冬合宿

       
メンバー 山岳会メンバー3人
期日 2005年12月26日(夜発)〜30日
地域・山域 南アルプス
ルート 弘法小屋尾根→間ノ岳→北岳→池山吊尾根
山行形態 積雪期の登山


南アルプス間ノ岳へ突きあがる弘法小屋尾根へ向かった。ラッセルに苦しまれる尾根らしいが今回はどうだろうか?直前に雪も降っているようだし・・
26日夜、車で奈良田へ向かう。車内で仮眠した。

12月27日

奈良田〜弘法小屋尾根BP

朝、5時起床。6時半近くに出発。そこそこ寒い。周りには登山者の車は無い・・
歩いていくと南アルプス公園線入り口のゲートが閉まっている。冬季通行止めのためである。間違って農鳥岳の方向へ行きそうになった。どこから入り込めばいいのだろうと考えていると一台の工事関係者の車が来た。ゲートの鍵を開けている工事関係者に西さんが「登山のために一緒に入っても大丈夫でしょうか?」と訊ねたら、「いいと思うよ」と言って入れてもらった。トンネルを歩き始めるとその車も入ってきて西さんに「乗っていくか?」聞いてきたらしい。登山口まで乗せてくれるという。有り難く乗せていただいた。車の中は暖かい。色々話をしながら(主に西さんと・・)道を進んでいく。荒沢沿いの作業道路入り口までと思っていたらその作業道路にも入ってくれて、結局、北沢との出合の尾根末端まで送ってくれた。約三時間半の道のりを約30分でクリアしてしまった。「時間が稼げたといって焦ると怪我するから」と山に登っていた経験からのお言葉も頂いた。お礼を言って出発した。日陰なので少し寒い。
時間は7時20分。北沢にある導水路施設への作業道をまず歩く。初めは急勾配、足元も凍っていて注意して登った。尾根の山腹をトラバース気味に作られている歩きやすい道をどんどん進み、尾根の取付き位置をだいぶ回りこんでしまう。北沢の導水路施設が見えた地点から尾根へ取り付く。施設には作業員の姿が見えた。初めは比較的楽な斜面を登る。積雪も多くない。青空の元、東側に下山路に使う池山吊尾根や遠くにある北岳山荘も見えた。
1800m付近を越えると増えてきてラッセルとなる。と言ってもくるぶしからすね程度である。また傾斜も少し出てきた。2100mを超えるとつぼ脚で膝下のラッセルとなった。倒木や木々がうるさく、木登りのように進んだ。初日のせいか順当に進み2385mでBPとなった。(テント整地をしたら三角点が雪の下から出てきた)
無事入山を祝ってその夜を迎えた。今回は厳しい山行になると思って、酒を持ってこなかったが西さんはきちんと持ってきていた。少し分けていただいた。この日の天候は青空で午前中は無風に近く、午後になると風が出てきた。夜は満点の星空だった。

12月28日

弘法小屋尾根

天候は青空。午前中はほとんど無風。この日もラッセルである。昨日とは打って変わってワカンを使用して膝上から股下までラッセルで急傾斜だと胸近くまであった。昨日の時点ではワカンはいらなかったが、必要不可欠の状態であった。雪もサラサラで締まっていないので傾斜がきついとキックステップも通用しない。雪の下から出てくる木の枝や倒木・立ち木を掴みながら、昨日に続いての木登り状態である。
体全体を動かして登るが中々進まない。稼いだ標高は400m弱。2750m付近でBPとなった。テントを張った後、時間があるので空身でトレースを付けに行った。2821mの森林限界ポイント手前までトレースをつける。途中にもいいテン場がいくつかあったのでもう少し進めばよかったかな?と思った。トレース終了地点では間ノ岳や北岳、南には雪のない富士山などがよく見えた。仲間が行く鳳凰三山方面は雪が少ないように見えた。風もなかったのでしばらく展望を楽しんだ。この日も午後になると風が出てきた。BPでは暖かいテント中で寛いだ。夜は標高が上がったこともありかなり冷え込んだ。夜、外に出ると満点の星空と甲府市内の夜景が見えた。また、夜はかなり風が強かった。テントがかなりゆがんだ。

