不帰T峰から唐松岳

日  時;2005年5月2日(夜発)〜5日(夜行2泊3日)
メンバー;L宮内、杉浦、西

以前、白馬主稜に行ったとき杉浦さんに「行ってみたいですね」と話していた場所へ今回行くことになった。

3日
前夜、八方尾根の名木山ゲレンデの無料駐車場に車を止めて出発した。ゴンドラとリフトを乗り継いで八方池山荘まで上がると白馬三山や五竜に鹿島槍ヶ岳などが見渡せた。天候は良く、多くの登山者がいた。不帰方面にも行っている人がいるのでは?と思ったが先行者はいなかった。八方池付近から不帰T峰〜V峰が見渡せた。上ノ樺手前からトラバースして支尾根を下る。ここまで500mほど登ったのにこのあと800mほど下るのである。ナンだかもったいない。ここの尾根にはトレースが一部残っていた。途中から唐松沢へ向けて沢筋を降りたのだが、アイゼンも着けずに下ったので途中で数m滑落してしまった。唐松沢に降り立ち一息入れてから不帰沢の合流地点まで下る。不帰沢側のルンゼからT峰の取り付こうとしたが最初のルンゼは雪が切れていてかつ上部の岩部分がどのようなところか下からは判然せず、二つ目も雪が切れていたのでさらに先に進んでみた。三つ目のルンゼは行けそうだったのでここから取り付くことにした。急な斜面を登り、短い雪壁を越えたりしたが、中々ペースが上がらず思った以上に時間がかかった。こんな体力じゃダメだと思いながら、かつこんなことで敗退したくないと感じるくらい体調がマイナスに働いた。それでも息を上げながら雪面と籔を抜けるとP1とP2の間に出た。整地すればテントが張れるほどのスペースがあったので今日はここまでとした。夜半風が強かったが快適に寝られた。

     
不帰T峰に取り付いたルンゼテント場から見た不帰T峰上部方面(翌朝)
テント内から景色を写す西さんテントから見えた景色

4日
今日はいよいよ核心とされている断壁を越えてT峰を目指す。昨日は今ひとつ体調が思わしくなくて足を引っ張ったが、今日も天気が良く気分及び体調も上々だった。まずはP2とP3を越えていった。ナイフリッジを歩いていった。振り返るとテン場や昨日唐松沢に降り立った場所が見渡せてあそこからここまで登ってきたのか・・と感慨に浸ってしまった。P3を越えると正面に断壁が見えた。断壁に着くと正面と右側にいくつかの残置ハーケンがあったが正面左側のクラック状のはるか上のほうにある残置までどのように登るか?正面右側のハーケンは下部にはあったが途中を如何クリアするか?考えたがパッと浮かばなかったので、少々崩れている雪面を左側にトラバースしてルンゼから登り始めた。全7ピッチ。奇数は杉浦さん。偶数は宮内がリードした。最初のルンゼは浮石及び小石が多く、下でビレイしていると小石が結構落ちてきた。2〜4ピッチ目はリッジ状を・・5〜7ピッチ目は雪面を登っていった。雪がぐずぐずなのがちょっと嫌だったが全体的には快適な登攀だった。また気温が高いせいか、ビレイ地点いると解けてくる雪で足元の少し不安定なところがあった。登攀後は再びナイフリッジを歩いていく。所々切れているところがあったので注意しながら進んだが思った以上に時間がかかった。ピーク直下の最後の部分は雪面を登ってから木々の間を右から左へ折れ曲がるように登っていった。登りきったところがピークの脇だった。唐松岳までは時間的にも厳しいだろうということでT峰とU峰の間のコルでBPとした。この日は前夜以上に風が強くテントが大きく煽られた。トイレをするのも一苦労だった。小は上昇気流?の乗ってしまうからだった。和式スタイルですると何とかなった。

        
P3から断壁を見る1ピッチ目ルンゼ状をビレイ地点から見上げる
ビレイ地点から2ピッチ目を見るビレイ地点から4ピッチ目を見る
ビレイ地点から7ピッチ目を見あげる断壁終了後、尾根を進む

5日
起きても風は強く、薄曇りで少々寒かった。テントを飛ばされないように撤収してから歩きだす。
とりあえず登攀は終わったので唐松岳までの縦走をして下山するだけと思って歩き出した。しかしU峰北峰を登る際に嫌なトラバース地点が1箇所あった。傾斜がきつく滑落したら終わりという感じだった。自分としては今回の山行で一番の核心だった。ここを越えると特に難しいところも無く夏道も出ていて苦労せずに唐松まで行くことができた。頂上からはU峰からV峰を振り返ったり五竜方面を見たりしながら寛いだ。この後は八方池山荘まで登ってきたところ見ながら下った。

  
U峰北峰を登る途中のトラバース地点に向かう
唐松岳頂上で最終日、手前に横たわる下降した尾根と
T峰を振り返る

今振り返ると「不帰T峰に行けて良かった」という思いと「体力不足でなければもう少しスムーズに行程をこなせたのではないか?」と思っている。これをステップにさらに努力しようと思った。

行動時間

3日(晴れ)
八方池山荘9:15→上ノ樺手前トラバース地点10:50→唐松沢12:30〜13:15
→不帰側ルンゼ取付部分14:00→P1P2の間BP15:50

4日(晴れ)
BP6:05→断壁取付部分7:50〜8:10→登攀終了12:40〜13:00
→T峰16:00→コル16:20

5日(晴れ)
BP6:00→U峰北峰7:06→唐松岳8:30→上ノ樺トラバース地点10:30
→山荘11:15