年末に八ヶ岳へ3本のルートを登ろうと向かった。
3本は厳しいかなと思いながら企画した。
考えてみると自分は昨年の冬合宿以来の山中泊山行だった。
12月29日
美濃戸口〜行者小屋
初日、いきなり朝寝坊をした。
予定より1時間遅れで出発。美濃戸までは順調に行ったが、その後ペースが落ちる。
行者小屋まで美濃戸口から4時間半もかかった。
予定の阿弥陀北稜は諦めて、小屋の中で寒さをしのぎつつ昼食。
小屋周辺はとても寒かった。入山直前までの積雪で中山尾根下部樹林帯は雪でトレースが無いだろうと判断して下見がてら向かった。案の定、雪でトレースがない。1時間半ほどかけて樹林帯を抜ける地点までトレースを引いた。 先頭はS氏。パワフルな動きでドンドン進んでいく。あとから2人で追いかけるが追いつかないほどである。雪は乾雪でしまりが悪かった。
樹林帯での行動は寒さから身を守ってくれて、かつ体内から熱が生み出されて、ほどほどに気持ちよかった。 帰路、大同心や小同心が夕日に染まっている様子を見てテントに戻った。
12月30日
中山尾根
今日は中山尾根を登る日である。6時半にテントを出発した。前日つけたトレースを辿っていくとその先に先行パーティがつけたトレースが伸びていた。樹林帯を抜ける前にアイゼンを装着して下部岩壁へ向かう。 下部岩壁に着くと先行パーティが登っているところだった。待っているととても寒いのでツェルトを出して待つ。1時間ほど待ってから動き出す。正面もスタンスが細かいが登れないことも無いように見えたが、正面右側に回りこんで雪面を登る。1ピッチ目の終わりのほうで岩が出っ張っているところがある。下から見るとまっすぐ登れそうだったが、行ってみると厳しい。左側に回りこむように行く。少し体を外側に出す感じになる。躊躇しないで一気に行ったほうがいいみたいだった。2ピッチ目、左側に移動する感じで雪面を登る。最初は岩にうっすら雪が付いていて、立ち木を掴んで登っていった。その後は雪面を登っていくだけだった。いずれも寒さで手がうまく動かなかった。指先の寒さ対策(手袋選定)を誤ったかな?と思った。その後のリッジで一旦ロープをしまって進んだ。枝が意外と邪魔で潜ったりしたりして進んだ。周りも開けて景色を見ながら歩いた。結構気持ちよかった。 そして上部岩壁に着く。先行パーティが凹角状のところを登っていた。この凹角状で苦労した。トップのS氏が苦労し、待っている間が辛かった。手はもちろんだが、左足が汗をかいていたようで親指がズキズキしだした。凍傷しなるかなと思いながら待つ。凹角の手前で一度ピッチを切ってもらい後続が登りだす。自分は凹角部分一段下の登りで左のアイゼンが途中ではずれ、アクロバティックに落さないように持ち、登っってしまった。スタンスの悪いところで装着した。セルフビレイを取っているとはいえ、気持ちの良いものではなかった。メンバーでどうやって越すかで悩み時間がかかった。凹角はN氏がトップで行った。最後の出口部分が難しかった。登った後、「よくトップで登りましたね!」と話した。この後は3級の岩稜ということだったが雪に覆われていると難しく見える。下部はノーザイルで行き、上部はロープを出した。結局稜線に出たのは16時。大幅に予定時間をオーバーして終わった。今日、入山のH氏がテントにいるだろうと思い、地蔵尾根を急いで下った。途中で中山尾根が夕日に当たりきれいだったので写真を撮った。
到着後、H氏が用意してくれたスープが美味しかった。遅いので「心配だった」と言われた。水を作る手間が無かったので18時には夕食を終わらせることが出来た。この日は疲れからかぐっすりとは寝られなかった。
12月31日
阿弥陀北稜、下山
6時40分に出発。赤岳主稜に向かっているパーティいた。「どのくらい待つかな?」と思いながら行くと前に5パーティいた。一番最初のパーティの行動に時間がかかっている感じがした。難しいのだろうか?自分たちの前のパーティが時間オーバーになるから転向しますと言って降りていった。待っている間、中岳の方を見ると中腹にカモシカがいた。こちらを見たようなあと、どんどん登っていってしまった。 そして我々も自分の帰宅の都合で取付き時間が予定より大幅に遅れそうなので阿弥陀北稜に転向することにした。時間は8時15分。JPに直接登るルートで進み、案の定トレースがなく、ここでもS氏が自慢の脚力でトップを行った。JPに10時40分に到着。少し登ってからの登攀ルートは下部は3本あるので空いていた真中のルートを登った。中間で一度切って、計3ピッチで登った。最後のピッチを登らず懸垂で降りていくパーティもいた。我々は最後まで行き、阿弥陀岳頂上で記念撮影をしてテントに戻った。頂上からは360度の眺望で気持ちよかった。H氏は初の積雪期登攀だったので、満足してくれたようであった。
11時50分テント着。撤収して美濃戸口へ向かう。標高が下がるにつれて暖かくなった。15時半に到着した。
スパティオという所の温泉へ向かった。その後は渋滞も無く順調に帰宅した。
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