中部貫通


2006年09月25日〜09月28日
地球が丸く見える
杖突峠より(クリックすると大きくなります)

 9月25日

 もう十年以上使っているリアバックをカタナに載せて7時過ぎに一年ぶりのロングツーリングを開始。GWに体調が悪くて予定をキャンセルしてしまったので、思えば前回泊りがけで出かけたのは一年以上前のことになってしまった。

 彼岸も過ぎてやや冷たくなってきた空気を切って、外環〜関越と慣れたルートを渋滞に合わずに走り抜けて10時過ぎに東部湯の丸I.C.で高速を下りる。K84からR254で乗鞍を目指す[MAP]。工事が多く予想以上に時間がかかり、ほぼ正午に松本トンネルを抜ける。K48からK278(狭いけど市街をバイパスするルートとしては最適)を使って松本市街を避けて乗鞍方面に向かうが、K278に入ってすぐに工事通行止め。休日に比べればまだ交通量の少ないR158でゆっくりと進む。ここのところ(といっても暫く遠乗りしてなかったけど)は休みなしで200kmくらい走ると疲れてしまっていたが、最近は地味に運動していたのでまだまだ余裕があった。ちなみにやってる運動は自転車で、密かに安房峠越えとかも目論んでたけど正直今の体力ではまだまだお話にならないって事がわかった。

 安房トンネルは使わずに、晴天の下、ほとんど車の通らない国道で安房峠を越える。エンジンの熱で焼かれた山の風の匂いを嗅いでツーリングに来ていることを実感する。そう、ワインディングや風とかじゃなくこの匂いが一番実感を伴うのだ。

暑い
平湯から

 半分眠りながら高山方面へ下り、2時過ぎには高山市街に着いてしまった。ちなみにこの日の泊まりは高山である。GSで駐輪可能な場所を聞いて市内観光。まず高山城跡に登る。すぐ下に大きな駐車場があってたくさん人がいるが、遺構がほとんど残っておらず、まるで箱根山[MAP]のような城跡を歩き回って会ったのは地元っぽいプチトレッキングのおばちゃんとギターを持ったおっちゃんだけだった。古い町並みも見に行ったが、駐車場の料金や積みっぱなしの荷物も気になったのでざっと眺めただけで市街を後にする。やっぱりこういう観光はツーリングでは難しい。

 市街を抜けて飛騨の里に向かう、というか宿への道を間違えて、かつ時間に余裕があったので寄ってみた。保存されている古い家屋は中に入ったりできるので面白く、何より中に入ったときの「匂い」(そう、また匂いだ)に子供のころの記憶が揺さぶられてしまった。ちなみに駐車料金は300円だけどバイクは只だった。

池が良い感じ
飛騨の郷

 良い感じに日も暮れてきたので今度は道をしっかり確認して宿に向かう。ソロツーリングでは初のホテル(ビジネスだけど)泊まりだ。中心部からちょっと離れた、観光客向けの施設が集中している丘の上にある宿に5時ごろに到着。一息入れてから途中で見かけたココイチにバイクを走らせてチキンカツカレーを喰う。来る前はGWの繰越分の予算があるんで飛騨牛とか喰おうかと考えなくも無かったがココイチを見つけた瞬間に他の選択肢は一切消えてしまった。カレーパワー恐るべし。

 満腹して宿に戻りビジネスホテルには珍しい大浴場の、さらに珍しい(なんちゃって)露天風呂に高山の夜景を眺めながら浸かり就寝。

 9月26日

 7時開始の朝食バイキングにあわせて起床し、味噌汁と納豆でご飯を食べる。普段は走り出して最初に見つけたコンビニでパン+缶コーヒー+ニコチンというパターンが多いのでこうして普通に食事してると出張みたいだ。降水確率40%で傘マークも出ている曇天の下、ちょっとむずかるカタナ号を宥めながら走り出す。

天気は悪いけど
R158 快走

 R158(472)をひたすら西へ。道幅広く、Rの大きいコーナーが多く、交通量が少ない快適なルート。手持ちの古い地図では点線で描かれている東海北陸自動車道がたまに交差するが、これ本当に必要なのだろうか?もともと良い国道にちょいと金かけて整備した方が安く上がるし無駄が無いと思うんだが。松ノ木峠あたりでは10度しかなく、山の上には雲がかかっているような状況なのでいまいち気分が乗らなかったが、予報とは裏腹に薄日が射してきたので気分もノって来る。

ススキが…
油坂峠から白鳥を見下ろす

 荘川を過ぎたあたりから神戸ナンバーの2人連れと抜いたり抜かれたりしながら走っていたが、前後して九頭竜ダムに着いたのでちょいと話をする。なんと70歳オーバーの2人で、東海道から諏訪を経由してからのルートはほぼ一緒だった。この辺の年頃の人からは学生に見えるらしい…といってもうちの親父と同じ年頃なんで、流石にそりゃないだろうと思う。とか書いてみたけど内心ではこれまでの人生で散々老けて見られたので若く見られるのはかなり嬉しい。

