ADSLサービスの問題点
このADSLによる低額の常時接続サービスに問題点が無いわけではない。すなわち,いくつかの問題点がある。
1.個人の宅内配線からNTT局の主配電盤までが「銅線ケーブル」である必要がある。すなわち,既にその回線(の一部)が「光ファイバー」化されている場合,このADSL技術を使用することが出来ない。
2.より重大な問題点は,NTTがこの「銅線」を全ての利用者に開放するか否か,プロバイダーに要求に対して開放するかどうか。むしろこちらの方が問題であろう。我々は,ISP(プロバイダー)のアクセスポイントが,なかなか家の市内電話地域に引かれないのをいらいらしながら待っていたことを思い出し,またこの時代が再現するのかと心配する。
3.ADSL技術は実験段階である。だから,未だまだ日本においては確立された技術ではない。既に米国では実用段階に入っているらしいし,上記の速度以上の速度を提供している会社もある由。実際NTTは,在来の高速伝送を実現させているISDNと混信することを恐れており,これが解決できなければ,定常的にADSLサービスを提供することが出来なくなるか,別途の回線を準備する必要がある。[このため,NTTは今回提示したADSL利用料金が高額になる可能性があると主張して来た。]
4.他の技術との競合。この,低額の常時接続サービスを提供するためにいくつかの技術が想定されている。すなわち,WLL(無線),CATV,ISDNなどのサービスの提供が検討され始めている。[既に,NTT東西地域会社が,時間限定での割引サービスをISDNユーザに提供する「アイプラン」が開始されている。]
いずれも5000円程度から提供されるのではないかと期待されているが,ISDNを利用した定額の常時接続料金は,試験期間ではあるが8,000円であり,これにはISPの接続料は含まれていないし,さらに,高額なISDN基本料(2,830円)を支払う必要がある。
5.今まで,ISDNサービスを受けていたものにとっては,今までに導入した機器(TA+DSUなど)や屋内配線はどうなるのか。これは,ADSLでは利用できないのではないか。残念ながら,これは捨てなければならない。もちろん,屋内で「家庭内のLAN」を構築している人にとっては,ルータ機能部分が別の機器で構築していた人はこれはそのまま使えるので良いが,筆者のように,「TA+DSU+ルーター」など一体型の機器を高額で導入している人にとっては,この機器は全て捨てる必要がある。<残念でした。チーン。>
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