PowerEdge R900 はチップセットに Intel 7300を搭載している4ソケットのサーバで、MAGNIA 7505R の姉妹機と呼んでも差し支えない機種なのですが、ハードウェアレベルでどのような違いがあるのか等の情報も含めてレポートをお送りしたいと思います。
ちなみに、ここ数年のDELLのハイエンドサーバは「Intelのリファレンスモデルと似ているけれども、微妙に違う」という傾向があるようで、
なお、記載されている内容については、私は一切保証しませんし、それに伴って発生した如何なる事故にも責任は負いませんので、あらかじめ御了承ください。
主なハードウェア面の特徴は、
機種名 | PowerEdge R900 | ||||||||||
プロセッサー | インテル Xeon プロセッサー
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マルチプロセッサー | サポート(最大4プロセッサー) | ||||||||||
3次キャッシュ | 最大16MB | ||||||||||
システムチップセット | Intel 7300チップセット | ||||||||||
フロントサイドバス | 1066MHz | ||||||||||
メモリ | FBD 667MHz SDRAM、4GB(最小)〜256GB(最大) | ||||||||||
ディスクコントローラ | 最大搭載数5本(3.5インチ)または8本(2.5インチ)(ホットプラグ対応) | ||||||||||
ネットワークコントローラ | オンボード4ポートBroadcom NetXtreme II 5708 ギガビットネットワークコントローラ(TOE機能付) |
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RAIDコントローラ | SAS 6i/R(オプション) または PERC 6/i:3.0Gb Port(256MBキャッシュ搭載)(オプション) または PERC 6/E:3.0Gb Port(256MBまたは512MBキャッシュ搭載)(オプション) |
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表示機能 | グラフィックス コントローラ |
オンボードATI Radeon ES1000グラフィックスコントローラ(32MB SDRAM) | |||||||||
解像度 | 最大1,600×1,200 | ||||||||||
ハードディスクドライブ |
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テープバックアップドライブ (オプション) |
対応(外付けのみ) | ||||||||||
拡張スロット | PCI-Expressスロット 7本(x8:4本+x4:3本) | ||||||||||
コネクタ/ポート | 背面:シリアル×1、USB 2.0×2、モニタ×1 前面:USB2.0×2、モニタ×1 内部:USB2.0×1 |
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外形寸法 | 172.7mm×447mm×701mm(高さ×幅×奥行) | ||||||||||
重量 | 41.73kg(最大構成時) | ||||||||||
ラックマウント | 対応 | ||||||||||
電源定格出力 | 冗長構成のみ(1,570W×2基)100-240V対応電源 | ||||||||||
可用性 | ホットプラグ対応メモリライザーカード、SDDC付きFBDメモリ、 メモリスペアローおよびメモリミラーリング(オプション)、 ホットプラグ対応PCI Expressスロット、ホットプラグ対応SCSIディスクドライブ、 ホットプラグ対応冗長化電源、ホットプラグ対応冗長化ファン、 ツールレスシャーシ、可用性の高いファイバチャネルとSCSIクラスタ(オプション) |
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ハードウェア監視システム | 対応(プロセッサー、システムボードの温度・電圧監視、 ファンON/OFF監視およびオートリセット機能)、IPMI2.0準拠 |
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サーバリモート監視 | サポート(IPMI2.0準拠または、オプションのオンボードDRAC5) | ||||||||||
サーバマネジメント ソフトウェア |
Dell OpenManage 5.3 |
(1)PowerEdge R900の前面
PowerEdge R900には他のPowerEdgeシリーズと同様のデザインの銀色のフロントパネルが用意されていますが、購入時のカスタマイズで「フロントパネルなし」を選択することもできるようになっています。
そのためか、当方が入手した個体にはフロントパネルは付属していませんでした。
前面には3.5インチのSASハードディスクを5台まで内蔵できるハードディスクドライブベイやスリムラインDVD-ROMドライブ、ステータスインジケータ、RGBコネクタ、USB 2.0ポートがあります。
