ちなみに、現在は Win95 対応版の PC-9821X-B05(MPEGエンコードセット Ver.2.0) が販売されており、X-B04 は Win v3.1 用という位置づけであるため、Win95 で使うためにはある程度の準備が必要となる。
参考までに、当方のキャプチャ環境は以下の通りである。
本体 : SV-98 model3(P55C,210MHz×2) MEMORY : 96M HDD : SEAGATE ST19101W×4 CD-R : PLEXTOR PX-R820T TAPE : QUANTUM DLT7000
ARCHIVE Python 28388-XXXSOUND : PC-9801-118 NETWORK : PC-9801-104 CAPTURE : PC-9821X-B04
MELCO MEG-VC1VIDEO : MGA-2064W(RAMDAC 220MHz) OS : Win95 OSR2 LD : PIONEER CLD-R5
本稿は筆者が独自に行った解析に基づいたものであり、本稿によって引き起こされた如何なる問題にも筆者は責任をとらないものとする。
このように X-B04 は Win v3.1 用の製品であるため、ドライバやキャプチャソフトの Win95 対応版は、製造元である Sigmadesigns 社のホームページ(ftp://ftp.sigmadesigns.com)からダウンロードする必要がある。ディレクトリは pub/producer で、Win95 用最新版は v2.01 となっている。
これをダウンロードすると、Win95 上で X-B04 を使用するためのドライバとキャプチャソフトを入手したことになる。このような点から見て、X-B04 と REALmagic Producer は同一の製品と見てよいだろう。
ドライバソフト(.INFを使用)は、すんなりインストールすることができた。続いて、キャプチャソフトのインストールに移ったが、こちらはかなり問題があった。というのは、ソフトウェアの一部は圧縮されており、インストール時に解凍されるべきなのだが、UCODE ディレクトリに入っているファイルは解凍されないままなのである。
おまけに、このディレクトリに入っているべきファイルは、Win95 の起動時に読み込まれるため、通常のインストール方法では Win95 の再起動後に「〜が見つかりません」というメッセージが出て、その時点で起動不能に陥ってしまう。
これを回避するためには、再起動する前にディレクトリ UCODE 内のファイルを全て EXPAND で解凍しておくとよい。あるいは、ネットワークが構築されている環境であれば、別の機械で解凍を行って Win95 でファイルコピーをしてもよいだろう。ファイル名は以下の通りである。
CLIP_B.BIN, CLIP_P.BIN, F_VBS.BIN, CODEC.DDD, ESPRO.DDD, SIGMA.DDD, TRAN.DDD, B_TABLE.DT, CLIP_X.DT, CLIP_Y.DT, P_TABLE.DT, CODEC.III, ESPRO.III, SIGMA.III, TRAN.III, DQ_SIF.INT, Q_SIF.INT, SQ_12.INT, SQ_SIF.INT, DQ_SIF.NON, Q_SIF.NON, CLIP_B.PAL, CLIP_P.PAL, CLIP_Y.PAL, COS.TAB, COS_C.TAB, DEC_DQ.TAB, VLC.TAB
とにかく、通常のインストール方法では、再起動後に不幸に見舞われることになるので、注意が必要である。
※Windows95用の最新ドライバは PROD201.EXE であるが、展開時には /D オプションを指定して実行すること。これを行うことでディレクトリ構成が復元されて展開されるため、インストール時のエラーを回避することができる(2004年10月11日追記)。
NTSC 352×240 PAL 352×288
に限定されている。
このような仕様の時点で、かなり苦しいと思う(とはいえ VCD を作るのが目的であれば問題なさそうに見える)のだが、加えてこのキャプチャソフトでは明るさなどを設定することができない。これは致命的な欠陥である。各種取り込みパラメータは .PRO(プロファイル) に保存されるため、明るさを設定しているパラメータを直接書き換えることも可能なのだが、その設定は完全に無視されてしまう。
ちなみに、ソフト側から明るさを設定しようとすると、その部分は最初から空欄(かといって、グレーになっているわけではない・・・)になっており、設定も何もない状態である。よって、明るさを制御できない、という点においては MEG-VC1 などに明らかに見劣りしてしまう。これは今後のソフトウェアのバージョンアップに期待するよりほかないだろう。
また、出力できるファイル形式が AVI(Editable-MPEG) なので、ファイルサイズの上限が 2G までとなっている。つまり FAT32 を使用して巨大なパーティションを確保しても意味がないわけである。
蛇足になるが、当方の SV-98 model3 はデュアル CPU マシンであるため、通常は NT 4.0 を起動するのだが、これが FAT32 と非常に相性が悪いようで、FAT32 が存在すると NT 4.0 が起動できなくなってしまう。このようなこともあり、
