by @Kaikou.          カウンターです  

日記  屁理屈  Photo  Flying  Lyrics  Books  Writing  俗物    BBS  Links  at 


つくづくやなタイトルだなぁ


"アクティブでワイルドな" ドクターヘリと窓際の高校生


  はるか昔、高校生だった頃、毎日窓の外を見ながら、校庭にヘリでも着陸しないかな、と有り得そうもないことを毎日のように切望していた。
  ヘリは飛んでこなかった。
  でも今日、散歩をしていて、たまたま近くに通りかかった小学校の校庭に、1機のヘリが着陸していくのを目撃してしまった。
  数年前から少し遠くに大病院が出来ていて、そこにドクターヘリが配備されているのは知っていた。それがこのあたりの急病人を運びに、急遽飛んできたものらしかった。
  チクショウ、羨ましいゾ小学生達!  とわたしは思った。きっと教室の窓に鈴なりになって、わいわいぎゃあぎゃあヘリを見て騒いでいるのに違いない。
  わたしがそうしたかった!
  それはともかく、こんな偶然は一生に一度しかないだろうから、体調も優れないのに野次馬根性を無理に発揮して、小学校までとことこと近寄って行ってみた。
  校門の陰からひょいと覗いてみたら、小学校の校庭にあると、小型のドクターヘリもずいぶんとでっかく見える。救急車と消防車が学校内に進入していて、生徒達に見せないようにとの配慮からか、大きなブルーシートで担架を隠しながらヘリに乗せているのが見えた。
  様子を見守っていた消防署員サンから「危ないから近づかないでくださいネ」といわれるのにおとなしく「ハイ」と答えてしかし堂々と眺めていたら、自転車で急行してきたお婆さんに事情を聞かれて、病気自慢まで聴かされているうちに、ドクターヘリは急に轟音を上げてローターの回転を増し、ふわり、と離陸した。
  ヘリの離陸は浮上直後が一番不安定なはず。その上この場合、後ろの校舎がローターの巻き起こす烈風を跳ね返して、機体の周囲に強い乱気流を起こしているに違いない。しかし離陸は滑らかだった。
  ドクターヘリは離陸直後に、ひょいと鼻面を持ち上げてから急上昇し、上昇しながらぐるりと急速に向きを変え、あっという間に、彼方の空に消えていった。
  お見事な離陸。見る間に消えていく機体を見送りながら、わたしは昔の夢想を思い出していた。
  あの時代には、校庭にヘリが降りて来るなんてワイルドな出来事は起きなかったけれど、今日、小学生達と一緒に、そんなアクティブな現実を目撃することが出来た。
  20年以上を経て、夢想は現実になったのだ。
  何も起きない、無為に見えた高校時代、世界はつまらなかったけれど、なんだい、現実世界は、「現実に」アクティブでワイルドじゃないか。
  だがそれは当たり前のことなのだ。
  高校時代に、そうと実感できていたら、さぞかし人生は面白いものになっていたんじゃないか、と思うが、たぶんそれは過ぎた日を悔やむ幻想で、本当は、どこにいて、なにをしていたって、現実のワイルドでアクティブな様は、観察と想像で容易に理解できる(できた)はずなのだ。
  そうしなかっただけだ。
  高校時代に、自分が「そうしなかった」のだ、ということを、今日のアクティブでワイルドな現実の目撃が教えてくれた。
  いろいろと教わってしまった。
  あの救急患者さん、無事に治療が間に合っていれば良いなぁ。


(2012/04/25)



TOPページ(目次画面)に戻るには、あるいは別のコーナーへ行くには上部の各タブをクリックしてください。タブの見えない方はこちらメニュー(目次画面)へ戻るからどーぞ。

ページ上部に戻る

all Text written by @ Kaikou. "Hirohumi Kinoshita"