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第十七話「ああ、確か杉って字がついてましたよ、小杉じゃないですか?」
1999年8月7日08:30 日本 新湊
「ココでしたっけ?流杉」道路脇のインフォメ〜ションを見ておもむろに団長が叫ぶ。
ミケくんが、どれどれ?と目をこらして近づきつつある表示板を睨んだ。
「・・・うん、っぽいな」自信なげにミケくんが言う。
「こんな感じのランプですよね?たしか」団長が色めき立つ。
「こんな感じってランプの形がか?マスタ〜」ミケくんが聞いた。
よく見たらランプではなくて、流杉は単なるS.A.だった。
「全然覚えてないんですか?降りるトコ」富山ランプを過ぎたころheadsがたまらなくなって聞いた。
「つ〜か(何が「つ〜か」なのだろう:編集部注)ワカらんのよぉ」ミケくんが振り返る。
「う〜ん、ココらへんなんですケドねぇ」アクセルを踏み込んでる割には呑気に答える団長。
「通り過ぎるよりは、ここら辺で降りて下の道行きましょう、もう近いんでしょ?」MBXが常識的な意見を言う。
「だいたい、地図持たないで旅行なんて無茶だよぉ」あつこが強い口調で言う。
重たい沈黙のベ〜ルが天使とともに降りてきた。
団員たちはあきれてすでに無言になって状況を見守っていた。
その時、静寂を破って団長が叫んだ 「ああ、確か杉って字がついてましたよ、小杉じゃないですか?」
ミケくんがすぐに応じる
「おおお!そんな名前だった〜確かっっっっ」
盛り上がるゼンソン号
小杉あと2Kmの表示が傍らを無邪気に過ぎていく。危ないトコだった(゚o゚;)
団長は降車車線に進路を変えながら言った。
「まったくドコに危険が潜んでるかワカりませんねぇ」
普通のマトモな団体だったら、危険とかそゆ問題ぢゃないんしゃないの?とheadsは思った。
ようやく『降りるべき魔法のランプ』を探し当てたカニカニ団は、安堵のタメ息とともに新港を目指した。
「ああ、ココ知ってる、去年来たトコだおねぇ」役に立たないミクロな記憶が一般道に降りた途端に牙を剥いた。
「なつかしいですねぇ、なんか・・新湊に行くんですよね?」と団長。
二人揃って元気だった。
「コッチでいいんですよね?新湊って」
「たぶん・・・雰囲気がコッチだな」ニオイをクンクン嗅ぐミケくん
また始まったか・・・掲示看板読めよとMBXは思った。
一年ぶりなので、どこかなつかしく、だが昨日の事のように、俄に思い出に色が付いてきた。
道路脇のヒナゲシがピンクにオレンジにと咲き誇っていた。
懐かしいキトキト寿司の看板も見えてきた。
道は単純なハズだった。
確かに迷う余地などないハズだったのだが・・・・
それでも、記憶を頼りにこっちだ、あっちだと走り回り、今いる現在地がドコなのかも失ってしまった。
「あれれ?このまま行くと金沢にいっちゃうぞ」ミケくんがツブやく
「おかしいですねぇ、でも右は小杉に戻っちゃいますよ」団長が困惑していた。
新湊など道路標示から消えていた。
知らない美術館に迷い込んだりして迷走の限りを尽くすカニカニ団
「にゃろ〜去年と道変えやがったなぁ〜石川県」ミケくんが道路標示を見つめて云った。
「まだ富山県ですよココ」ハンドルをにぎってマヌケな表情で諭す団長。
一刻も早く免許を取らねばと堅く心に誓うheadsであった。


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