蟷螂









 通路を歩いていたら、目の前に大きな蟷螂が現れました。

 大きいとは言っても蟷螂的に大きいだけで、私から見れば本当は小さいのですけれども

 人間サイズの蟷螂なんてそれはそれで吃驚なんですけれども。



 で、その蟷螂氏ですが、鎌を振り上げながらしきりに何か言っているのですよ。

 多分叫んでいるのだと思うのですが、風が強くて声が流されてしまい、私の耳には聞こえ

 ないのです。

 しかたがないので屈んで耳を近づけてみると、こう言っていました。



 「ここいらは俺様の縄張りだ、お前みてぇなのを通す訳にゃあいかねぇな!

 とっとと立ち去りやがれぃ!」



 困りました。ここを通らないとこの先の倉庫に行けません。そこに用事があるというのに。

 それは困るのです 通して下さい と、懇願したのですが、

 「それはならねぇ、出来ねぇ相談だ おととい来やがれ」の一点張りです。

 どうしようかと暫く考えたのですが、相手は蟷螂。

 跨いでしまえば良いじゃないかと思いつきました。

 右足を持ち上げたところで折りからの強風に煽られてしまい、思わずよろけてしまった私

 だったのですが、地面につけた右足の脇から蟷螂氏の左鎌が覗いておりました。

 





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