけど、すでに9000kmを超えてしまっていた。通常の交換時期が約1万キロごと(という噂)なので、かろうじて許容範囲内と言ったところか。
 今回使用するフォークオイルは円陣屋のABSO(当然ストリート用)。ショップの人の説明はよくわからなかったが、粒子の力で特定の粘度を持たず負荷に応じて性能を発揮するオイルらしい。純正より3倍以上の値段だったけど、円陣屋はけったいな社名の割にはいいものを出しているし、makotoさんも使っていたのでこれにした。
 交換する際にフォークオイルを調べた結果を表にしてみました。カートリッジタイプは専用オイルになるのでこの表にはありません。表はメーカーとオイルの番数と粘度の関係。同じ番数でもメーカーによって粘度が違うのはちょっとどうかと思う。

フォークオイル粘度
粘度
メーカー 番数 40(℃) 100(℃)
SUZUKI G-10 33.3 5.8
G-15 47.7 7.3
HONDA 5号 17.0 3.8
10号 35.2 5.7
YAMAHA G-5 17.7 3.8
G-10 33.2 5.7
G-15 47.3 7.2
KAWASAKI G-10 33.7 5.8
G-15 49.5 7.3
KAYABA G10S 37.2 6.2
G15S 55.2 7.8
G30S 116.1 16.7
SHOWA SS7号 16.6 4.1
SS8号 36.8 5.8

こうしてみるとカタナに見えない?

 さて、実際の作業だけどSYにはフォークオイルドレンが無いのでフォークを外す必要がある。ドレンがあっても外してトップからオイルを抜いた方が良いのは言うまでもないことだけど。まず、車体をジャッキアップしてフロントを浮かす前にアクスルナット、ブレーキキャリパボルトを緩め、アッパクランプボルト(トップブリッジでフォークを締めてるやつ)を緩めてからフォークキャップを緩める。これらは比較的高トルクなので不安定なジャッキアップ中に緩めると車体を倒しかねません。BabyFaceはセンタースタンドが使用できるのでまずセンスタを使い、エンジン下部に木切れをはさんでパンタグラフジャッキをあてる。車体の中心からは少し外れるけど車重があるせいか安定していた。このフロントの浮かせ方の場合、あまりジャッキアップしすぎると下ろす際にセンスタが外れてバイクが倒れる事があるので注意が必要。



キャリパ吊り下げ

 次にブレーキキャリパ、ホイール、フェンダーをフォークから外す。ブレーキキャリパを外したらブレーキホースで吊るした状態はまずいのでハンドルやミラー(カタナの場合カウルフレームがベスト)から紐で縛って吊るしておく。当然作業中はレバーを握らない事。フェンダーはフォーク側をマスキングテープとかで被わないと取り外しの時にフォークのネジ穴のあたりに擦って疵が付いてしまう・・・僕はやらなかったんでキズを付けてしまった。フェンダーを留めている4本のボルトのうち1本が無くなっていて、残りは今にも抜けそうな位緩んでいたのには驚いた。



泥どろドロ

 後はハンドルクランプボルトとロアブラケットの固定ボルトを緩めてフォークを引き抜く。その後フォークキャップを外してスプリングを抜き、フォークをゆっくりとストロークさせながら古いのオイルを抜き、スプリングをパーツクリーナーで洗浄する。オイルは泥色になってはいるけど、まだ透明度も粘度も保っていて、特に金属片も見当たらなかった。

 標準のフォークオイルは逆車はG-15で国内版はG-10。ABSOはG-15と比べて柔らかいらしいので、規定量でG-10とほぼ同じ状態になると思う。
 メスシリンダーに規定量(232cc)のオイルを注ぎ、気泡が消えてから2/3程度をフォークに入れて、ゆっくりストロークさせてエア抜きをする。最初はポコポコと空気がかんでいる音がするけど、10回もストロークさせると静かになる。オイルを全部入れてから油面を計ると、油面が規定値(176mm)より低い。フォーク内に古いオイルが残っているから規定量入れたら規定値より油面が高くなるはずなのに・・・。結局+3ccくらいで規定油面-2mmになった。
 油面はスチール製の定規で測る。表面張力の関係で多少の誤差はあるけど、肝心なのは左右の油面を合わせられればいいのでこれで十分。入れすぎたオイルはゴムチューブを人間ポンプで吸い出した。注射器を用意したけど、使う必要は無かった。ホースもストローを継ぎ足すだけで代用できそうだった。

 組み付けの難関はフォークキャップの取り付け。スプリングがあるので押さえ込んで締めなきゃならないのにイニシャルアジャスターが邪魔をしてソケットがかませず、めがねレンチでは押さえがきかない・・・結局一人では無理だったので手伝ってもらい何とか取り付け完了。
 フォークキャップはボルトの頭が薄く、素材も柔らかい(アルミ?)ので12角のレンチだと歪んでしまう。どうせこの後セッティングのためにオイルを足し引きするので19mmのディープソケット、もちろん6角で面接触になっている物を買った。

 取り付けのとき、スムーズにフォークが入らない場合はトリプルツリーのどこかが歪んでいる事になる。さすがに立ちゴケもしたこと無いのですんなり収まった。
 左右のフォークを同じ位置に取り付けるために、仮止めの状態でアクスルシャフトを通す。アクスルシャフトが左右の穴の間をスムーズに通れば向きと高さが合っていることになる。
 後は元通り組めば終了。

 ABSOの感想は、負荷がほとんど無い状態ではかなり柔らかい印象だけど、ある程度荷重がかかった(フォークがストロークしている)状態だとノーマルより固い印象を受ける。


補足1

 SY(ファイナル)のマニュアルにはフォークオイルの量は232ml(参考値)とあるけど、実際には270mlほど必要。フォークオイルを買うときは500mlでは足りなくなるかもしれないので注意。

補足2

 チープなオイルレベルゲージの紹介。
 T字型の厚紙のタテの棒の部分を油面と同じかやや長く取って、横棒から測って油面高さになるところに印(線とか)をつける。左下写真で赤い矢印が油面の高さで、黒い矢印の先に見えにくいけど線が引いてある。車のエンジンオイルチェックする棒(あれ、なんて言うんでしょう?)の要領で使う。
 紙だと当然油がしみてしまうので、先端部分だけ透明なテープなんかを貼っておくと繰り返し使える・・・というか油面をあわせるのに何回か測りなおすことになるし、一回で決めても左右あるので防油対策は必須。
 これをプラスチックとかで作って印までホースを付けて手元でポンプ(注射器)につなげば1000円以下でオイルレベルゲージが作れます・・・って今度作ってみます。

丁度印のところに反射が 意外と簡単です
簡易ゲージこんな感じで使います




2001年01月15日作成      2004年01月27日加筆修正
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