2002.12.30

SV-98でファイバーチャネル(第2回)

Written by かたあま☆彡  


前回までのお話

 さて、前回の SV Magazine では、Express5800 にファイバーチャネルの HBA を実装して、SUN StorEdge A5000 の動作試験を行い、ユニット自体は正常であるということが確認できました。また、システムからの見え方も通常のハードディスクと同様であるということがわかった以上は、なんとかして SV-98 での運用を実現したい、ということをお知らせしました。

 前回のコミケットでSV補完委員会のスペースにて「SV-98でファイバーチャネルの動作を確認!」という張り紙をごらんになった方もおられるかと思いますが、実はコミケットの前日に試行錯誤の末にディスクを認識させることができたため、あのような張り紙を出すことになったわけです。

 ということで、今回は SV-98 において Sun StorEdge A5000 が使用できるようになるまでをまとめてみましたが、記載されている内容については、私は一切保証しませんし、それに伴って発生した如何なる事故にも責任は負いませんので、あらかじめ御了承ください。
 なお、接続に使用した OS は WindowsNT 4.0+SP5 の組み合わせです。


用意したハードウェア

 というわけで、以下のハードウェアで接続試験を行いました。


用意した HBA

 今回は前回の最後に予告したとおり、Emulex 製のファイバーチャネルの HBA を用意しました。

・Emulex LP8000-EMC(以下、LP8000と表記)


コントローラは Emulex 製。

 なにやらこの HBA は EMC 用のデバイスをつなぐことを想定しているモデルのようで、通常モデル(無印)も別に用意されている模様ですが、詳細は不明です。BIOS も PLCC ソケットに実装されていますが、当初は中身が空になっており、自分が使用するアーキテクチャに合ったものを流し込んで初めて BIOS が使用できるようになります。
 なお、当然ながら SV-98 および PC-98 用の BIOS は用意されていませんので、空の状態のままで使用するか、既に中身が入っていた場合には PLCC ソケットから引き抜く必要があります。
 また、この HBA は接続するケーブルの種類を変更できるように Compaq の CPQFC と同様に GBIC を使用する形になっています。
 ちなみに、前回予告した Emulex LP7000 は、LP8000 が入手できたので処分してしまいました。


搭載されている GBIC を取り外した状態。


付属している GBIC モジュール。


本体へのカード実装と配線

 本体への実装および配線手順については、前回および前々回とほぼ同様なので割愛します(ぷ。今回の本体にも 64bit PCI は存在しないので、PCI のスロットから増えた分のコネクタがはみ出した状態で実装されます。

 その他には特に問題となることはないと思いますが、必ず BIOS の内容が空もしくは BIOS 自体が引き抜かれている状態で実装して下さい。
 なお、毎度のことながら、SV-98 model3 においてクロックアップをソケット化で行っている場合には、最下段の PCI スロットには物理的に実装できませんのでご注意下さい。


ドライバのインストール

 ドライバのインストールについては、他の SCSI HBA などと同様で、普通にインストールすれば問題ありません。  ドライバのインストールが終わったら、再起動を促すメッセージが出ますので、再起動して下さい。


ドライバインストール後の表示とベンチマーク

 さて、LP8000 のドライバをインストールすると、コントロールパネルの SCSI アダプタのところには何も表示されず、読み込まれたドライバ一覧のところにのみ表示されます。


 起動時には「1つ以上のデバイスまたはサービスでエラーが起きた」等のメッセージが出なかったので、正常に動作していると見なしてディスクアドミニストレータを起動したところ、期待通りのメッセージが表示されました。


 レイによってひたすら「署名する」を選択すると、ようやくディスクアドミニストレータが起動しました。




 ここまでは正常に認識できたので、前回と同様にソフトウェアで RAID を構成してみることにしました。今回は 36G のハードディスク3つでストライプセットを作成し、ベンチマークを行いました。
 以下はベンチマークの結果です。