12月29日

弘法小屋尾根〜間ノ岳〜北岳山荘

今日も青空。勝負の一日である。抜けられなければ敗退である。気合を入れて出発。その前にテントを片付けているとテントの下から五円玉が出てきた。間ノ岳にご縁があると言うことか・・・・・
2821m付近までは前日つけたトレースのおかげで順調に進む。この先も順調かという感じの歩みであった。この日はアイゼン装着であったがラッセルも膝下からすね程度であり2900mまでテン場から2時間弱で行けた。振り返ると自分たちの付けたトレースが見え、かつ青空に映える雪の白さがまぶしい。その後の2935mの岩稜部分も順調に進んだ。その先の小さなギャップ部分で行き詰まり、細沢側を10mくらいの高さをロープで下降。再び尾根に戻るのも、また下までのラッセル。
ここからナイフエッジも厳しくなり雪庇に注意しながら主に細沢側をトレースする。標高を挙げても膝下程度あり苦しまされる。しかし昨日までのラッセルとは違い、ほど良い緊張感で変化もある歩きだったので楽しかった。
12時近くに雪壁下へ着く。この雪壁もきつかった。指先が濡れて凍え、モナカ状の雪は膝下のラッセルを強いる。50歩程度で交代していった。間ノ岳に突き上げる最後の尾根は3つあるが真ん中の尾根の右側の雪壁を登った。最後まで突き進まず途中から尾根へ逃げる。尾根は雪が少なく歩きやすい。登りきると登山道に出た。
風の避けられる場所にザックを置いて、空身で山頂を目指した。山頂からは360度の展望であった。明日登る予定の北岳や南アルプス南部に中央アルプス。遠く槍ヶ岳も見えた。苦しかった登りも開放された気分で気持ちよかった。風が出て来て寒くなったので戻る。平井君は限界に近かったようだが、北岳山荘へ向かう。登山道は風が強かったが雪が少ないので歩きにくくはなかった。山荘2階の冬季開放部屋を利用する。毛布が6枚あったので全て利用させてもらった。建物の中で風が避けられるとは言え、2900mの標高はさすがに寒かった。窓からは甲府市内の夜景がここからも見えた。朝起きると毛布が湿気で凍っていた。

12月30日

北岳山荘〜北岳〜奈良田

下山日である。
とうとうここまで来た。「目的どおり行けないかもしれない」という出発前までの思いを思うと単純にうれしかった。
風の強い中、北岳へ向かう。とても寒い。途中で振り返ると間ノ岳へ突き上げる弘法小屋尾根が見渡せた。上部は小さなアップダウンの多い尾根だということがよく分かる見え方だった。
八本歯へ分岐手前で風のせいで平井君が転倒するが幸いにも大きな怪我はなかった。分岐でザックを置きトレースの付いている山頂へ向かう。風も一時的に止み、ほぼ無風の中での登頂となった。3193m。日本では2番目に高い山。北岳も間ノ岳も無雪期に来たことはあったが積雪期は初登頂。
仙丈岳や雲で隠れてしまった甲斐駒、やはり雪のあまり付いていないように見える鳳凰三山。この日から鳳凰三山へ向かう仲間がいたがどうなのであろうか?西の中央アルプスや北アルプスは雲で見えない。八ヶ岳方面も手前に雲があり見えない。下り坂か?分岐に戻り、トレースが付いている池山吊尾根を下降する。
八本歯のコル手前で西さんが転倒。左足を少し切った。幸いにも浅かったので良かった。下降路は今までとは違って登山者が多かった。登ってくる人と次から次と出会った。「まるで銀座通りだ」と西さんが言った。それくらいこれまでの3日間が静かだった。ボーコンの頭付近は雪が少なかった。樹林帯に入ると積雪が増えた。池山小屋から下は急傾斜の下りである。右足の怪我以降は下りがビッコ気味になるのだが、この日は順調に脚を運んだ。14時30分。やっと南アルプス公園線に出た。

まだ、先は長い・・・・・・
装備などを片付けて15時くらいに出発。歩いても歩いてもうねっていく道路の景色は変わらない。意外とだらだらとした林道は手ごわかった。核心は「林道」と話していたことが現実に・・・
やがて日も暮れだしてヘッデンが必要になった。やっとこさっとこ見覚えあるゲートがトンネルの先に見えた。17時50分。4日間の山行がここに終わった。仲間と握手して無事を祝った。

作業路を歩く

尾根に入った所で休憩

尾根の雰囲気(下部)

28日朝(テン場で)

間ノ岳方面が見えてきた

早めのテン場

2821m付近からの間ノ岳

2821mから振り返って

尾根を進む

空に映える

雪壁を見る

間ノ岳頂上

最終日。山荘から富士山

北岳へ向かう途中で弘法小屋尾根を振り返る
真中に横たわる

北岳頂上

山頂から富士山

バットレス方面

あるき沢橋登山口

林道途中にあった氷柱

奈良田ゲート前(シルエットだけ)

行動時間


27日
北沢7:20→尾根取付き8:19→1950m付近10:40→2100m付近11:40→2385m三角点14:40

28日
BP7:20→2700m付近BP11:10  2821mまでトレース付け

29日
BP7:20→2850m付近9:30→2900mコル10:30→稜線13:15 →間ノ岳14:00
→北岳山荘15:40

30日
山荘6:50→北岳頂上8:30〜40→八本歯の頭10:10→ボーコンの頭11:30 →池山小屋14:05
→あるき沢橋14:30〜15:00→奈良田17:50




交通
(金額)
車(一人当たり6000円)
その他
(金額)
 
地図
(エアリア)
 
地形図
間ノ岳、夜叉神峠 
温泉
紅富士の湯1000円(19時以降)
土産
紅富士の湯で適当に・・
その他
天気図 ()