 越前大野の少し手前の仏御前の滝に立ち寄る。スノーシェッドの上を滝が流れる珍しい場所。この滝を見るにはえらい急勾配の階段を登らなければならない。険しく落差が大きく足場も少ないので全景を一望することはできないのが残念だった。

汗だくっすよ
仏御前の滝

 大野市街のコンビニでパンを喰い、R476を通ろうとしたが分岐を見逃してしまったのでR158で今回のメインである一乗谷朝倉氏遺跡へ[MAP]。この日の行程が短いのはここを堪能するためで、復元した町並みや朝倉氏の館跡などを歩き回る。資料館などもあるけど、基本的には「蛇が卵を飲み込んだ」ような地にある遺跡を見ることになる。少し奥にある富田勢源の墓があると言われている盛源寺でそれらしい石にお参りをして、さらに奥の一乗滝[MAP]に行くも滝の上流で工事していて立ち入り禁止。ゲートから滝は見えるものの水に汚泥が混じってしまってがっかり。全部は押さえられなかったが十分満足して福井市内の昨日と同じ系列の宿に向かう。

ちょっと寂しい
復元された町並み

 15時半に宿に着き、市街へ出る交通手段を聞いてバスで出かける。ちなみに本数が少なく一時間近く部屋でぼんやりしていた。30分ほどバスに揺られて福井駅に出て、現在は県庁や県警が入っている福井城の遺構を見る。せめて石垣に登りたいと思ったが禁止されていた。雨が降り出したのでドトールで一服したりダイソーを覗いたりしていたが、ふと気になって帰りのバスを確認したら18:20が最終で(このとき丁度18時)、慌ててバス停の傍のラーメン屋で食事をしてバスに乗り込む。ツマラン。

 この時点での予報では明日は雨に降られそうだが、向かう岐阜は早くに雨があがるらしいので当初予定していた通り郡上八幡ではなく冠山峠を越えて行こうかと考えつつ寝に就く。

 9月27日

 予報では朝方は雨だったので7時まで惰眠。起きて外を見てみると、昨晩の雨はあがっていたが降りそうな曇り空。もう少し様子を見ることにして朝風呂に入り(ここでは2〜5時以外は大浴場で入浴可能)、朝食を摂るが空模様は変わらなかったのでとりあえず予定通り冠山峠越えで岐阜県入りのコースを採る。すでに9時。

 走り出してすぐにデジテンが点かなくなる。たまに点くと、電圧が「Lo」を表示してすぐに消える。「駆」とか言う聞いたことの無いバッテリとはいえ交換したばかりだし、前に一度交換しているレギュレータか、あるいはオルタネータが逝かれたんだろうか?どちらにしても旅先で直せるものじゃないし…と様子を見ながら走り、K25沿いのGSでバッテリの電圧を測ってもらう。バッテリは9.6V、ヤバイなぁと思いつつエンジンをかけて吹かしてみても電圧変わらず。オルタネータも逝ったのか?でも1時間近く走ってこれたし、今だって元気にセルが回ったぞ?GSのテスタがやたら古いせいか?少なくとも僕の知識では判断できなかったので、不安ではあるがカタナ号の調子そのものは良いので逝ける所まで逝ってみることにする。

こういうの好き
R417 林道になる3桁国道

 R417で岐阜に向かうが、R476との交差点で岐阜県側が通行止めとの掲示。R417は県境である冠山峠付近は林道冠山線となっていて国道としては繋がっていない。しかも結構ハードな舗装林道のようなのでもしかしたら今年の大雨で崩れたのかも知れない。南下できない以上は東に向かうしかないので昨日のルートを一部戻って郡上八幡に行くことに。飯降山の峠以外は走りやすいR476を行く。途中、ピースサインを別の意味と勘違いして立ち止まると萌叡塾というのを主催している人で色々と話をする。時間があれば来てみたいが社会人にはちょっとキツいか。

 大野市街でパンを齧り、小雨が降り出してきたのでカッパを着て昨日走ったR158を避けてR157からK230で九頭竜湖を抜けるルートを取る。麻那姫湖付近は走り応えのあるワインディング。すごい立派な青少年旅行村から県道へ。路面は悪くないが落石や木の葉や枝が多い細かいカーブの多い道。悪路好きなのでそれほど難儀ではなかったが、細かいカーブが延々と続くし小雨は降るしで伊勢峠[MAP]を越えたあたりで正直飽きてしまった。

天気が悪い
九頭竜湖を裏から見る

 R158に合流し、鬱憤を晴らすようにアクセルを開けて油坂峠道路(無料)で県境のトンネルを走り抜けると岐阜県は快晴だった。

 カッパを脱ぎ捨て(捨ててないけど)南下、ひととおり見るには時間が足りない郡上八幡では城と宗祇水だけを見る。郡上八幡城は高山城と同じ平山城で、昨日見た福井城は平城。城郭の種類と時代は大体一致していて(もちろん例外もあるけど)福井城の方が新しい。いわゆる「所堅固から国堅固」というのが良く分かる。町並みはゆっくり見なかったけど、中身が観光客相手の店に改修されている高山よりそのまま文房具屋とかになっている郡上八幡のほうが面白い。すれ違った地元の高校生が「宗祇水飲んでく?」とか言っていた。