ステータスインジケータ・電源スイッチ・RGBコネクタ・USB 2.0ポート・冷却ファン
SASハードディスクドライブベイ
標準搭載のDVD-ROMドライブ・冷却ファン
(2)PowerEdge R900の背面
本体の背面には
冷却ファン・USB 2.0ポート・RGBコネクタ・シリアルポート
冷却ファン・LANコネクタ・管理用LANコネクタ・UnitIDスイッチなど
なお、PowerEdge R900はシリアルポートが背面に1つしか存在しないため、BIOSセットアップメニューで
(3)内部全景
MAGNIA 7505Rと似通った設計になっているため、内部はかなりの密度で各コンポーネントが実装されています。空間と呼べる部分はPCI Expressスロットの周辺だけとなっています。
PowerEdge R900の内部全景
PowerEdge R900の内部全景(CPU保護カバー取り外し時)
トップカバーの裏にはメモリの増設方法やジャンパの位置などが記載されている
(4)電源ユニット
電源ユニットにはデルタ製の1570Wの平たい形状のものが使われていて、障害発生時にはホットスワップが可能になっています。この電源は100V・200Vのどちらにも対応できる電源で、標準で2台搭載されています。
金属製のリリースレバーは黒色で、この部分は MAGNIA 7505R と異なる点となっています。
DELLのロゴが入ったデルタ製のDPS-1570CB(1570W)が使用されている
(5)前面ファン
本体前面にはCPUおよびメモリを冷却するためのファンが左右に2つずつ搭載され、PWMによって回転数の制御が行われるようになっています。障害発生時にはホットスワップが可能ですが、本体のトップカバーを開けて交換するようになっています。
使用されているファンはNidec VA450DCで、MAGNIA 7505Rに使用されているものと同じ1分間の回転数が5,300回転という爆音モデルなのですが、PWM制御の設定が異なっているようで、通常運転時は MAGNIA 7505R よりもはるかに静かです。
ファンは Nidec V34809-35(VA450DC) が使用されている
ファンからの配線とコネクタからの配線を途中で繋いでいるようだ
あまりにも騒音がひどい場合には静音化改造も視野に入れていましたが、概ね Express5800 180Ha と同じくらいなので、今のところその必要はなさそうです。
なお、ファン本体からコネクタまでの配線の長さには余裕があるので、静音化改造が必要になった場合にも、作業は容易に実施できると思われます。
(6)3.5インチSASハードディスクドライブ
ハードディスクのインターフェースにはSASが使用されています。3.5インチのハードディスクを5台まで内蔵でき、障害発生時にはホットスワップ可能となっています。
当方が入手した個体は、ダミートレイが5個実装されている状態だったので、ディスクは費用と容量を考慮して日立グローバルストレージ製のSATAドライブ HDS721050CLA362 を5台搭載しています。
(7)DVD-ROMドライブ
標準で搭載されているDVD-ROMドライブは東芝SAMSUNG製のTS-L462で、ATAPIインターフェースのモデルです。マザーボード上にはATAPIのコネクタは存在しませんが、SASバックプレーン部に用意されている専用コネクタに接続するようになっています。
なお、SASバックプレーンにはマザーボード上に用意されているSATAコネクタからのケーブルを接続できるようになっており、SATAインターフェースのDVD-ROMドライブが用意されています。
ドライブは東芝SAMSUNG製の TS-L462 が搭載されていた
SASバックプレーンとの接続コネクタは専用形状になっている
TS-L462はDVD-ROMは最大8倍速・CD-ROMは最大24倍速で読み取ることができます。書き込み機能についてはCD-RやCD-RWの書き込みには対応しているものの、DVDの書き込みは全くできないドライブなので注意が必要です。
ベゼルにはGBASベゼルが採用されているため、最近のスリムドライブであれば容易に換装が可能です。
(8)CPUとヒートシンク・VRM
PowerEdge R900のマザーボードは1枚で構成されていて、CPUはシックスコアのXeon X7460が最大で4基まで搭載できるようになっています。VRMユニットは4ソケット分が最初からオンボードで実装されています。
CPU1およびCPU2で使用されるVRMユニット
CPU3およびCPU4で使用されるVRMユニット
ヒートシンクについては、PowerEdge 6850以降のモデルから形状が変更されていて、部品番号も新たに設定されています。
そのため、PowerEdge 6800用のヒートシンクが実装できないように、CPUソケットの周囲の樹脂製の枠には物理的な突起が作られています。
当方が入手した個体はCPUが全く搭載されておらず、おまけにヒートシンクも2つしか付属していなかったので、手持ちのPowerEdge 6800用のヒートシンクが使えるように枠の突起を削りました。
PowerEdge 6800用のヒートシンクを取り付けられるように邪魔な突起を除去
