真教寺尾根

日時;平成14年1月13日(土・朝発)〜14日(日)

メンバー;中西・高橋(真)・源水・宮内

 

13日の朝、東戸塚駅に集合して、源水車で中央高速自動車道、須玉インター経由で清里へ向う。
入山地点となるキッズメドウズスキー場へ車を走らせる。周りは、家族連れのスキーヤーがたくさんいた。
駐車場に停め、準備をして建物の中に行く。中西さんが係りの人に聞いてみると、登山者は中に入れないらしい。駐車場に戻り、たかね荘まで移動。

1日目
9時45分、出発。天候は晴れ。すっきりとした青空。今日は1月13日、土曜日です。冬です。冬のはずだ。でも、陽気は春。トレースもしっかり付いている。冬合宿に続き、気合を入れ、初めて行く赤岳を夢見て来たのに、気持ちが空回りするような状況があった。羽衣池を過ぎ、ゆったりとした斜面を歩く。半袖のシャツにウールのシャツであったが、暑い。少しずつ高度を上げ、やがて、右側からスキー場の音楽と供に木々の間からリフトが見えてきた。約1時間ほど歩いて、リフトの終点地点に着く。リフトなら数分で辿り着くところを、がんばって?歩きました。リフトからは小さな子供が次々と降りてきます。みんな楽しそう。目と鼻の先にある光景ですが、テレビの中の別世界を見ている気分でした。そこからは、雪のあまり付いていない金峰山や甲斐駒・北岳が見えました。
この先、ゆったりとした斜面から少しずつ傾斜が出てきます。牛首山の登りは傾斜がありましたが久しぶりに気持ちよく歩けました。単調な樹林帯の中の歩きですが、所々展望も開け気分転換もできます。牛首山に到着。源水さんがいいました。地形図だと、牛首山は2280mを指すのではないらしい。少し先にある扇山も含めるようだ。ヤマケイ登山地図帳には、分けて書いてあった。扇山を過ぎるとテントがふた張りあった。一つはブルーのエスパース4天、一つは東京雪稜会?と書いてあった黄色のテントである。真教寺のピストンか赤岳東稜に行ったのだろうか。他にも4人組のパーティーが歩いていた。(バラバラに歩いていたが)その後なだらかな尾根を歩きました。源水さんは、開けた所から赤岳東稜を何度も見ていました。偵察を兼ねていたいたようです。2316mを過ぎ、少しずつ傾斜がきつくなってきます。雲も出てきて気温が少し下がってきた頃、天幕場に出来そうな場所に出会い、今日の歩きは終了。夜になっても、あまり気温が下がらず、木々の間から満天の星空が瞬いていました。

2日目
朝、テント内気温+5℃、外−5℃。テント内は結露していた。外は変わらず星空。向かいの野辺山スキー場の照明が付いていた。早朝スキーを行なっているのだろうか

6時00分。アイゼン・ハーネスを付けて出発。
6時20分。樹林帯を出る。岩場・鎖場が出てくる。ここからが今回の山行で一番楽しかった所。ただ、トレースがしっかりしていて、雪も少なかった。
6時40分。岩場から今年最初の日の出、初日の出を拝む。金峰山わきから登り、陽光を全身に浴びた。
天狗尾根上に、テントがある。昨日登っていたパーティーのだろう。人が歩いているのが見えた。やがて、分岐に到着。向こうも到着。「どこから来たのですか」と聞かれた。重装備していたからだと思う。「真教寺尾根です」と高橋言うが、返事来ず。
7時20分、登頂。予定よりも早く着いた。そこからは、奥秩父・富士山と北ア・南ア・中央アに浅間山、荒船山、火打・妙高山など360度の展望だった。気温は−5℃だった。指先が少し冷えたが、寒くはなかった。行者小屋には、テントの花が咲いていた。赤岳山頂から中西さんが、石尊稜と阿弥陀北稜の場所を教えてくれた。2月の会山行で、行けるものなら行ってみたいと思った。
飛行機が東からこちらへ来る。後ろに雲を棚引かせて来る。雲は動かず、1本のラインを描いて去って行った。のんびりと山頂を味わった後、ツルネへ向う。ガレ場を下る。落石しないように注意しながらの歩く。キレット小屋付近から樹林帯を登り返してツルネ到着。旭岳東稜・権現岳東稜が望めた。みんなが盛んに今日は、「登攀日和だ。」と雪稜を見ては口々にしていた。ツルネ東稜を下る。樹林帯の中を行く。アイゼンに雪が付く。ダンゴ状にへばりつき、刃が効かない。かなり歩きにくく、早く抜け出したかった。出合小屋からは、平坦地・林道歩き。思ったよりも早く、たかね荘に到着。昨日以上にすっきりとした青空が覆っていた。気温+3℃だった。

故幸田文さんという作家が書いた「歩く」というエッセイがある。
心(頭)が歩いて行くこと(考える・思うこと)と手足を動かすこと。普通は心が歩いて、手足が続くらしい。彼女は逆らしい。手足が先に動かすのが好きらしい。自分も手足を動かすのが好きだ。「歩く」とは何かと言う。「歩いた」と言えるのは過去にあるか?

「歩いた」と言える山は、幾つあるか。山を始めた頃、自分で初めて企画した雪の雲取山や最初から最後まで荷の重量が変わらず、アクシデントもあった東大雪からトムラウシ山くらいか。2つもあれば良いか。

彼女は書く。簡略すると、「まず足で歩き、しかも大層たくさん歩いてのち、やっと頭も一緒に多少歩きだしたかたち」ではなく。
「歩いた」といえるのは、「しっかり歩こうと思って歩き、あとあとまで確かに残っていくこと」
(楽しかった苦しかったの感傷ではない何かが残っていくこと)

会に入ってからも、気分爽快な山行。楽しかった山行はあったが、もしかするとただほっつき歩き、自分だけの浅い経験しか得られていない歩きだったのかもしれない。
今回の歩きは、合宿の歩きから繋がって来ただろうか。明日にどう繋げていこうか。
最近、山から戻ると考えることが多いような気がする。

コース及びタイム(文;宮内)

1月13日
東戸塚6:10〜キッズメドウズスキー場9:00、9:30〜たかね荘9:35
たかね荘9:45→リフト終点10:45→牛首山11:15→2316m付近12:15→天幕場14:20
天幕場位置、2530m付近

1月14日
天幕場6:00→日の出6:40→赤岳・権現岳分岐6:50,7:00→赤岳頂上7:20,7:45
→キレット小屋付近8:45→ツルネ9:30→ツルネ東稜取付10:25→出合小屋10:40,11:00
→川俣川東沢12:00,12:20→たかね荘12:45