乗鞍ツーリング


2000年09月22日〜09月24日
雲幾重
ぶどう峠から西を望む

 9月22日

 とにかくツーリングに行きたくて、連休に乗鞍方面に行くというSさんに同行することにした。
 天気予報は直前まで二転三転していたけれど僕は雨なんか降らないことをなぜか確信していたし、残業続きで起きられるはずの無い時間にもきっちりと目が覚めた。予想通り朝方まで残るはずだった雨はすでに止んでいた。

 道の駅上野に9時に待ち合わせだったので、6時半前に出発する。僕の経験では2時間半あれば着けるはずだったのに、外環で事故が2つもあったり鬼押し橋の通行止めや土砂崩れのため1時間近く余計にかかってしまった。
 携帯が繋がらなかったので、Sさんはずいぶん心配していたそうだ。1時間も遅れればさすがに心配しますよね、本当にゴメンなさい(最近はあっちこっちで謝ってばかりだ...もっとも全部自分が悪いんだけど)。

 R299、十石峠は通行止めなので(何年も前から・・・なんで?)、県道124号でぶどう峠を越えて長野入りする。県道の群馬側は相変わらず路面も見通しも悪い悪路っぷり。峠では晴れてきたおかげでなかなかの景色を見ることができた。
 R299麦草峠越えルートでは時間がかかりすぎるので、佐久まで北上してR254で松本へ向かう。途中、道の駅ながとで昼食。雲ひとつ無い天気の割にはなかなか気温が上がらないので暖かい蕎麦がうまいが、このあと乗鞍まで行くことを考えると早くも寒気を感じてしまう。

空が蒼い!
三才山トンネル料金所前

 三才山トンネル・松本トンネル有料道路を使って松本市街をパスするルートを取って時間を稼ぐ。三才山トンネル有料道路の料金所は犀川沿いの街並みと北アルプスが見渡せる位置にあって展望が良い。
 R19からR158に入ったところで休憩。この辺はまだ標高が低いのでそれほど寒くはないけどフリースを着込んで、明日の朝食を買い込む。僕は(多分Sさんも)宿に泊まった場合、のんびりと朝食をとったりはしない。大体朝食の時間が、都市部でなければ一番走ってて気持ちよく感じる時間帯だから。

 R158は乗鞍への一本道で、交通量も少なくないので車の流れに乗って高度を上げていく。しばらくは線路沿いなので、町並が続くけど線路が終わると少しずつ山谷が深くなり気分が盛り上がってくる。
 マップルにはこの先にガソリンスタンドのマークがなかったので、稲核あたりで長野側最終スタンドの看板を発見したので慌てて給油する。この日泊まったユースのペアレントの人からも言われたけど、乗鞍の上がってしまうとスタンドは全然ないので泊まる場合は注意しないといけない。


 スタンドのすぐ先にある道の駅風穴の里で休憩しつつこの先のルートを確認。3時を過ぎていたので、県道84号で乗鞍高原に入り、とりあえず白骨温泉に入りに行くことにする(ユースホステルはチェックイン、と言うか晩御飯の時間が早く、この日は5時半までに着かないといけなかった)。
 休憩しながら日差しを浴びていると暑いくらいだが、気温は13℃しかなく走り出すと体が冷えてしまう。ちょっと下に上高地乗鞍林道の表を載せます。

区間名 区間 料金
黒川渡−乗鞍高原 310円
乗鞍高原−白骨温泉 210円
白骨温泉−中の湯 260円

 乗鞍高原の手前の奈川渡トンネルの中に、県道26号上高地乗鞍林道A方面への分岐があってそっちの方が直進するかたちなので紛らわしい。県道84号で乗鞍高原へ向かう。この辺は日陰になる場所が多いので、標高の高さもあって結構寒い。少し冷えて鈍くなった指先でレバーを操作しながら気持ちのよいコーナーをクリアしていく。
 乗鞍林道Bの入り口にはチープな造りの料金所がある。林道だけど有料なので全面舗装されていて、路面も悪くないけど幅は両側で1.3車線ぐらいしかない。勾配が急なところが多く、標高が高いのである程度回転を上げて走らないと登りコーナーの立ち上がりとかで失速しそうになるけど、狭くタイトな道なのでコントロールがめんどくさい。

