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つくづくやなタイトルだなぁ


背中ぎゅっ

  元来姿勢の悪い方であった。立っていてもなんだか左脚に重心を置いて傾いているのは自分でも知っていたし、うら若き高校生の頃はいつも机に頬杖をついて、背中は曲がるに任せていた。
  だからというわけでもないだろうが、去年まで背中が真っ直ぐでなかったのは事実である。
  あたかも疲れた中年男性のように、やや猫背気味に、立っても座っても、歩いていても肩を落としていたのは二十代はじめの頃からである。そうひどいほうではないのだろうが、姿勢が悪いとは言わざるを得なかったろう。
  ところがである。
  去年の夏の終わり頃から、背中が曲がっているとそれが気になって仕方なくなった。
  何とも気分が悪く、やっかしいような、歯がゆいような、なにか嫌な感じにつきまとわれるようになって、自然と背を伸ばすようになってしまった。
  以前に地元の消防団に所属していたことがあって、敬礼だの行進だの、直立不動の姿勢だのなどをわりと厳しく教えられていたこともあったが、その時ですらせいぜいしゃっきり伸びている程度で、いわゆるSの字になるほど綺麗な背筋を見せたことはたぶんいまだかつてない。
  それがいったいどうしたものやら、背骨をSの字にしていないと気分が落ち着かぬようになってしまった。仕事柄毎日バイクに乗るせいで、背中は自然に曲がっていきそうなところを、曲がっていると落ち着かぬというのだから困ったものである。勢い、背筋に力を入れて伸ばしていないといられなくなった。
  それも単に真っ直ぐにするだけでは飽きたらず、こう、説明しにくいのだが背筋の内、首から腰までの半ばより下のあたりにぎゅっと力を入れて、背骨と言うより背筋を、背骨の中に<押し込む>ように力んでいないと気分が良くない。まるで鍼灸師が背骨の下半分を押して、無理にSの字を作っているような状態である。
  ちょっと力を入れるだけでは満足できない。
  背筋の一部を背骨に食い込ませるように、ぎゅっと背骨を押し出していないと落ち着かぬ。
  といって出っ腹にしようと思っているわけではないので、腹を出しているのでもない。背骨は出すが、腰は引くのだ。ちょうど肩の裏側と、腰が直線に並ぶような感じだ。背骨の下の方だけがへこむような感じで、背筋に力を入れていないと嫌で仕方ない。
  バイクに乗ってもコレをやるので、どうも運転がし辛くなるのだが、我慢が出来ないからこれまた仕方ない。
  立っているとき、歩いているときはおろか、座っていてさえ背中がぐにゃりと曲がっていると落ち着かぬ。とはいえ、家でくつろいでいる時にまで背筋を突っ張っていたのではちっとも休憩にならぬ。そこで家ではズルをして、車の運転席にあてがって使う背当てを用い、背中と座椅子の背の間に少し高い位置で挟み込んでラクをしている。
  それ以前は、家ではいつでもどこでも、まるで背中を曲げようと鍛錬しているかのように始終ぐにゃりとなっていて、脚を伸ばしては背を曲げ、椅子に座っては背を曲げ、正座をしては背を曲げていたいっそあっぱれな姿勢の悪さであったのが、いまではどこでも背筋を伸ばさずにはいられない。というか背骨をSの字に曲げないといられない。すると自然に肩が張る。あたかも猫魔の滑走斜面のごとき撫で肩だったのが、いまでは張って仕方ない。しまいには肩が凝るほどだ。自分で歩いていてわかるのだが、これは今度こそあっぱれな姿勢の良さであるような気がする。
  そうして背筋に力を入れて伸ばしていると(ある意味ではSの字に曲げているのだが)、これが滅法体調が良い。
  三度食うし(無精して食っていなかったのだ)、気分は明晰な上に爽快だし、胃腸の調子も未だかつて無いほど上々、疲れも少なく、つまらぬ些事に思い悩むことも気が沈むことも無くなった。
  あらためて書き記すと驚くほどだが、要はずいぶん健康なのだ。
  King of 不健康の名を欲しいままにした身とは思えぬ健康さである。気のせいかアタマまで明晰になったような気がするほどだ。もっとも素材の程度が低いので、明晰になってさえせいぜい人並みに一歩及ばずと言ったところだが。
  どうしてそんな、背筋を伸ばさずにいられない性分になってしまったのかは思いもつかぬが、これはどうしてどうして、たいした健康法ではないかと思ったのである。
  そこでこうして皆さんにお勧めする次第だ。
  疲れが溜まってどうにもうまくない、気分が沈んで仕方ない、近頃どうも体調が冴えなくて困るとお悩みの貴兄には朗報である。背筋をぎゅっと伸ばすのだ。
  ただ伸ばすだけではいけない。こう、ぎゅっと背筋の下を押し出すように、それも出来れば背筋の筋を意識しながら、背筋の中央、首から腰までを半分に割った下半分の、その半ばより上のあたりを、こう、「ぎゅっ」と背骨に食い込ませるように力むのである。(少々くたびれるが)
  背筋の他の部分には力を入れず、腰も前に出ぬように気をつけてこれをやると、自然と背筋が良い加減になって、ほんの少しむずがゆいような、背筋に沿ってわずかな力が昇ってくるような、なんとも云えぬ良い心持ちになる。
  実体験から言うのだから間違いはない。心身健康、体調向上、気分爽快明晰になること請け合いである。
  なんだか蝦蟇の油売りになったような気がしてきたからここらで止めるが、昨今流行のエステなんとかだのなんとかジムだのと違って、手間は要らぬは金はかからぬはお手軽なことこの上ない。
  自信を持ってお奨めする。背筋を伸ばしてみると宜しい。
  こう、「ぎゅっ」と。

  

今回は時代がかった文語調で書いてみたが、面白いような面白くないような、自分で読んでも判然としない(←ひきずっている)。
スマン(笑)
(2003.01.09)



  

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