目を閉じた微笑を 今も覚えてる。

永久に。 (1) 
      −Y side−

―――全てが、終わった。
そしてそれは同時に、僕たちを繋いでいたモノが消えたということ。
願えば叶うのに、あの人はそれを望まない。
共にいることを、望んではいない。
だから僕はもう、追わない。追えない。
刃を向けた僕にその資格は―――ない。
いつだってこの手の中から風のように逃げていく貴方を。
捕まえることは出来ないと、痛いほど知っているから。

「師叔・・・。」
あの頃よりも、ずっと近くにある月を見上げた。
地球と、同じように四季の巡るこの星で。
空気も、空も、そして吹く風も。
全て、同じ。
けれど、何もかもが違う。
今は、見上げる空さえあの人とは異なるこの場所で。
「師叔」
呼んだ名さえも悪戯に風にかき消され。

続く平和な日々。
仲間たちの笑い声。
自然と、その中に探してしまう小さな影。そこに無いと知っていた。
そんな自分に、いつも苦笑して。

「ああ、もう・・・。」
胸の中で消える事のないわだかまりを
振り払うように呟く。
ふっと風が吹き抜けた。
以前は。否、今もだろうか・・・。
自分を通り抜けていく風が、あの人の一部の気がしてどこか心地よかった。
今はただ、その風すら掴み所なく。
それでいてどこか優しくて。
呼吸すら出来なくなるのではないかと思う程に、
強く胸を締め付ける。

「ねぇ、師叔・・・・・」

僕は――――どうしたら良い。

自嘲気味に顔を歪める。
守ると誓ったこの手で。この腕で。この――存在全てで。
刃を、向けた。
責め立て、拒絶した。
拒絶―――したんだ。僕は、あの人を。
戦いの中、一瞬だけ見せた泣きそうな表情。
僕が、一番させたくない顔。

それな の に。

「―――――っ。」

拳を、力の限り柱に叩きつける。
痛みなど感じない。そんなモノ、とっくに麻痺していた。
身体の痛みで、心を誤魔化せるのなら。
僕はどんな代償でも受け入れよう。
あの人を抱きしめる資格のない腕に、何の価値がある。

涙を流せば、楽になれるだろうか。
賢い貴方なら、わかるのだろうか。

もう一度だけでいい。
姿を、現して。

「もう、僕 に は」

―――貴方を迎えに行く資格がない。

――― To be continued ―――

久崎 歴さまより頂きましたV

<作者さまのコメント>

まず、二周年おめでとうございます、柚木さん(><)
少しばかり遅れてしまいましたが・・・(汗)
予告どおり、お祝いにまたもやヘタレ駄文を送らせていただきました。(あわあわ)
(良いのか受験生・・・。)
おまけに・・・続いております。(滝汗)
今度こそ、続き物です。前回はウソっぱちでしたが(苦笑)
この小説がやたら短いのもそのせいなのですが・・・。
あああ迷惑な・・・。
既にこの時点で柚木さんに見放されてそうなので
言い訳はいたしません。ごふっ。
返品可です。すみません。
御祝いがこんなんで良いのだろうか・・・・・(動揺)



二周年祝いに歴さんより頂きました。

あわわわ(汗)お忙しい中ありがとうございました(>_<)
アップがかなり遅れてしまって申し訳ありません(汗)
返品なんてとんでもない〜!

今回楊ゼンさん編と言う事で、なんだか切ない始まりです。
続きは既に頂いてるので徐々にアップさせていただきます〜v

歴さん、素敵な小説をありがとうございました!(>_<)

柚木拝 02/08/04