 白骨温泉の看板があったので、そちらに向かう(このとき僕は温泉が1軒しかないと思ってた)。すでに4時半を回っていたので、5時には出発しないと時間に間に合わないのでさっさと温泉に入ることにする。僕はからすの行水なのでかまわなかったけど、長湯好きなSさんにはいささか申し訳なかった。
 泡の湯温泉[1]は入浴料800円で内湯と外湯がある。外湯は温泉じゃない屋内の風呂と洗い場、温泉の露天がある。温泉はややぬる目で景色もよく静かなのでゆっくりつかるには最高の条件が揃ってる・・・のになぁ。
 僕は入れなかったけど、Sさんによると内湯は同じ料金で70畳敷きの大きな温泉だそうです。ちょっと残念。

 十分とは言えなかったけど温泉を堪能した後、林道入口を西に入った所にある乗鞍高原温泉ユースに向かう。
 ユースは珍しく満員で、既にいっぱいの部屋のベッドは全部埋まっていた。ちょっと話すとバイクのヒトもそうじゃないヒトもとにかく寒い寒いと言っていた。畳平で雪が降ったと聞いた時にはさすがにびっくりした。

 このユースには温泉があるけれど、混んでいそうなのと外で寒そうにたばこを飲んでいる僕を見かねてかSさんが湯けむり館[2]に行くことを提案してくれた。早速Sさんのバリオスにタンデムして出かける・・・と言っても5分かからない距離にあるけど。
 湯けむり館は白骨と同じ泉質で、結構広い屋内湯と露天がある。真っ暗な夜に白濁した温泉に浸かってるのはなんとも言えず贅沢で良いものです。

 後ろに乗っているSさんはそうでもなかったようだけど、運転している僕は帰りの5分の道のりで結構冷めてしまった。
 ユースの傍にはほとんど光源がないので久しぶりに満天の星空と言うものを見た。僕は東京で育って、割と早いうちから目を悪くしたせいもあって星座とかにはほとんど興味を持たなかった。だから、こういう時はいつも少しだけ損をしているような気になる。ま、藤枝梅安風に言うと走り星を見れたんで良かったけど。

 部屋に戻り同室のヒトとこの辺の情報交換の結果、明日予定していた御来光を拝みに行くのはちょっと無理かなぁ・・・などと考えながら就寝。

寒い寒い
乗鞍岳

 9月23日

 朝4時半に起床して、もう起きていたSさんに昨日聞いた話を伝えて御来光はあきらめることにする。夜明け前の冷え込みの中、バイクのシートは結露していて油温系はマイナスを指していた。
 バーナーで(これだけ持って行っていたけど、大正解)飲み物を温めて朝食を摂りながら延々と暖気。6時を過ぎて日が昇ったところで乗鞍方面へ出発する。

 関東平野の真冬より冷たい風と雲ひとつない青空のせいか透き通った空気の中を走る事ができた。ワインディングも景色もすごく良くて、走っては景色を眺め、眺めてはまた走ってを頻繁に繰り返してしまう。もっとも、すぐに手足が冷えてしまうので乗り続けるのがしんどかったって事もあるけど。

 畳平でしばし休憩して乗鞍スカイラインに入る。高山市のあたりだろうか、盆地にふたをするように雲が被さっているのが見えた。空には雲が全く見えないだけに妙に面白く感じた。
 乗鞍スカイラインは急斜面に造られているので、コーナーでは空に飛び出してしまいそうな気になる。天気が良ければ怖いというよりは爽快な気分の方が強い。

梓川の方向かなぁ
C区間入口付近

 平湯から安房峠を目指す。こちらは平湯の温泉を過ぎると車はあまり見られない。峠への興味は多分、バイク乗りの方が強いからだろうか?
 中の湯から上高地乗鞍林道C区間に入る。昨日通ってない区間だけど道路の状況はほとんど同じ。ここは乗鞍を循環するルートの中では一番緑が近く感じられる。もっとも乗鞍スカイラインはほとんどハイマツ林だからって事もあるけど。
 路側にバイクを停めエンジンを停止させると、はっとするほど静かだった。

