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第二十六話「Rankerという男」
1999年8月7日12:30 日本 七尾その禄
皆がまどろみの縁に落ちようとしていた頃、その男は突然なんの前触れもなくやってきた。
階下に大排気量のバイクの音が響いたと思うと地震の様な地響きに皆は身構えた。
寝入っていた headsやMBXもやにわに起きだしてあたりを窺っていた。
段々と地響きがこちらに近づいてくる、耳を澄ますまでもなく、否応無しに耳朶を打つ
それは真っ昼間の怪奇現象さながらだった。
ガクンと最新型の前田写真館がひと揺れした。したかと思うと挨拶している声が階下から聞こえてくる。
ズンズンと音はデカくなる一方で、そして我々のいる部屋の前でピタリと止まった。
固唾を飲んだまま皆の視線がドアの方に集中した。
いいようのない緊張感が走り抜けた。
ゆっくりと、Maroの部屋のドアノブが回ると、勢いよくドカンと一気に開いた。
一斉にドアの方に皆がスローモ〜ションで首が回るのが見えた。
そちらの方を見てミケくんはド肝を抜かれた・・・・・(゚o゚;) はぅっっ
なんとドア枠一杯に男が仁王立ちになって必死にそのドアを潜ろうとしてもがいていた。
すこしづつ"白い何か"が部屋の中に叫び声とともに侵入してきた。
まず手から、そしてゆっくりと足が入ってきた。
カニカニ団の面々は、ギシギシと撓むMaroの部屋のドアを黙って見守るしか術がなかった
その顔は鬱血し赤く紅潮しており、髪は逆立ち、今にも襲い掛からんばかりの凄まじい形相であった。
明らかに酸素不足の表情だった。
バコ〜〜ン!!とゆ〜大音響とともにドア枠からハズれて男が飛び込んで来た。
幸いなコトに新築時にドアを補強してたので、全壊は免れたが無傷だった(なんのこっちゃ)
「おまたせえ〜」力なく叫ぶと、ムックと起き上がってヘルメットをベッドに投げ出すとキョロキョロとMaroの姿を探した。
「お初〜〜」広告屋たつゆきが始めにそのナゾの色白な巨漢男に恐る恐る歩み寄った。
あまりの事態に呆気にとられる一同・・・湯気をしゅうしゅう立てながら何事もなかったように部屋内を見回す。
ヤケにカン高い声で
「ああ、よろしくぅ」さりげない返事と軽く手を上げて会釈をするナゾの巨漢男、Rankerであった。
「どよチョ〜シは、Rankerはん」Maroが古くからの友人のように話しかけていた。
じつはRankerの登場は全く予想していなかったので、ノ〜マ〜クであった。
「まぁまぁ〜カナ、」ズシンとベッドに腰かけながらタバコを一本取りだして銜えるとRankerはモゴモゴ口調で言った。
そゆや、金沢からシトリMac Userが参加するってゆってたなぁと皆その時になって思い出した。
それにしても、何とインパクトのある登場の仕方なんだ。
せっかくの新築の家が壊れるかと思った。
カニカニ史上始まって以来の巨漢の登場を待って一向はしばらく休んだ後に、Sakaの待つ珠洲に旅立つことにした。
そろそろと階段をおりて前田写真館の前で皆で記念撮影とシャレこんだ
代わる代わる即席カメラマンになって何枚かをフィルムに収めた。
団長がカメラを手渡されたときにその事件は起こった。
「はいはい、MBXさん、もチョット右に寄ってください。あっちゃん背伸びして。Rankerさんもっと縮んで下さい。ハイハイOKですぅ〜」
などと最初のうちはチョ〜シが良かったが、被写体の数が増えるにしたがって、フレ〜ムに入りきらなくなってきた。
ギリギリまでスシ詰め状態になっても写りきらないとなると、こんどは団長自身が後ろに後退し始めた。
「まだ入らないですねぇ〜」などと独り言のようにツブやきながら笑顔で後退する団長。
団長が道路の中ほどまでさしかかった時に真っ赤な車が目の端にかいま見えた。
その時ひときわ高く急ブレ〜キの音がした。キキキ〜〜〜〜〜〜ッッッッッッ!!
「おわぁ〜〜〜〜団長アビナひ〜っっっ」Maroが叫んだ。
皆が一瞬道路の方に目を向けた。
「おお!当たり屋だあ・・・」あまりにも見当違いなセリフがミケくんの口から漏れた。
「すみませ〜ん(●^_^●)/」
動揺一つせずに笑顔で車に手を振る団長、車の中のシトも爆笑だった。
被写体の変な団体もめいめいお辞儀や手を振って車の人に礼を示した。
当たり屋ショットを無事にカメラに収めると、いそいそとSAKAの待つ珠洲はヘミングウェイ海岸に向かうカニカニ団だった。


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