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1000HIT記念SS ベビーシッター 「うわ…、すごいね」 私がリビングを眺めながらそう声をあげると、隣で赤ん坊を抱いている愛ちゃんが少し申し訳なさそうに言う。 「うん。ごめんね。散らかってて」 リビングの中は結構というか、すごく散らかっている。 赤ん坊…美晴ちゃんという名前らしいんだけど、愛ちゃんも美晴ちゃんに構いっぱなしで、 片付けようとして少し目を離すと他の場所を散らかし、片付けてもキリが無いんだって。 愛ちゃんの言葉に私は慌てて首を横に振る。 「う、ううん。気にしなくていいよ。じ、じゃあ私が片付けるね」 そういって私は黄色い春物のブラウスを二の腕あたりまでまくりあげて部屋の片づけを始めようとする。 今の季節は春だから、今日の私の服装は緑と黒のチェックのスカートに 黄緑のシャツの上に黄色い薄手のブラウスを羽織ってるんだ。 「あ、いいよ。見晴ちゃん。見晴ちゃんはこの子の相手をしてくれればそれでいいから。 部屋の片付けとかは私が帰ってから私がするから」 愛ちゃんの言葉に私もうなずく。…そうだね、勝手に片付けたりするとかえって迷惑だね。 「わかった。じゃ、美晴ちゃんは預かるね」 私はそう言って愛から美晴ちゃんを預かる。 |
少々不器用に美晴ちゃんを優しく抱きながら私が美晴ちゃんに笑いかける。 この子はいくつくらいなんだろう?近所の人が結婚一千日目で旅行に行かれたんだから 2歳にはなってないよね。……でも赤ちゃんって結構重い。 赤ちゃんってもっとふわふわーっとしてやわらかいもんだと思ってたんだけど。 「…えっと、じゃあ、後は頼むね。3,4時間ぐらいで帰ってこられると思うから」 愛ちゃんがよそ行きの服に着替え終わって、リビングで美晴ちゃんをあやしている私にそう言ってくれる。 「うん、任しといて」 私は頼もしく請け負った。 「……えっと、哺乳瓶とかオムツとかの場所はわかるよね?」 「うん、何回も愛ちゃんが教えてくれたから」 「何か他にわからないこと無い?」 「ないない。ほら、早く行かないと日が暮れちゃうよ」 私は心配そうな愛ちゃんにそう言って早く出かけるように勧める。 「…ん、わかった。何かあったら私の携帯に電話してね」 愛ちゃんの言葉に私がうなずくと、愛ちゃんも安心してくれたのか足早に出かけてくれた。 …まったく、心配性だね愛ちゃんも。少しくらいなら私でも全然平気なのに。 つい美晴ちゃんとにらめっこをしながら心の中でそんなことを考えてしまった。 |