 白骨でまた温泉に入る。湯川の河原にある白骨温泉野天風呂[3]は、男湯は橋の上や河原に降りる階段から丸見え。メガネを外していたのでよく分からなかったけど、ずっと橋から顔を覗かせているヒトがいたなぁ・・・。

 乗鞍で唯一走っていない林道のA区間で松本へ向かう。白樺峠から標高が下がるに従って森が濃くなって行くのが分かる。
 松本から今日の宿泊地(この日決めた)である長野市にR19からR403で向かう。本当はR19だけで行けたんだけど、前を走っていた僕が勘違いしてR403に入ってしまった。予定外だったけど、猿ヶ馬場峠前後のワインディングはなかなか良かった。

 更埴で県道77号へ乗り換えて、相変わらず分かりにくい場所にあるユース(善光寺教授院)に着く。
 このユースは食事が出ないので薦められた「魚とし」と言う天ぷら屋に行ったんだけど、カウンターだけの店にしては安くて(天ぷら5点+ご飯+味噌汁で1100円。ユース宿泊客と言えば一品おまけしてもらえる)美味かった。

渋峠からの眺望
笠ヶ岳...だと思う

 9月24日

 志賀草津道路を越えて帰る。千曲川を越えて県道66号で東から渋峠の手前に合流するコースを選んだ。朝日に目を細めながら気持ち良くワインディングを流していると、山田牧場で「この先通行止め」の看板を発見。仕方なく中野からR292に乗るために引き返す事にする。
 この道は他に分岐しないんだから、もっと手前に看板を置いておけよな、まったく。

 志賀草津道路はなかなか豪快なワインディングなのでお勧め。今回は遠回りをして時間を食ってしまったので、車をかわしながら走る事になってしまったので少々消化不良だったけど。
 渋峠ヒュッテで、Deversion900に乗る人と話す。何でもファイナルのカタナも欲しいと思っていたけど、実際にツーリングで走る事を考えて諦めたらしい。それでDeversion900という感覚はなんとなく僕には頷けたので、ついつい話し込んでしまった。

 峠を越えて南側に出ると暖かく、ついついウトウトしてしまいそうになる。草津の手前で車の流れに乗っていると軍手+ライディングブーツのカブ90が僕を抜いて行った(僕はイエローラインでは追い越しをしないから)。仕事で走っているような感じだったけど、意外とうまくてまともに走っても抜かれたかも知れないとか思ってしまった。

 草津から六合を経て県道55号、ロマンティック街道で関越道を目指す。学生の頃、何度も来た暮坂峠でなんとなくあの頃の感覚を思い出す。あまり変わって無いなぁとか思ったけど、それって成長してないって事だということに考えが至るとさすがに憮然としてしまう。

 R353に入ると、連休最終日だけあって混雑してくる。渋滞に近いペースになると振動のせいで手首が馬鹿になってくるし、油温も100℃を簡単に越えてしまう。高速でもすぐに渋滞してしまって、眠気と戦いながら帰宅した。
 走行距離は少なかったけど僕は十分に疲れていて、久しぶりにすぐに眠りに就く事ができた。

走行距離:880km



[1] 泡の湯:長野県南安曇郡安曇村 [戻る]
内湯(10:30〜13:30)・外湯(10:00〜17:30)ともに800円。ここは広い内湯の露天が有名だけど、泊まらない時は時間に注意しないと入れません。ちょいとぬるいです。


[2] 湯けむり館:長野県南安曇郡乗鞍高原 TEL:0263-93-2589 [戻る]
10:30〜21:00で700円。休憩所があるのでのんびりできます。


[3] 白骨温泉露天風呂:長野県南安曇郡 [戻る]
10:00〜17:30で500円。湯川を眺めながら入浴できる、ちょっと狭い露天風呂。男湯は覗けます。


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2001年09月30日作成            2001年10月14日更新
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