刀に乗るまで


初めてカタナを見たのは、小学生の頃だった。

多分、カタナが発売されてそんなに時間は経過していなかったと思う。実際に存在する物でテレビのロボットなんかと同様に「かっこいい」と思えるスタイルだった。今に至っても、実用的な製品でこういうレベルで「かっこいい」と言えるデザインのものはないんじゃないかと思う。
この後どうなったかと言うと、どうと言う事もなかった。周囲にバイク乗りもいなかったし、小学生では免許も取れない。何よりも、カタナに乗るためにできることはなかったし、しようともしなかっただろう。

バイクを再び意識したのは、16になって、免許が取れるようになったときだ。バイトをして、教習所に通ったまではいいが、ごたごたがあって結局卒業はできなかった。
高校を卒業して、晴れて浪々の身(単に受験に失敗して浪人した)になってしまったが、免許はすぐに取った。免許を取ればバイクは当然ほしくなるが、親の手前、おおっぴらにバイトもできないため、維持費の安いSX125というスズキのオフ車を買った。浪人という自覚から遠出こそしなかったが、もう一年浪人するくらいには乗っていた(もちろん少々バイクに乗ったからといって2浪もするはずがなく、怠ける癖がついてしまったためである)。

ようやく大学に入れた頃には、カタナは250にも400にもラインナップされていた。早速手に入れたかというとそうではなく、BANDIT400Vに乗っていた(125ccからいきなり大型に乗ろうとは思わなかった)。
多分、僕にとってのオリジナルのカタナは1100だということと、限定解除=カタナという小学生の頃の図式がそのまま残っていた事が原因だろう。

大学生になって、長距離のツーリングにも行くようになり、初めてバイクの本当の面白さを知ったような気がした。
カタナに乗りたいという気持ちはずっとあったけれど、この頃はとにかくツーリングが楽しかったし、国内版が発売されていたので、いつでも乗れるという気持ちがあった。

1999年の秋頃にカタナが生産中止になるという情報を得た。まだ大型免許もないが、とりあえず残っている新車を探して手付金だけでも打って確保しておこうかと考えた。
そうこうしているうちにモーターショウに出てくるFinalEditionと呼ばれるカタナが発売されるという噂を聞き、ショップに確認に行くと、限定生産で出て来るとのことだったのですぐに予約(約束)した。11月ごろで、メーカーはまだ何のアクションも起こしていなかったため、とりあえずカタナ関係の情報をすぐに回してもらうようにしてもらった。
すぐに教習所に入ったが、丁度仕事が忙しい時だったので、何度もキャンセルをしなければならず、発売までに免許が取れるかどうか不安になっていた。
1月(?)に正式に契約、車体だけだと7万円の割引だった。教習所もキャンセル料がかさんだけど、すんなり卒業できた。これからの待つ時間が非常に長く感じた・・・。

バイク屋に届いたのが4月5日、取りに行ったのが4月8日、晴天だった。
最後のカタナは十数年たった今でも、僕を興奮させるのに十分な魅力を持っていた。




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2000年07月04日作成
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