なお、搭載するCPUについては、レイによって海の向こうから Intel Xeon L7345 を4個ほど取り寄せて実装しました。
Intel Xeon L7345 は正常に認識されている
搭載されているCPUの情報はPOST中に表示される
ヒートシンクはバネで固定する方式を採用しており、CPU周辺のエアフローを安定させて効率的な冷却を実現するため、樹脂製のCPU保護カバーが取り付けられています。
PowerEdge R900のマザーボードの中央付近にはDELLのロゴがシルク印刷されています。ボード上の部品の配置などはインテル製のマザーによく似ていますが、オリジナルの設計になっているようです。
(9)チップセットとI/Oコントローラハブ
チップセットとしてIntel 7300が採用されており、その下に
Intel 6321ESB I/Oコントローラハブ
また、Intel 6321ESB の下には
(10)PCI Expressスイッチ
PCI ExpressスイッチとしてIDTのPES24N3が採用されており、その下にx8のPCI Expressスロットが接続されています。
1つのPES24N3で「24レーン・3ポート・x8までの速度に対応したPCI Expressスイッチ」という仕様から、マザーボード上に2つ実装されています。
PCI Express x8 スロット付近にIDT PES24N3が2つ実装されている
(11)メモリおよびメモリライザーカード
メモリはPC5300のFB-DIMMを使用しますが、運転時にはかなりの熱が発生するため、CPUの冷却に使用した空気の流れを使って冷却する構造になっています。そのため、メモリライザーカードにもエアフローを安定させるための保護カバーが取り付けられています。
PowerEdge R900のメモリライザーカードは障害が発生した際に不良が起きたスロットを表示するLEDが搭載されておらず、メモリライザーカード背面の絶縁用のカバーも省略されています。
MAGNIA 7505Rには障害位置表示用のLEDが搭載され、背面の絶縁用のカバーも実装されていたことなどから考えると、これらの省略はコストダウンを優先した結果ではないかと考えられます。
背面の絶縁用のカバーが省略されている
メモリライザーカード1枚につきDIMMスロットが8つ用意されており、8GBのDIMMを8枚実装することで64GBまで搭載することができます。工場出荷時の状態でメモリライザーカードは4枚フルに搭載されていますが、DIMMが全く実装されていないメモリライザーカードも運転時には実装しておく必要があります。
メモリライザーカードは向かい合わせで実装される
同じ容量のDIMMを16枚用意して、4枚ずつそれぞれのメモリライザーカードに実装することにより、メモリミラーリング機能が使用できるようになります。
(12)SASアレイコントローラ
この本体にはSASのアレイコントローラが搭載されていますが、オンボードではなくPCI Expressカードの形態となっていて、本体の向かって左側のファンの後部に専用のPCI Expressスロットが用意され、そこに通常の拡張カードとは逆の向きで実装されています。
このアレイコントローラからSASハードディスクドライブベイのSASバックプレーンまで、SFF-8484のケーブルが2本接続されています。
この個体の導入当初は SAS 6/iR コントローラが実装されていました。このコントローラには LSI logic のLSI SAS1068e が搭載されていましたが「構築できるアレイの種類が RAID 0 あるいは RAID 1 に限定されてしまう」ということと「パフォーマンス向上に不可欠なキャッシュメモリが搭載できない」という看過できない問題がありました。
そこで、アレイコントローラを少なくとも RAID 5 が構築できるものに交換することにしました。
通常であれば PowerEdge R900 にはオプションで DELL PERC 6i が用意されているのでそれを搭載するのですが、今回はあえてメーカーが非サポートとしている DELL PERC 5i を実装することにしました。
DELL PERC 5i にはコントロールチップとして LSI SAS1068 が搭載されている
キャッシュとして256MBのPC2-3200 ECC Registeredメモリが搭載される
このコントローラには LSI logic のLSI SAS1068 が搭載され、キャッシュとして256MBのメモリとバックアップ用のバッテリーが搭載されています。
ディスクアレイの管理にはBIOSに含まれているコンフィグレーションユーティリティのほか、WindowsからはDELLが提供している OpenManage Storage Management やLSI Logicが提供している MegaRAID Storage Manager が利用できるようになっています。
なお、ファームウェアを LSI Megaraid SAS 8408E のものに入れ替えることによって、512MBのキャッシュメモリ(ただし1R×8で片面実装のもの)が使えるようになりますが、ウォームブート時に DELL PERC 5i が認識されないという致命的な問題が発生します。
