リアブレーキキャリパのオーバーホール


 リアブレーキのダストシールが外れてしまった。キャリパの内壁とピストンとの間のクリアランスが少ないため、キャリパを割らないとダストシールの付け直しができない事と3万キロ以上の走行距離を考えてキャリパのオーバーホールを行う事にした。

キャリパモデル図

 上図の左がカタナ、右が現在の一般的なブレーキのシールとピストン。赤がダストシールで青がオイルシールでグレーがキャリパボディ、黒がピストン(と思ってください)。右の場合オイルシールとダストシールは同じ構造で密着性が高く、外部からの異物の進入は殆んどない。一方カタナの方は、一見ダストシールがピストンを包むようになっているので良さそうだけど、ピストンとキャリパに用意された溝に引っ掛けてあるだけなので砂等はともかく液体の進入にはそれ程の効果が望めない。

 さて、作業の方はキャリパからブレーキホースを外し、フルードが車体にかからないようにボロキレを入れたビニール袋でフッティングを覆う。本来はキャリパを外す前にハウジングボルト(キャリパの左右を結合するボルト)を緩めておくべきだけど、クリアランスの関係で手持ちの工具が入らなかったのでそのままキャリパを外す。普通ハウジングボルトは内側にあるのでエクステンションバーを使っても長さが合わずに緩める事ができない場合がある。このときキャリパを逆向きに取り付けて工具を当てれば良いのだけど、カタナの場合ボルトの長さとネジ山の切り方の関係でこの方法も使えなかった。

この状態で蹴る!

 キャリパハウジングボルトはブレーキの発する熱でかじっているのでかなり固く締まっている。万力でキャリパを固定し、ラチェットではなくスライドバーにソケットを付けてバーに何度か蹴りを入れてようやく緩める事ができた。

 何とかキャリパを割ってピストンと対面。これが酷く錆びてる。特に触れないダストシールの窪みからオイルシールの間。材質が鉄にメッキでは錆びるのも当然だ。わずかな期待を胸に花咲かGで錆びを落としてみるが、地金が錆びに侵食されてしまってかなりの凹凸が摺動面にできていた(下の画像。右が錆び取り前、左が後)。これではピストンの凹凸がオイルシールを削ってダメージを与えてしまうので再利用を諦める。作業開始の時点でピストンは用意していなかったので発注。シール交換毎にピストンの交換をすることになるかと思うとうんざりする。ちなみにピストンセットにはダスト・オイル両シールが含まれているので数年ぶりにキャリパを割る際は念のためシール単品よりこちらをお勧めします。

錆び取り前錆び取り後

 気休めで新品のピストンに錆び止めに花咲かGを塗布する。組み付ける時に部品の保護と組み立て時にエアが噛まないようにピストンとシールをブレーキフルードに漬すことになっているけど、今回は流動性の低いシリコングリスを使用。これでダストシールから浸入した水分からもある程度はピストンを守れるし、ダストシールの裏側の保護もできるだろう。

 後は逆の手順でキャリパを組み、取り付ける。いつも通りの手順でフルードの注入&エア抜き。経験上オーバーホールの時はどうしてもエアが混入してしまうけど、フルード交換の時よりもしっかりとブレーキに力を掛けて、しつこいくらいに繰り返せばエアは抜けます。



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2003年11月25日作成       2003年12月22日加筆修正
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