ここでデジカメの電池が切れた
郡上八幡城 展望良し

 R256〜R41〜K68で今夜の宿である中津川を目指す。どのルートも走りも楽しめるし景色も楽しめる(R256は峠、R41は飛騨川、K68は棚田[MAP])道で、西日を浴びながら快調に飛ばす。ツーリングマップルにはR256から郡上八幡城を見下ろせるとあるが、残念ながら展望がある場所が少なくバイクを置く場所も少ない。ただし時折見える景色はかなり良い。100選に選ばれた棚田もあるが日が暮れてしまったのでパスして恵那でR19に入り、丁度夜の渋滞の中を走り宿に到着。

256ってすごい馴染みがある
R256にはこんな所もある

 幸い朝の電装のトラブルの影響は無かったが、テスタをあてたGSからは一度もデジテンが点かなかった。宿の近くのびっくりドンキーでハンバーグを喰い、明日の朝セルが回る事を祈りつつ就寝。

 9月28日

無人
馬篭宿はすごい斜面にある

朝飯前にバイクに荷物を積み、緊張しながらセルスイッチを押すと…元気良くセルが回りエンジン始動。ホッとしつつバイクに付いた結露を拭う。朝食を摂り、まだ空いている中津川市街をバイパスで抜けて馬籠宿へ。少し手首が重く感じる。8時前のまだ人気のない宿場町を歩く。早い時間だと観光地でものんびり景観を楽しめるが、ちょっと不便だったりもする(施設が開いてなかったり、地ビールが買えなかったり)。馬籠峠からR256の気持ちのいいワインディングを抜け、K8[MAP]で飯田へ向かう。舗装林道並みの細かい道で大平峠と飯田峠と2つの峠を越えるため、距離の割りに時間がかかり松川ダムのあたりから飯田市街が見下ろせるようになるが、かなりの標高差にうんざりしながらひたすらカーブを下る。

夕日じゃないけど
木曾見茶屋より

飯田から農道を北に向かい、北アルプスが良く見えるR153〜K22でR152へ。多分もう少し北にあるK59がメインルートで、こっちはかなりきつい道。特に菖蒲沢の辺りなんか[MAP]かなりの急斜面に道があり人気がなく、コースアウトしたら白骨になるまで見つからなそうな感じだ。道の選択を嘲笑うかのようにK59に合流すると急に道が良くなる。中央構造線を行くR152は当然谷の中なので展望はないが割と直線的で谷の底を行く感じがスターウォーズみたいで気持ち良い。とはいえ大鹿村の集落を抜けてしまうとただの狭い山道になる。途中土砂崩れでかなり急坂のダートで迂回する羽目に。しかも分坑峠は工事で時間規制が掛かっているらしい。

土砂崩れ
写真の中央辺りが本来の道

色々とあって分坑峠を越えて、峠から北を望む展望をしばらく楽しむ[MAP]。ここから高遠城までの記憶が無いが、城址に登り仁科盛信を偲ぶ。ちなみに城址公園ゲートがあり、桜の季節には入場料を取るらしい(駐車場も一番遠いもの以外は有料)。多分無償で桜を植えたと思われる旧幕時代の藩士の係累からも金を徴収するのだろうか。何はともあれ高遠城と言えば山本勘助と仁科盛信である。

足止め喰らってる人の視線が痛かった
分坑峠の展望は北側だけ

R152を北上し、杖突峠を越えると諏訪市街を見下ろせる景色も良く走るのも楽しい道だけど、それなりのワインディングなので停める場所が無い。ゆっくり景色をみたいなら峠近くのコーナーにある食堂で休むと良いと思う(寄らなかったので明言できないけど)。諏訪の地形がそう見せるのか、ここからは地球が丸く見えるような気がする。そんな感じなので標準レンズのフレームには入りきらない。

諏訪市街を抜けて最後のポイントであるビーナスラインへ向かう。K40は市街から一気に標高を上げてすぐにワインディングになって気持ちは盛り上がるけど、トラックに前を塞がれてペースが上がらない。ようやく追い越して周りを見ると山の上は雲の中。景色は諦めて走りに集中してペースを上げていたら、コーナーの立ち上がりでトラック追い越し中のセダンと危うく正面衝突しそうになる。バイクだから路側に逃げ込めたけど、四輪なら間違いなく避けられなかったと思う。こっちもややスピードを上げていたかもしれないけど、位置的には明らかに追い越し側のミスだろう。まぁ死ななくて良かったけど。

またしても浅間
フラワーラインより

このままビーナスラインを抜けると少し遠回りなのでK176でR142に出て佐久に向かう。これがあまり良くない道で手前のK64を選べばよかったと後悔[MAP]。R152からK154へ、この県道からは千曲川から浅間が一望できる快適な道[MAP]。草笛で昼食の予定だったが昼の営業時間に間に合わずそのまま佐久インターから高速に乗り、横川で釜飯を喰って帰宅。

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2006年10月09日作成
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