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バッファロー'66

ヴィンセント・ギャロ<監督・主演>記者会見
99.04.19



始めての日本来日を果たしたヴィンセント・ギャロ。彼は今回「バッファロー'66」という映画において監督、脚本、主演、音楽という多才な才能を発揮した映画公開の為の来日である。「なかなか喋る機会が無いのでたくさん、喋ってしまいました!」と彼の一生懸命な言葉が綴られた記者会見でした。

まずはヴィンセント・ギャロのご挨拶から・・。

ヴィンセント:どんなところでポピュラーになりたいか?ということを考えた時まだ10代でしたが、最初に思ったのがアメリカで、絶対にビッグになりたいと思いました。そして次ぎに日本,カンヌです。日本でこの映画が公開されるということはとても嬉しく思います。
なぜカンヌに拘ったかと言うと、10代の頃からカンヌという映画祭がとても大きなインパクトがありました。大きなインパクトというのは文化的な部分でもカルチャー的な部分もです。現在のハリウッド映画が主流になってくる以前のカンヌにとても惹かれてました。日本に関してですが――いろいろなものを収集する趣味を持っている私なのですが、日本にいるいろいろなコレクターとの交流があり彼らの音楽や文化にとても興味深いと考えています。
今回、日本で公開することとなって私の美意識などが共鳴してくれればいいなっと思っております。

質問:「バッファロー'66」の映画の結末をどのように考えられていますか?

ヴィンセント:映画というのはエンディングがすべてだと思っています。最後の5分間のためにその前の100分間があると思っています。その中のいろいろなストーリーがありますが主人公ビリー・ブラウンが今までの行動、感情のすべての責任を取れるエンディングを撮りたかったのです。

質問:映画の中でクリスティーナ・リッチがタップダンスを踊るシーンがありますが・・。

ヴィンセント:この映画は自分にとってプラスティックなミュージカル映画だと思っています。この映画に関しては技術的な部分も含めて入念な準備を重ねて準備をしています。このタップダンスを踊るシーンはミュージカルでいうイントロダクションであったと言えます。
ベン・ギャザラのことで話したいのは、最終的に編集をしてた時、彼のあまりにも素晴らしい演技で驚きました。彼はアンジェリカ・ヒューストンとのからみもあったんですが、それよりもベン・ギャザラ中心の編集をしたかったのです。
この映画で、もしかしたら私がジョン・カサベテス監督のファンでベン・ギャザラをキャスティングしたのでは?と思う人もいるかもしれないのですが、実は違います。私はベン・ギャザラの出演しているカサベテス監督の映画は一度も見た事がありません。この映画を撮ったことでベン・ギャザラに強制的にカサベテスの作品を見せられたのが本当です。(笑)

質問:映画の中での音楽の使い方は?

ヴィンセント:音楽は子供時代から大ファンでたくさんの音楽を聴き、その中でサイケ・デリックなのが大好きで映画監督がどういう音楽を使うかというと自分の好きだった時代の音楽を使うというのが主流だと思います。
映画の中でキング・クリムゾン、イエスの音楽を使ったことは彼らのオリジナルを生かしたいと思いました。ナイトクラブのシーンで彼らの音楽を使ったのですが、現場でプレイバックで音楽を流しながら撮影して行きました。撮影中にはまだ彼らの音楽を使うか決まっていませんでした。ですが、バンドのメンバーと友達になれるほどこの作品を気に入ってくれて、大ファンであったベースのクリス・クワイヤーは予告編に音楽が使えるように奔走してくれました。


質問:アメリカインディペンデント映画の状況は?

ヴィンセント:私はインディペンデント映画とか、そういうカテゴリーは自分の中で認めていません。映画には良い、悪いという映画があるだけだと思っています。
ハリウッドで撮っている大きな映画だからといって差が出てくるものではないと思っています。そしてある意味ではいわゆるインディペンデント、映画界に貢献している監督は認めていないと言っていいでしょう。たとえばそういう方々は映画を作ればサンダンス映画祭で賞が取れるとか、社会派映画を撮れば映画祭に出やすくなるのではないか?など映画祭に媚びた映画作りをしている人達も多いわけです。小さな予算で映画作りをするというのはひとつのカタチとしてあるのですが、人々が何を望んでいるか、映画祭が何を望んでいるかということを考えながら映画を作るということは求めていません。昔、バスキアというアーティストとバンドをやっておりましたがその頃の音楽はかなりアバンギャルドでかっこいい音楽を作っているという自信がありました。周りの人が何を求めているかというよりも自分自身が一番、ダイレクトに表現して行くことが一番大事だと思います。
そして自分が興味を持ったことを作っていくということが大事だと思っています。これからの自分はむしろインデペンデント映画のファイナンスをやっている人達、インデペンデント映画云々と言っている人達とは関わりを持ちたくないと思っています。お金があればということではなく、自分が何を撮りたいか?と思うものを素直に撮って行くことを守り通したいのです。
実際にキャスティングというのは資金集めに関しては大変重要なのですが、今回アンジェリカ・ヒューストンを起用するということで高いバジェットを彼女に払いました。そういうキャスティングを経て低予算の中でとても痛い出費だったことにも関わらず、プロデュースなど自分で可能に出来ました。
(佐藤真弓)



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