ステアリングステムナットの増し締め


 フルブレーキング時にハンドルから「ぶぶぶ」というブレは少し前から感じていたけど、タイアが減っている状態だとこういう挙動をすることもある、と聞いた事があった。でもタイアとフォークオイルを交換した後もやはりブレを感じるのでどうもステアリング周りに原因があると考えた。

 車齢10年、走行距離約2万キロのこのジェベル号は、少なくとも過去数年はステアリング周りを整備された形跡はみられなかった。もしこの見立てが正しければ分解整備を行うのが作業としては適当だろう。
 今回はとりあえずステムナットの増し締めだけやって、その後でステアリングの動きを確認する事にした。最終的には一度分解して整備するつもりだけど、一度増し締めをして症状が残るようならベアリングを注文してから、症状がなくなればそのまま分解整備を行うことになる。何でかというとジェベルの場合増し締めには分解が必要なく、いきなり分解してしまうとベアリングに異常あった場合、部品注文をしてからもう一度分解するという手間がかかってしまうのを避けるためだ。

ナットが削れてしまうほど固く・・・
ステムヘッドナット

 まずハンドルロックでステアリングの動きを固定してから作業に入る。バーハンドルの車種の場合、大体ステムナットはハンドル直下に位置しているのでハンドルを外す。外したハンドルはケーブルやブレーキホースに無理がなく、ブレーキの上下を維持している状態(逆さにすると、エアをかんでしまう)であれば問題ないはずなので適当にずらしておく。
 次いでフォークをトップブリッジに固定しているボルトを緩める。これは多分ステムナットを締め込んだときにトップブリッジの位置が変わるので、ここが固定されていてはまずいという理由だろう。そしてステムヘッドナットを緩める。このナット、径が大きく締め付けトルクも大きいので緩めるのはかなり大変(ジェベルで30mm、800〜1000kg・cm)。長年放って置かれたことを物語るかのようにナットが固かったので、ラチェットハンドルでは不安を感じてソケット+エクステンション+スライドヘッドハンドル+エクステンションという構成で何とか緩めた(スライドヘッドに更にエクステンションを足さないと回せなかった)。
 こうした普通(3/8seq)のトルクレンチでは計測できないようなボルトを緩める場合、マーカーで緩める前の位置が分かるようにマーキングしたり緩めたら元の位置まですぐに締め込んで感触を覚えておくと組みなおす時のトルク管理が少しだけ安全になる。トルク管理はプロでも勘に頼らず計測するくらいなので、ちゃんと計った方が良いのだけど。

薄めのフックレンチが必要
ステムナットを増し締め

 これでステムナットを調整できる状態になったので締め込む作業に入る。一般的にステムナットは円に切り欠きがある形状になっているので専用の特殊工具かフックレンチを使って回す。特工は大体ソケットになっているので使うには分解しなければならない。車種によってはステムナットがロックワッシャーなどで固定されているものもあるので、そういった場合にも分解しなければならない。
 ここで僕はひとつミスを犯してしまった。フックレンチの柄がタンクに当たってしまって回せなかったのだ。他の位置にレンチを噛ませようとしても、フォークが邪魔で無理だった。微妙なバランスで載っているハンドルを気にしつつ何とかタンクをずらして、無事締め込み作業を終えた。

 締めこんだのは3/4回転だったが、締め込みすぎたようでややセルフステアを殺してしまった状態(セルフステアが効かないというのはかなり危険だったりする)。フルブレーキングでブレは感じないようになったけど、この状態での判断は信用に足るものかというとそうじゃないと思う。
 ただ締めすぎた状態でもステアリングに引っ掛かるような感触はまったく無かったので、とりあえずベアリングは注文しないで分解することに決めた。

 という事で、次回は「ステアリングステムの分解整備」。いくらかの部品代をケチった結果がどうでるか・・・。



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2002年01月27日作成
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