胸に響く声が
     それは永久に 時が止まるまで

永久に。(3)  
   

何故、捜しに行かない、と問われて。
どんなにうまく答えを並べても。
その中に、何一つとして真実などない。

他人は騙せても自分は騙せない。
いつだったか。そう、誰かが言った。

「楊ぜん」
不意に探し求めていた其の声を聞いた気がして。
振り返った。
その先に 影はない。

「師――――――・・・」
心のどこかで期待している自分と。
己が無意識のうちに創り出した幻だと、可能性を否定する自分。

「楊ぜん」
又、声がした。今度ははっきりと。
けれど。違う。彼じゃない。
目に映ったその姿は、
「王・・・天君・・・・・。」
彼の、魂の片割れ。
自分の、大切なモノを奪った存在。

「・・・・・何故・・・・・」

何故――――――・・・ここに いる。

何故その姿で存在する
何故僕の前に現れる
何故。何故、彼は――――ここにいない

嫌な予感が、恐怖が、頭をよぎる。
思考を遮る。

「安心しな、楊ぜん。太公望はまだ消えちゃいねえし、死んだ訳でもねえ。」

返ってきた言葉は、絶望ではなかった。
しかし、けして安著の言葉でもない。
焦りと、戸惑いと、不安。そして怒り。

これが―――――――最後の期だと。悟った。

「楊ぜん・・・一つだけ、聞く。」

「今でも、俺が憎いか」
示したのは肯定。
「・・・なら、王奕も。伏羲も、憎むか?」

憎しみが無いと言えば嘘になる。
王奕の意思は、理解できない程のものではないけれど、
その過程で、父を。師を。多くの命を。
奪ったものとして、許す事は出来ない。
それでも――――――。

「今でも、お前のしたことを許す気は無い。
 ・・・それでも、もう、そんな事だけで。あの人の全てを憎む事はしたくない。」

憎しみ以上の想いがある。
憎しみ以上の自責の念がある。
憎しみ以上の悔いがある。

だから、彼の全てを否定するのではなく。
憎しみも、全て。有りのままに受け入れよう。
妥協ではなく、自らの選択で。
彼という存在を失う以上の苦しみが、この世にあるだろうか。

「・・・・・そうか。」
その嘆きと供に、求めて止まない姿が目の前に現れた。

「――――その言葉だけで、わしはもう十分だよ」

驚きと 喜びと。

「――――・・・さようなら、楊ぜん――――。」

そして―――絶  望。

彼の頬を伝う涙が。
悲しげに微笑む顔が。瞳が。
その、言葉が。

脳裏に、焼きついた。

――― To be continued ―――

久崎 歴さまより頂きましたV

<作者さまのコメント>

・・・えーと・・・(滝汗)
相変わらず短いのは、まあ置いといて・・・げふうっ。
イエ、一見終わりに見えますが実はそうではなくて・・・(日本語変)
何だか、気づいたらいつのまにかエセスペクタクルにしてリリカル少女漫画・・・(痛)

このままだと、バットエンドになりかねないので何とか軌道修正。
柚木様に送りつけるからにはハッピーエンドの原則守らなければっ・・・・・!!
(あわあわ)
と・・とりあえず後2話程で完結・・・のハズです。(汗)

第三段です。

ちょっと待て師叔〜!
はっΣ( ̄□ ̄)失礼しました(汗)思わず取り乱してしまいました……
考えて考えて、そこに落ち着く師叔は、やはりらしい様な気がします。
うちの師叔もそれっぽいです。

でも逃がしゃしねえ(笑)

頑張れ!楊ゼンさん!
あと一歩踏み込む強さを。お互いに。

歴さん、素敵な小説をありがとうございました(>_<)

柚木拝 02/08/23