加えて MegaRAID Storage Manager において、バッテリーのステータス取得に失敗して「バックアップ用バッテリーが劣化しているので交換せよ」という内容の警告が表示されるようになりますので、ファームウェアの入れ替えはお勧めできません。
(13)I/Oライザーカード・DRAC 5
この本体には管理用のプロセッサを搭載したカードであるDell Remote Access Controller 5(DRAC 5)をI/Oライザーカードの裏面に取り付けることが可能です。
DRAC 5はオプションのカードとなるため、DRAC 5を実装しない場合にはベースボード管理コントローラ(BMC)による管理となります。
I/Oライザーカード・裏面(DRAC 5実装時)
このI/OライザーカードはPCI Express x4スロットの向かって左側にある専用スロットに実装されるカードで、BMCとギガビット対応の4つのLANポートが搭載されています。
標準で搭載されている4つのギガビット対応ポートのうち、DRAC 5を実装しない場合はそのうちの2つのポートが管理用LANコネクタと兼用となります。また、これらの4つのギガビット対応ポートは Broadcom Advanced Control Suite 3(BACS 3)を導入することで、仮想NICを構成することができます。
BMCの他にはネットワークコントローラチップが4つ搭載されている
ギガビット対応ネットワークコントローラ Broadcom BCM5708
PCI Expressスイッチ IDT PES24T6
Broadcom Advanced Control Suite 3を使用して仮想NICを構成
I/OライザーカードとDRAC 5の間は2本のフラットケーブルで接続されます。
なお、DRAC 5の動作に必要となる電源もこのケーブルを通して供給されるため、PCI Express用の端子はどこにも接続されません。
フラットケーブルはロック付きのものが使われている
I/Oライザーの裏面に取り付けられるDRAC 5の上には、各種のチップが搭載されています。
セキュリティ機能を備えるネットワークプロセッサ AMD AU1550
XILINX SPARTAN3 XC3S400 と Txas Instruments TVP7000
なお、DRAC 5を実装するとPCI Expressスロットにグラフィックカードを増設しても、強制的にオンボードのグラフィックカードからの出力にされてしまいますので、構築時には「柔軟なサーバ管理」あるいは「広大で快適な画面表示」いずれかの選択を強いられることになります。
当方の環境ではグラフィックカードの搭載が最優先事項なので、DRAC 5の搭載は見送られることになりました。
(14)PCI Expressスロット
MAGNIA 7505Rには全部で7本のPCI Expressスロットが用意されていますが、ホットプラグには対応していません。このあたりの機能削減もコストダウンの一環なのでしょう。
ホットプラグに対応していないので樹脂製の枠も存在しない
(15)ネットワークコントローラ
PowerEdge R900のネットワークコントローラは、前述のI/Oライザーに搭載されているギガビット対応のBroadcom Broadcom BCM5708のみとなります。
そのため、マザーボード上にはネットワークコントローラは実装されておらず、MAGNIA 7505RでIntel 82563EBが実装されていた場所はランドになっています。
なお、PowerEdge R900には標準でTOEキーが搭載されているため、Broadcom BCM5708のTCPオフロードエンジンが有効になっています。
BIOSセットアップメニューにも TOE と表示されている
(16)SATAコネクタとUSBコネクタ
オンボードでそれぞれ1ポートずつ用意されていますが、MAGNIA 7505R とはレイアウトが若干異なっています。
また、本体に標準搭載されるDVD-ROMドライブはATAPI接続なので、SATAコネクタには何も接続されていません。
(17)本体後部のファン
メモリライザーカードを冷却するために設置されているファンモジュールです。本体の前面から吸い込んだ空気がCPUの冷却とメモリモジュールの冷却に使用され、このファンによって外部に強制的に吐き出される構造になっています。
このファンは8cm・38mm厚のファンが2つ重なった状態で左右にそれぞれ実装され、障害発生時にはホットスワップによる交換が可能になっています。
なお、このファンもPWMによって回転数の制御が行われるようになっています。使用されているファンはMAGNIA 7505Rと同じNidec UltraFlo H80E12BS1A7なのですが、前面のファンと同じくPWM制御の設定が異なるため、運転時の騒音はかなり軽減されています。
なお、2008年9月以降に製造されたモデルでは、この本体後部のファンは搭載されなくなりました。
そのため、BMC のファームウェアを 2.27 以降に上げると、本体後部のファンは動作するもののシステムからは認識されなくなり、監視対象からも除外されるようです。
2つ重なった状態でファンモジュールが構成される
