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つくづくやなタイトルだなぁ


隅田川桃太郎


  ある日の昼、ゴハンを食べようと隅田川近くの会社を出て、近所のキッチャ店に赴こうとした時のことだ。
  低く、こもったような

どん

    という音が後ろからした。
  ・・・?
  耳をダンボにしていると、また低い、こもったような

どん

  という音が。   それは鼓の音だった。こもったような、それでいてよく響く鼓の音。
  ・・・・?
  とてじっとしていたら、幟を立てた車輪のついた木の箱が、ゆっくりと接近してくる。
  呆然と見ていたら、接近する屋根と車輪付きの木の箱には後方に押し手があって、料理屋の見習いのような格好のおニイちゃんが、車の柱に掲げた鼓を「どん」と叩きながら押しているのだった。
  翻る幟には朱の筆文字で日本一きびだんごと書いてある。
  ・・きびだんご売りですか!?
  ココはドコですか!?
  いまは何年ですか!?
  ていうかアンタ何者!?
  きびだんご売りだってば>俺。
  というわけで動揺しながら見送っていたら、おニイちゃんは平然と鼓を打ちながらゆっくりと追い抜いていった。「きびだんご」と書かれた幟をゆらゆらと揺らしながら。
  半口開けて見ているうちにおニイちゃんは行ってしまいそうになる。
  管理人は思った。
  イカン!  今買わなければこんなヘンなモノには二度と出会えない!(←まったくだ)
  というわけで駆け寄って往き、「おニイちゃんそれ売ってちょうだいよ!」と犬猿雉になってみると、おニイちゃんは「5本で250円ですがよろしいですか?」と桃太郎らしからぬ礼儀正しいことを言う(きびだんご売りだってば>俺)。
  それでもいーから買ってみると、なにかまるめたハナクソのよーな、失敬、パチンコ玉くらいのだんごが5つ、串にささったきびだんごを5本売ってくれた。
  まことに小さい
  まるで赤ん坊サイズのようなだんごである。串にささって、ちんまりと並んでいる。
  たしかに黍がまぶしてある。パクッと食べてみると、甘く柔らかい、むかーし食べたきびだんごの味。ちっちゃいケド。
  わたしが買ったせいか、三々五々と人が集まってくる。「きびだんご食ってみよう」とつぶやきながら、近くの工事現場のアンちゃんがにこにことやってくる。犬を連れたオッサンが、興味深そうに買おうか、どうしようか迷うそぶりで足を止めている。
  意外と人気な桃太郎(きびだんご売りだってば)。
  さらりと甘い黍が舌に溶けて、もちっとした団子(←当たり前)がすぐ溶けてゆく。キッチャ店までの少しの間にみんな食べちゃった。確かに日本一だ。小ささが。
  帰ってくるともういない。
  あれは幻でしたか?
  実は必殺仕事人ですか?(←古くさいネタ)
  見回せば、コンクリートの町並みはあんなヘンなものを思い出させる片鱗もなく聳えたっている。
  あれは幻でしたか?
  ともあれ、これでかのおニイちゃんが鬼退治の際には、鬼が島に馳せ参じなければならない。
  よもやこの歳になって犬猿雉の仲間入りをするとは思わなかったがまぁいい。どんと来いだ(←ウソ)。
  環境が変わり、近頃レトロなものを見ることが多くなったのは確かだが、まさか桃太郎を見ようとは。   
  世の中には意外なものがまだ生き残っている、というお話でございました。


また会わないかなぁ

(2005.04.17)

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all Text written by @ Kaikou. "Hirohumi Kinoshita"