A:〜P: 1ドライブにつき 2G バイト
というドライブ構成になってしまった。
また、このボードの映像取り込みレートはかなり柔軟に設定でき、特筆すべき点である。取り込みレートの設定可能な範囲は以下の通り。
ファイル書出先が HDD の場合4.0〜9.5Mb/s ファイル書出先が RAM DISK の場合4.0〜13.5Mb/s
少なくとも MEG-VC1 などの DEC のチップを搭載したキャプチャカードでは取り込みレートの上限が 4Mb/s であることを考えれば、この機能に関しては上回っていると言えるかもしれない。
ただし、取り込みレートを上げれば上げたぶんだけ、取り込める時間が短縮されてしまい、長編(1時間前後)を取り込むという場合には、取り込みレートを下げることになるので、他の MPEG キャプチャカードとレート的に差がなくなってしまう。
さて、この時に「映像のストリーム長と音声のストリーム長が一致していないけれども、それでも変換するか」という旨の警告が英文で表示されることが多々ある。そこで、トラブルシューティングを参照すると「そのメッセージが出たら Adobe Premiere で編集して長さを一致させるか、できれば取り込み直した方がよい」ということが書いてある。
短時間なら取り込み直すことも考えられるが、このメッセージは比較的低めの取り込みレート(4.0〜6.0Mb/s程度)で長時間取り込んだときに出やすいようなので、余計に始末が悪い。
かといって、これだけのために高価な編集ソフトを買うのも馬鹿げている。というのは編集ソフトを使った場合は、
ボードで展開→編集→ボードで再圧縮→MPEG変換
という流れになるので、画質の劣化は避けられないのではないか、とも思えるためである。であるから、長時間の取り込みを行う場合には、別途 MEG-VC1 などを用意することで対処するのが賢明であろう。
また、このボードは Sigmadesigns 社によるものなので、画像をキャプチャしてからプレビューを行う場合には REALmagic 互換の MPEG 再生ボードが必要になる。この基準に適合するボードは PC-9801-99 もしくは PC-9801-117 である。ただし PC-9801-99 は Win v3.1 用なので、当然 Win95 では PC-9801-117 を使わなくてはならない。
しかし(当方の環境にはソフトウェア MPEG 展開ツールが入っているのでそれが原因かもしれないが)、実際にキャプチャソフトの上からプレビューをしようとすると「このプログラムは不正な処理を行ったので強制終了」する旨が表示されて、システムが不安定になってしまう。そのため、プレビューはあきらめ、現在は「キャプチャしたら即変換」という作業手順になっている。
それから、最初から .MPG で出力されないのが痛い。変換する作業だけで取り込み時間の3〜4倍必要になってしまうのは MPEG の性質上、しかたがないのかも知れないが・・・。
取り込み先駆者の前田氏から聞いたところでは「直接 MPEG で出力するよりも AVI から変換した方が画質がよい」とのことなので、通常のキャプチャボードを使っていれば「時間と画質とどちらを取るか」という厳しい選択を迫られることになるはずであり、X-B04 は幸いにも、というか残念ながら、というか .MPG の直接出力ができないので、このままで使っていくしかない。
また、各種コネクタの配置にも問題がある。このキャプチャボードは、
なお、当方の環境では MEG-VC1 は動作したが、公式には PC-98 は非対応となっているので、動作保証は全くできない。実験される場合にはこの点にご留意いただきたい。
まず、X-B04 と MEG-VC1 を共存させる場合には、以下のような手順になる。
そのため、この環境で X-B04 を使用する設定を行い、キャプチャソフトで「キャプチャ後にメディアプレーヤー起動」を選択しておくと、正常にメディアプレーヤーが起動できなくなるようである。また、単独で実行してもそれなりのエラーが出るが、無視して実行すると再生できるので、気にしないことにしている。
逆に MEG-VC1 を使用する設定にした場合には X-B04 用のキャプチャソフトがまともに動かなくなるくらいで、あとは通常どおり使用できるようである。
というわけで、当方の環境では
32分以内のキャプチャ PC-9821X-B04 33分以上のキャプチャ MEG-VC1
という状況になっている。
しかし、現在は低価格なキャプチャボードが増えてきており X-B04 を販売している NEC からも DEC のチップを搭載した MPEG キャプチャボード PK-UG-X002(ただし PC98-NX 用で、基板には MEG-VC1-N の表記がある) が発売されており、今更 X-B04 を選択する余地は無いように思える。
以上の理由から「どうしても PC-98 シリーズでキャプチャを『メーカーの動作保証付きで』行いたい」あるいは「ハードで展開することを前提にして、高いビットレートで取り込みたい」という場合になって初めて X-B04 や X-B05 を選択する可能性が出てくる。
もっとも、キャプチャボードに限らず、このような異様に高価なボードは、動態保存することに意味があるような気もするので、判断は読者の方々におまかせする。