★ ★ ★ HDBENCH Ver 3.30 (C)EP82改/かず ★ ★ ★
M/B Name SV-98 model3-20(仮)
Processor Pentium(MMX) 209.85MHz[GenuineIntel family 5 model 4 step 3]
VideoCard MELCO WGN-A/WSN-A グラフィック アダプタ
Resolution 800x600 (16Bit color)
Memory 522,620 KByte
OS Windows NT 4.0 (Build: 1381) Service Pack 5
Date 2002/12/07 19:49

SV-98/2-B04 または SV-98/2-B04 互換
MYLEX DAC960
MYLEX DAC960
MYLEX DAC960
MYLEX DAC960
MYLEX DAC960
MYLEX DAC960

SV-98/2-B03 または SV-98/2-B03 互換
TEAC CD-ROM CD-532S 5_0A
HP C1537A L708

Emulex LightPulse - Private Arbitrated Loop
IBM-PSG ST136403FC !#B324
IBM-PSG ST136403FC !#B324
IBM-PSG ST136403FC !#B324
SEAGATE ST318203FC F304
SEAGATE ST318203FC F304
SEAGATE ST118202FC FD9E
SEAGATE ST318203FC F304
SEAGATE ST318203FC F304
SEAGATE ST118202FC FD9E
SEAGATE ST118202FC FD9E
SEAGATE ST118202FC FD9E
SEAGATE ST118202FC FD9E
SEAGATE ST318203FC F304
SEAGATE ST118202FC FD9E

Emulex LightPulse - Private Arbitrated Loop


   ALL  Integer   Float  MemoryR MemoryW MemoryRW  DirectDraw
 11374     7656    5884     3369    2505     4583           1

Rectangle   Text Ellipse  BitBlt    Read   Write    Copy  Drive
     1328    178     297       2   27233   29680    3093  P:\10MB
※今までは HDBENCH v2.61 を使用していましたが、今回のベンチマークでは結果がクリップボードにコピーできなかったので、v3.30 を使用しています。


付属のユーティリティに関して

 この HBA には、現在の状況を表示したり接続形態を変更するためのユーティリティ(Emulex Configuration Tool)が付属しています。

 右上の Adapter Controls のところに「Point to Point」というチェックボックスがあり、今回のような接続状態の場合にはチェックを入れる必要があるように感じられますが、これにチェックを入れるとディスクが見えなくなってしまいます。その代わりにコントロールパネルの SCSI アダプタの一覧にはホストアダプタの名前が表示されるようになりますが、どのような理由でそうなってしまうのかは不明です。


ディスク増設・交換時の注意点

 今まで動作確認に使用してきた Sun StorEdge 5000 に初期状態で搭載されているハードディスクは Seagate ST19171FC でしたが、それを別のドライブに交換した時にいくつか問題が発生しましたので、ここに記しておきます。

 1点目は HBA とディスクとの相性の問題です。通常の SCSI にも HBA とディスクの間で相性があるように、ファイバーチャネルにも相性があるようです。現在までで、

という5種類のドライブを実装試験しましたが、今のところ動作が確認できたのは Sun・IBM・Dell のいずれかのディスクアレイユニット用とされているドライブのみで、対象メーカーが不明なドライブは実装しても認識しないか、認識してもディスクアドミニストレータでオフライン、という状況でした。

 2点目は SV-98 で使用する場合にのみ発生する問題ですが、SV-98 では完全に未使用の状態のディスクは認識できないようです。新しいディスクは使用する前に Express5800 などの AT ベースのマシンに実装されたファイバーチャネルの HBA を通して、署名を書き込むなどの作業を行ってからでないと、SV-98 に実装されたファイバーチャネルの HBA からはオフラインとして認識されてしまいます。


今後の展望

 ということで、めでたく SV-98 でもファイバーチャネルが使用できるようになりました。前回の接続試験では Express5800 での動作が確認されているので、今後は共用ディスクの実験を行っていく予定です。
 順調にいけば、来年の夏あたりに実験の結果を発表できるのではないかと思いますので、ご期待下さい。


連絡先

 本稿に対してご質問があれば、 にメールを送っていただければ幸いです。

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