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私が玄関のドアを開けると、宅配の人がにこやかな笑顔を浮かべて
私に訪問の理由を伝えてくれる。 「あ、○○運送の者です。美樹原さんにお届け物があってきたんですが、ハンコを戴けますか?」 そう宅配の若い男の人が、届け物を差し出しながら私に尋ねる。 あっ、そう言えば私愛ちゃんにハンコの場所なんて聞いてないや。どうしよう? 「あ、あの、拇印でもよろしいですか?」 私が美晴ちゃんを抱きながらそう聞くと宅配の人はうなづいてくれる。 「はい、構いませんよ。じゃあ、ここに人差し指で押してください」 宅配の人に言われて少し重いけれど美晴ちゃんを左手一本で抱きながら 言われた場所に捺印する。 「ありがとうございます、じゃあ、これお届けの品です。重いですから気をつけてください」 |
ズシッ そう言って宅配のお兄さんは私にA5の紙をさらに一回り大きくしたような大きさの やや深さの浅い箱を私の右手に乗せてくれる。 「うっ、お、重い」 私は思わずそう声を上げてしまう。 中身は石鹸か何かなんだろうけどなんだかすごく重い。 配達のお兄さんも私が重そうに箱を持っているのを見て心配そうに声を掛けてくれる。 「あの、大丈夫ですか? お持ちしましょうか」 「そ、それじゃあ、この箱をそこの下駄箱の上に移してくれますか?」 私の言葉に配達のお兄さんは快くうなづいてくれて箱を下駄箱の上に移してくれると、 「じゃあ」 と言って次の配達先に向かわれた。 |