挿し絵1

『お願い、見晴ちゃん。もう見晴ちゃんしか頼める人はいないの』
「そ、そんな事言われても困るよ」

 …あ、初めまして。私、館林見晴。現在きらめき高校に在学中の高校二年生。 明日から三連休だって喜んでいたその晩に、私と同じ3年J組のクラスメイトである 親友の美樹原愛ちゃんが電話で私に必死で頼み込んでるんだ。 親友としては聞いてあげたいんだけど…。

『見晴ちゃんだったら大丈夫だよ。私が保証する』
「愛ちゃんにそう言ってもらえるのは嬉しいけど、私なんかが本当に出来るかな?」
そう言って私の不安な気持ちを愛ちゃんに伝える。

でも電話の向こう側で愛ちゃんは気楽に返事してくれる。
『大丈夫よ。準備とか要る物は全部揃ってるし、分からない事があれば本もあるし…』
「ううっ、気楽に言ってくれるね」
『見晴ちゃんにとってもいい経験になると思うよ。やってくれないかな?』

「…じゃあ、愛ちゃんがやってよ。私はそれを見て覚えるから」
 私もついちょっと意地悪な言い方になってしまう。だって私一人が頑張らなきゃいけないんだもん。
『…もう、見晴ちゃんの意地悪。私は明日用事があるからダメなの。 明日一日だけでいいから。…それともデートとか何か用事あるの? 見晴ちゃん』
  「…ないよ」
『じゃあ、オッケーだね』
「ううっ、なんだか悲しいなあ、そんなことでオッケーしなきゃならないなんて」
『じゃあ、彼に告白してデートするの、見晴ちゃん?』
「……………………」
 もう、意地悪だなぁ愛ちゃん。私がそんなことできるわけないってわかってるくせに。
『ごめん。でもダメかな?』

 あっ、愛ちゃんが困ってる。仕方ないな。まあ明日は他の友達とも特に約束してないし。

「…わかった。じゃあ明日の朝に愛ちゃんの家に行かせてもらうね」
『ありがとう、見晴ちゃん』
 よかった。私が引き受けて愛ちゃんも喜んでくれたみたい。

「いいよ、ところで愛ちゃん?」
『何?』
「愛ちゃんは明日何の用事なの。もしかしてデートじゃないよね?」
『…………』
 な、何、この沈黙は。も、もしかして愛ちゃん明日デートなの?
「もしもし、愛ちゃん?」
『じ、じゃあ明日お願いね、見晴ちゃん」
 ツーツーツーツー
 あ、切られちゃった。でも気になるなぁ。もしかして本当に愛ちゃん明日デートなのかな? だったらすごくうらやましい…


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