2004.12.30

Express5800 180Haで
Win2K Advanced Server
(その後・・・)

Written by かたあま☆彡  


前回までのお話

 前回のSV MagazineではExpress5800 180Ha(以下、180Ha)に無事にWindows2000 Advanced Server(以下、Windows2000)がインストールできたことをお伝えしましたが、CPUの換装については「どうにもならない」という状況でした。
 今回はこの部分について新たな展開がありましたので、お伝えしていこうと思います。

 なお、記載されている内容については、私は一切保証しませんし、それに伴って発生した如何なる事故にも責任は負いませんので、あらかじめ御了承ください。


PentiumIII Xeon(Tanner)の搭載

 とりあえずCPUボックスを2つとも交換してみたところ、PentiumIII Xeon 500MHz/550MHzが搭載可能になりました。
 やはりCPUボックスに対しても、いろいろとリビジョンアップが行われているようです。


PentiumIII Xeon 550MHz/1MB×8での運用

 CPUボックスの新旧で見た目で変化があった部分は、

 といったところです。
 ただし、レギュレータらしき部品については、CPUボックスのロットによってはヒートシンクが付いているものもあります。当方のCPUボックスも片方はヒートシンクが付いていたのですが、もう片方には付いていなかったので、後から取り付けました。


ヒートシンク追加後のレギュレータ(その1)


ヒートシンク追加後のレギュレータ(その2)

 また、古いCPUボックスではヒートシンクで覆われていたチップセットの一部が見える状態になりましたので、以下に写真を掲載します。


以前はヒートシンクで覆われていたチップセット


PentiumIII Xeon(Cascades)の搭載

 CPUボックスが新しいリビジョンのものに交換されたので、再び550MHz以上のPentiumIII Xeonを搭載する実験をしてみました。
 今回はPentiumIII Xeon 900MHz/2MB(以下、900MHz)を8個搭載して動作実験を行いましたが、以前にPentiumIII Xeon 700MHz/2MB(以下、700MHz)を使って実験した時と同様に、032の液晶表示で固まってしまいました。


やはり032の表示で固まってしまう

 この032は CPU Bus Frequency Test の状態で、CPUのバス速度には変化は起きていないはずなので、別の何らかの理由で止まっているものと思われます。
 暫くその状態で放置して、実際にどの CPU が使われているかを調べてみると、ヒートシンクの温度からCPUボックスの最も奥に位置しているCPUが使われていることがわかりました。そこで、そのCPUだけを550MHz/1MBに変更して起動してみると「起動してくるときと032で固まるときがある」という状況になりました。

 そこで、032で止まったときに再び放置して、どのCPUが使われているかを調べてみると、今度は奥から2番目のCPUが使われており、900MHzを使って起動しようとしていました。
 ここまでの調査結果から、どうやら起動時に使用するCPUは1個だけで、そのCPUを固定できれば、032で固まらずに550MHzと900MHzを混在させて運用できることになるのではないか、と考えられます。

 となると、次は「どうやって起動時に使用するCPUを固定するか」が課題になります。


ジャンパの復元

 交換されたCPUボックスのハンダで埋められていたジャンパのランドから考えると、CPUボックスのリビジョンが上がった時にこのジャンパは不要になったものと考えられます。
 基板上のシルク印刷を見てみると「CPU1」「CPU2」「CPU3」「CPU4」と書かれているので、古いボックスを使っていた時代には「搭載されているCPUの個数を設定するジャンパだろうか?」と思って実験してみましたが、変化がありませんでした。

 しかし、今回のような状況になってみると「もしかすると、このジャンパは起動時に使用するCPUを指定するためのものでは?」と思い、再びジャンパを取り付けて実験してみました。


ランドを利用してピンヘッダを取り付けた様子

 CPUボックスの上では手前から奥に向かって CPU1・CPU2・CPU3・CPU4 と並んでいるはずなので、CPU4 にジャンパを挿してみると、ほとんどの場合で032で固まることはなくなりました。ちなみに、ジャンパを設定していない状態でも、通常時は最も奥のCPUを使用して起動することが多いようなので、このジャンパの機能はよくわかりません。
 実際のところは032で固まっても、本体後部のリセットボタンを何度か押せば起動してくれるので、それほど問題にはならないのですが・・・。

 また「2つ搭載されているボックスのうちのどちらが起動時に使われるか」は決まっていないようなので、どちらのボックスも同じジャンパとCPU構成にしておく必要があります。ちなみに、片方のボックスを900MHzで統一すると、液晶表示が化けて固まってしまいます。


マイクロコードの問題

 さて、とりあえずこれらの方法を駆使することでメモりチェックまでは行くようになりましたが、今度は別の問題が出てきました。
 それは、メモリチェック後のSMIのチェックの部分です。やはり900MHzの電圧(2.8V)はシステム側からは異常な電圧と見なされるようで、SMIの初期化後にシステムの電圧が範囲外であるというメッセージが表示されます。


システムの電圧が範囲外であるというメッセージ

 仕方がないのでSMIを無効にして起動すると、今度はお約束の「Unsupported CPU Detected」が表示されてしまいました。これは700MHz版と900MHz版のマイクロコードが180HaのBIOS内に存在しないことに起因するためなので、このメッセージは当然の結果といえます。