ここでは PowerEdge R900 と Intel S7000FC4UR との相違について説明します。
既に本体の外観のレベルで PowerEdge R900 と Intel S7000FC4UR では異なる部分が多く見られますが、内部のハードウェア構成においても異なる部分が散見されます。
(1)システムBIOSとPLD1
PowerEdge R900のシステムBIOSが格納されているチップとPLD1には、DELLの部品番号やバージョン番号の表記ルールに基づいたシールが貼られています。
PLD1には JN255 A00-00 ADD9 と書かれたシールが貼られている
(2)管理用プロセッサとグラフィックコントローラ
管理用プロセッサにも違いが見られます。PowerEdge R900では拡張カードの形態で搭載されたDRAC 5あるいはI/Oライザーカードに搭載されたBMCを使用しますが、Intel S7000FC4URではオンボードの Intel 6321ESB に内蔵されたBMCを使用します。
グラフィックコントローラについてはIntel S7000FC4URと同様に、オンボードで実装されているATI ES1000を使用します。
本来はオンボードで提供されるBMCがPowerEdge R900ではI/Oライザーが担う構成になっているため、マザーボード上で当該機能に関連するチップが実装される場所はランドになっています。
グラフィックコントローラは本来の場所にATI ES1000が実装されている
グラフィックメモリ hynix HY5PS5616218 FP-25(DDR2 SDRAM 32MB)
(3)オンボードSATAコネクタとSASアレイコントローラ
オンボードのSATAコネクタはPowerEdge R900では1つしか用意されていませんが、Intel S7000FC4URでは6つ使用できるようになっています。
これはSASアレイコントローラがIntel S7000FC4URではオプション扱いになっているためと考えられ、6つあるSATAコネクタのうちの4つはSATAのハードディスクドライブを接続し(※物理的な接続先はハードディスクドライブベイのSASバックプレーン)、1つはDVD-ROMドライブの接続に使い、残る1つのコネクタはユーザー側で自由に使える状態になっています。
PowerEdge R900は購入時にカスタマイズが行われるものの、何らかのSASアレイコントローラが選択されることが確実で、オンボードのSATAコネクタもSASバックプレーンに用意されたコネクタに接続する用途しか想定していなかったため、余計なSATAコネクタは実装されなかったのでしょう。
FSB変更用のジャンパスイッチを取り付けるためのランドも用意されている
シルク印刷を見るとデフォルトの状態で1066MHzに設定されていることがわかります。このジャンパの設定によってFSBを1333MHzまで引き上げることが可能となるはずです・・・が、MAGNIA 7505Rでの改造においてはジャンパの設定を変更しても特に動作状況に変化が見られなかったので、今回の改造は見送りました。
ただし、ATI ES1000 はATI RADEON 7000相当のグラフィックチップということもあり、高い解像度では描画速度が惨憺たる状態になるので、グラフィックカードを増設することにしました。
PowerEdge R900もPCI Express x8スロットまでしか搭載されていないので、PCI Express x16のグラフィックカードを増設する場合は、スロットの端を切削してエッジフリー化を行う必要があります。
なお、MAGNIA 7505RではPCI Expressスロットの A1 と B48 の信号線をジャンパ線によって短絡して、ようやくグラフィックカードが認識されたという実績があるので、今回は最初から信号線の短絡改造を実施しました。
PCI Expressスロットの A1 と B48 の信号線をジャンパ線で短絡
補助電源を使用しないグラフィックカードであればこれで改造は終わりですが、当方の環境では補助電源を要求するカードを搭載することが前提になっているため、追加改造を行いました。
PowerEdge R900ぐらいの世代のサーバになると、ほとんどの部品がモジュール化されていて、およそ「4ピンの電源ケーブル」などというものは用意されていません。そこで、基板に電源ケーブルをハンダ付けして、補助電源を作成しました。
電源はハードディスクが接続されるSASバックプレーンから取り出しました。これは、ハードディスクにはそれなりの電流が流れることが想定されているので、グラフィックカード用の補助電源をもらってもそれほど大きな影響は出ないだろうと判断したためです。
本体を運転している状態でSASバックプレーンにテスターを当て、電源ユニットからの分配ケーブルが接続される端子の裏に4ピンの電源ケーブルをハンダ付けしました。
電源端子の裏側に4ピンの電源ケーブルをハンダ付けする
6ピンの補助電源に変換するため2系統の電源ケーブルを作成
本体のフレームとSASバックプレーンの隙間から電源ケーブルを引き出す
これで補助電源が確保できましたが、PowerEdge R900はサーバ機ということもあり、PCI Expressスロットの間隔が一般のコンピュータよりも広いレイアウトとなっています。
