大日三山から剣岳

日時;1999年8月13日〜16日(前夜発・3泊4日)

メンバー;L宮内、酒井、羽鳥、逸見、滝田、泥谷、土屋、渡辺、鳥海

 

12日。新宿都庁バスターミナルから立山駅への夜行バスに乗る。バスターミナルに鳥海君がこない。泥谷さんが来ている。参加連絡がなかったのだが・・いきなりドタバタの様相。結局鳥海君は来ず、バスは出発した。予想以上に早く立山駅に到着。タクシーもまだ動いていないので、駅前で朝食を摂ったりしながら待つ。空は曇り空。あまりいい気分がしない。登山客は自分達だけ。

1日目

8時前、ようやくタクシーに乗り登山口へ向う。いきなり急登につぐ急登。体が暑くなるが休むと寒い。今年の夏は異常気象だ。夏日が無かった気がする。雨の多い夏だった。おかげで登山道には高山植物がほとんど咲いていない。ガスっていて展望がない。そのため、猿ガ馬場から大日平小屋までの道程が長く感じた。景色が変わらないので進んでいる気がしなかった。小屋につき一息いれるが空模様が怪しい。悪くなっているようだ。早々に出発。最後の水場で昼食とするが、とうとう落ちてきた。雨である。最初は小雨であったが、小屋に着く1時間前ぐらいから大粒となる。風もあり、あっという間に体がずぶ濡れになった。小屋は満員に近い。何とか場所を確保。小屋のいたるところが物干し場になっていた。ストーブで衣服を乾かす。人心地ついて他の人たちと話しているとみんな剣に登ってきた人達ばかりで、大日を登ってきたのは我々のみ。おばさんは脅すというか嬉しそうに剣岳は恐かったと言う。その人は登頂できたようで、けが人も昨日か一昨日でたらしい。そのことに自分以外がインプットされてしまう「剣岳は恐い所だ!」と・・「全く失礼なおばさんだ!」と思ったが言い合いしてもしょうがないので無視する。

2日目

今日も雨の降る確率が高いので早く出発する。他のパーティーは下山なのでゆっくりしていた。朝方は青空も出ていた。剣岳を北の方に見ながら歩く。夜露に濡れた登山道を歩く。奥大日の手前で朝食。山頂で1人の登山者と出会う。昨日、剣に登ったらしい。今年はダメだよと言っていた。ここから先、再び雲行きが怪しくなってくる。先を急ぐ。御前小舎手前で雨が落ちる。体も冷えてきたので中で温かいコーヒーを飲む。ふと外に出てみた。何と鳥海君がいた。日にちを勘違いしていたらしく。今日の朝出てきたとのこと。みんなと良かった良かったと言って、元気も出て山荘へ行く。雨は上がったが濃いガスの中。雪渓を4度渡っていく。まったく先が見えない。感覚が麻痺してくる。山荘に着く直前、ガスが動いて建物が目に飛び込んできた。みんなほっと一息。昼前だが手続きをして小屋に入る。荷の整理後。入り口傍で昼食の準備。ワイワイとサンドウィッチを作って食べた。気分も落ちついてきた頃、けが人が運び込まれた。一般道で剣に行っていて滑落したらしい。本人の意識無し。救助の人たちが背負って室堂まで去っていた。みんなの脳裏に昨日のおばさんの脅かしを思い出したらしい。他の登山客が入ってきたので席を譲るため部屋に戻る。部屋は個室みたいに使えた。天候が悪く、登山客が少ないようだ。食事もゆったりと出来た。夜になって明日、剣に行くか否かと言う話になった。目の前でけが人を見てしまうとさすがに気が引ける。しかし、ここまで来て簡単にあきらめられない。みんなには、明日の朝決めると言って終わりにした。

3日目

朝。4時半に起床。みんなの顔色はあまり良くない。無理かなと思いながらトイレに行く。窓から外を見ると・・青空に後立山連峰が見えるではないか。あわてて外に出て、空を確かめる。天が味方したと思った。みんなに行くことを言い、朝食の順番に並ぶ。ほぼ一番乗り。みんな笑顔。日の出と共に出発。人間とは現金な者でみんな来て良かったという顔。おばさんの脅しも昨日のけが人のことも顔色からは伺えない。周りの景色も良く見える。昨日歩いてきた大日三山も見えた。鎖場もみんな怖がらず、あぶない動きもなく通過。前剣から剣が見えて笑顔。最初から最後までずっと笑顔で進む。平蔵のコルでガスが出てきて、景色は見えなくなった。ここで引き返してくる登山客が多い。どうやら昨日の事故を知っているらしい。悩んでいる人も多かった。我々は先を行く。タテバイも思ったほど難しくなく通過。11時40分に登頂。展望はなかったが満足感にひたった顔顔顔。30分ほど寛いで下山。カニのヨコバイは少し渋滞していた。最初の一歩目の足場が見えないらしい。自分が最初に降りて、後のメンバーをフォロー。鎖と岩の間に足を入れるやつがいた。注意しなかったらどうなることやら・・何はともあれ、後ろをあまり待たせることもなく行けた。山荘に戻り、室堂へ向う。また雨が降りそうな予感。急いで行く。が、やはり降ってきた。御前小舎を過ぎてから降る。3日間続けての雨。嫌になるが雷鳥の親子が気分を慰めてくれた。宿泊所で温泉に入り、山行の成功をビールで祝った。

4日目

今日は、予定を変更してターミナルまでの歩きとした。黒部平まで歩こうと企画していたが高山植物も期待できそうもないし、雨だしやめた。黒部湖まで乗り物に乗っている間も雨が降っていた。湖でようやく止む。薬師温泉に入って、信濃大町からまた雨の中特急で帰った。中ではトランプをしながら、この4日間を振り返っていた。

今回、本当に天候に恵まれなかった。結局4日間とも雨に出会った。しかし、今度も強運がついていた。過去、自分が企画した山での登頂日やメインのハイキング中に雨にたたられたことはない。その時になると雨が止む。台風が外れる。剣岳も自分達に微笑んでくれた。みんなで行こうと言っていた山々・・東大雪に槍に今回の剣岳などなど・・怪我もなく登下山できたことがほんとうに嬉しい。今後どれくらいみんなと山に行けるか判らないが大切にしたい仲間と思う。

 

コース&タイム

1日目
大日岳登山口8:35→猿ガ馬場9:20→牛の首10:05→大日平小屋11:00→水場12:15、12:40→大日小屋14:40

2日目
大日小屋4:30→奥大日岳6:30→剣御前小舎9:45、10:05→剣山荘11:15

3日目
山荘6:05→一服剣6:25→前剣7:10→平蔵のコル7:58→剣岳9:00、9:20→剣山荘11:40、12:10→剣御前小舎13:30→雷鳥荘15:45

4日目
雷鳥荘8:00→室堂ターミナル8:30