サポート外のCPUが搭載されているというメッセージ

 ただ、この状態であれば F1 を押すことで強制的に起動できるので、試しに起動してみると、Windows2000が無事に起動してきたので、とりあえずシステム情報を見てみました。
 すると、900MHzが搭載されているにもかかわらず、550MHzと表示されてしまいます。


搭載されているCPUは全て550MHzと表示される

 900MHzは倍率設定が固定(倍率設定ジャンパでの設定は無視されます)なので、おそらくはWindowsが動作周波数の取得に失敗しているものと思われます。逆にいうと倍率設定にジャンパを要求する700MHz版は、550MHz版と混在した状態では搭載できないことになります。

 また、エラーを保持した状態で強制的に起動しているので、液晶画面にはB23のエラー表示が出たままの状態で運用することになります。


OSは起動するがB23のエラーが表示されている


CPU構成の変更

 さて、この状態でしばらく使っていると、急に固まったり「Unexpected Machine Check」のストップエラーで落ちるようになってしまいました。
 固まるタイミングに規則性がなかったので、不安定になる理由がしばらくわからなかったのですが、固まった直後に各CPUのヒートシンクを調べたところ550MHzのヒートシンクが恐ろしく熱くなっていました。

 考えてみると、この 180Ha はVRMを3つ使ってCPUを2つをまかなう仕様になっています。ですから、CPUは2個単位で同じ電圧が供給されるわけです。ということは、現状の搭載方法では550MHz版のCPUに2.8Vが供給されてしまっていることになります。そう考えると、ヒートシンクが非常に熱くなっていたことも納得できます。
 550MHz版の絶対定格は 3.0V なので、強制空冷をすれば使えるかもしれませんが、あまりにも危険が大きいので、CPUの搭載方法を変更することにしました。ボックスの最も奥とその手前には550MHz/2MBを搭載する構成に変更して、起動実験をしてみました。

 すると、ヒートシンクが恐ろしく熱くなることはありませんでしたが、Windows2000の起動途中に本体がリセットされてしまう状況が発生してしまったので、試しに550MHz/2MBを550MHz/1MBに変更してみたところ、無事に起動できるようになりました。しかし、この「リセットされてしまう」原因についてはよくわかりません。
 この状態でシステム情報を表示させると次のように表示されます。


550MHz/1MB×4+900MHz/2MB×4での運用

 また、HDBENCHの結果は次のようになりました。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name N8500-344(改) Express5800 180Ha
Processor Pentium III Xeon 901.10MHz[GenuineIntel family 6 model A step 4]
Cache L1_Data:[16K] L1_Instruction:[16K] L2:[2048K]
VideoCard NVIDIA GeForce FX 5600
Resolution 1024x768 (16Bit color)
Memory 2097,151 KByte
OS Windows 2000 5.0 (Build: 2195) Service Pack 4
Date 2004/12/05 15:03
MEGARAID LD 0 RAID 5 H79N
MEGARAID LD 1 RAID 5 H79N
MEGARAID LD 2 RAID 5 H79N

Adaptec AHA-2940U2/U2W PCI SCSI Controller
QUANTUM DLT7000 1E48
_NEC DVD_RW ND-2500A 1.07
TOSHIBA DVD-ROM SD-M14011010

Symbios Logic 8951U PCI SCSI Adapter

Symbios Logic 8951U PCI SCSI Adapter

Compaq StorageWorks 64-Bit/66-MHz Fibre Host Bus Adapter

ALL
35994
Integer
132148
Float
147528
MemoryR
37290
MemoryW
25979
MemoryRW
42584
DirectDraw
17
Rectangle
14752
Text
26511
Ellipse
2619
BitBlt
2465
Read
43371
Write
24450
Copy
2890
Drive
E:\100MB

 おそらくHDBENCHは4CPUまでしか認識できないので、本来のCPUの演算性能はこの2倍程度の値になっていると考えられます。
 とりあえず、この状態でしばらく使っていましたが、特に問題は起きませんでした。
 ただし、Windows2000のイベントログには次のメッセージが記録されるようになります。


異なるステッピングのCPUが混在しているというメッセージ


グラフィックカードの相性

 前回のBIOSのアップデートに伴い、PCI1#系にもグラフィックカードが実装できるようになったので、nVIDIAおよびATIのカードで実験してみました。その結果を以下に示します。

製品名グラフィックチップメモリ容量メモリ接続幅使用可否備考
inno3D
GeForce FX 5600-8X
nVIDIA GeForce
FX 5600
128MB128bit使用可
inno3D
GeForce FX 5700LE-8X
nVIDIA GeForce
FX 5700LE
128MB128bit使用可
PowerColor
RADEON 9200 PCI 256MB
RADEON 9200256MB128bit使用不可カードを認識せず
玄人志向
RD925-P256C
RADEON 9250256MB128bit使用不可ドライバを入れると
ハングアップ
ATI
RADEON 7000
RADEON 700064MB64bit使用可


おわりに

 とりあえずは900MHz版であれば180Haにも搭載できるようですが、起動時に F1 を押さなければならないことに加えて、起動時に使用するCPUを固定するジャンパが本当にその機能を持っているのか不明なため、この構成で常用するかどうかは微妙な状態です。

 なお、今回のCPUボックスの交換ではNECフィールディング株式会社の玉川支店様に非常にお世話になりました。この場を借りて厚くお礼を申し上げます。

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