そのため、2スロット用のブラケットが取り付けられているグラフィックカードの場合には、同じコネクタ配置となっている1スロット用のブラケットに交換する必要があります。
また、筐体の高さが4Uに抑えられていることもあり、トップカバーを取り付けるとPCI Expressスロットの上部には空間がほとんどありません。そのため、補助電源コネクタを使用するグラフィックカードで利用できるのは「補助電源コネクタが横向きにレイアウトされているカード」のみに限定されます。
これらの条件をクリアできるグラフィックカードとして、今回は ASUS EAH5870/2DIS/1GD5/V2 のブラケットを1スロット用に改造したものを実装しました。なお、ASUS EAH5870/2DIS/1GD5/V2 はコネクタの位置が変則的なので、他の1スロット用のカードのブラケットをそのまま流用することはできません。
最近は RADEON HD 6xxx シリーズが新たに登場しましたが、このシリーズはリファレンスモデルが「隣接スロット側にもコネクタを配置する」というものなので、現時点で搭載が可能なのは RADEON 5xxx シリーズまでに限定されます。
最も労力をかけずにアッパーミドルクラスのグラフィックカードを搭載するのであれば、MSI R5850 Twin Frozr II に玄人志向 RH5770-E1GHD/DP/G2 のブラケットを組み合わせるのが良いのではないかと思います。
ASUS EAH5870/2DIS/1GD5/V2の補助電源コネクタは横向きなので問題なし
なお、上記のカードの他に RADEON HD 4870x2 も実装してみましたが、本体のメモリに電気食いのFB-DIMMが採用されていることと相まって、一般的な商用100Vの電源供給では容量不足に陥る模様です。
電源の容量不足が発生するとPOST時にメモリエラーが出てしまいますので、デュアルGPUのカードを使用して安定した運転を行いたい場合には、商用電源の電圧を200Vに昇圧することが必須条件になると思われます。
ASUS PCIE GEN2 SATA6G
増設した SATA ポートは eSATA ポートに変換
設定は「1024x768」・「最高」
設定は「Character:ランダム」・「Resolution:Low(1280x720)」
DELL PowerEdge R900 Spec Sheet(PDF)
http://www.dell.com/downloads/global/products/pedge/en/pe_R900_spec_sheet.pdf
Dell PowerEdge R900 ハードウェアオーナーズマニュアル(PDF)
http://support.dell.com/support/edocs/systems/peR900/ja/hom/GX8330D.pdf
Dell PowerEdge R900 システム テックシート(PDF)
http://support.dell.com/support/edocs/systems/peR900/multlang/ts/GX834A04MR.pdf
Intel Server System S7000FC4UR Product Guide
http://www.intel.com/support/motherboards/server/s7000fc4ur/sb/cs-028212.htm
Intel Server System S7000FC4UR Technical Product Specification Revision 1.0
http://www.intel.com/support/motherboards/server/s7000fc4ur/sb/cs-028208.htm
Intel Xeon Processor 7200 Series and Intel Xeon Processor 7300 Series Datasheet
http://www.intel.com/Assets/en_US/PDF/datasheet/318080.pdf
というわけで、MAGNIA 7505Rの導入から約半年を経て Intel 7300 チップセットを搭載した2台目のサーバが導入されたわけですが、気がついてみるとSCSIインターフェースを搭載したサーバよりも、SASインターフェースを搭載したサーバの方が多くなっていました。
我が家に導入されるサーバは「NECのExpress5800シリーズ」や「NECに対してOEM供給されていたモデル」、あるいは「NECがOEM供給していたモデル」を念頭に機種選定を行ってきましたが、ここ数年でNECだけでなくIBM・HP・DELL・東芝と徐々に増えてきて「あとは富士通と日立のエンタープライズ機を導入すれば、だいたいのメーカーは網羅できる・・・」という段階に達しました。
居間に設置されているこれらのサーバ群を眺めると、その瞬間は確かに満足するのですが、人間とはつくづく欲の深い生き物で、「同じ世代の本体ばかり持っていても仕方がないッ! 次こそはQPIアーキテクチャだッ! Nehalem-EXだッ!」と、次なるサーバの導入を虎視眈々と狙っています。