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第十六話「向かうトコ味方なしっっ。カニカニ団健在」
1999年8月7日07:30 日本 親不知子不知
トンネルフェチの団長の運転に替わって気合いの戻ったゼンソン号は、次々と難関のトンネルをこなして行く
今度は長い鬼トンネルの嵐だった。
ほとんど出ては入りの繰り返しだった。
もうなにかって〜とトンネルだった。
まるで世界中がトンネルになってしまったような、錯覚を覚えた。
糸魚川を過ぎてもまた、トンネル・・・
子不知トンネルを抜けると、目の前の道が海側に大きく迫り出していた。
ゼンソン号ごと海に飛び込む気なのかと思った。(なワキャねぇ〜だろ (^^ゞテヘヘッ )
なにしろ、道路の真下は海なのだった。切り立った崖に張り付くようにして、
波の打ち寄せる音も聞こえるくらいのところを走っていた。
まさに絶景とはこのことだった。
親不知トンネルを抜けると日本海とはお別れして、北陸道はこれから内陸部に進んでいく。
豊かな穀倉地帯をひた走り、一路富山を目指していた。
横風注意の看板がそこかしこに目立つようになってきた。
同時にきみょうなコイノボリのような風力計がはためいていた。
長閑な田園風景が続いた。
黒部川を越えた時には八時を回ろうとしていた。
そこからは、緩やかな直線になり、富山まではそうらからないハズだった。
「調子がイイので、このまま行きましょう!」団長がアクセルを踏み込んだ。
程なくして、団長はある事に気づいた、その顔からは血の気が引いていた。
「ところでミケくん、」
「どしたん?」吸いかけのタバコをもみ消してミケくんが顔を上げた。
「あの・・ドコでしたっけ?降りるのは(^_^;)ゞ」ドンガラガッシャン
ミケくんは、本能的におでに聞くなよ(<●> <●>;)とばかりに目をそらした。
居心地の悪い沈黙が辺りを包み込む
後部座席の運命を委ねざるを得ない罪なき団員たちにも、ただならぬ緊張感が伝わった。
ゼンソン号の中に5人も乗ってるのがウソのように、まるで生き物の気配がなかった。
無言で顔を見合わせるミケくんと団長、西部劇の『おまいが先に抜けっっ!状態』であった。
「ドコだっけか?」後ろを振り返ってMBXに聞くミケくん。
不安そうな顔で首を横に振るMBX。
「行ってない人は知りませんよぉ〜ミケくん、しかし困ったなぁ。Maroさんに電話しますか?」
携帯を取り出した団長の手を止めるミケくん。 「バカヤリ〜、そんなコト聞いたらマジでバカだと思われる。ヤメれ」
「でも、もうそろそろ近いんじゃないかと・・・」団長がツブやく。
「またJAFでも呼ぶか?」のんきにミケくんがいう
「呼んで道聞いたら起こりますよ」マジメに答える団長であった。
ここまで来て地図も記憶も持ってないのであった。
向かうトコ味方なしっっ。
まさにカニカニ団健在であった。
そういってるうちにも目ぼしいランプが通り過ぎてゆく。
「立山じゃないですよね」
「そだなぁ、立山って雰囲気じゃねぇ〜なぁヽ(^。^)ノ」
「雰囲気ですか?(^_^;)ゞ」
「そんな感じだ(^◇^)」
「確かに雰囲気ないっすね(゚〇゚;)」
「ニオイだな、『ココ降りますっっっ』つ〜ニオイだなやはし(^。^)」
「んじゃ、もちょっと先、いってみますか? (^^ゞ」
初参加の団員たちは、このやり取りの中、カニカニが学習しないという噂を図らずも目の当たりにしたのであった。


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