Title2.PNG


第四十六話「Ψ(`o´)Ψブル〜タスおまえモカ?おではキリマンジャロ (^_^;)ゞ」
1999年8月8日02:00 日本 珠洲 狼煙館其の柔
パアパァ〜プぅ〜  すっとんきょな音色が灯台に響き渡る。
その途端に爆笑の渦であった。拍手が巻き起こる。
やんやのヤジが飛ぶ。
深夜の狼煙岬灯台は大騒ぎであった。
「マジで疲れてんだから、ちょっと休ませてよ」死んだ魚のような目でKMが訴えてしゃがみ込んでいた。
確かにただでさえ身軽で登ってきても、泣きが入ると云うのに、
KMはおよそ30Kgもあろうかという重たいトランペットを延々山道を運んできたのだった。
皆はKMがよほどトランペットをここで吹きたかったのであろうと、その心中を察していた。
気を取り直して、再び立ち上がるとパラパラと無気力な拍手が起こった。
真夜中の奥能登も最果ての街狼煙岬に「正露丸のテ〜マ(仮称)」が勇壮にそして艶やかに鳴り響いた。
夜中にこんなのが鳴り響いたら、まだ戦争は終わっていないと思う爺さんもでてるかも知れないと思うとちと心配だった。
サザエさんやってくれだの、オバQ音頭やってくれだの、その後次々と無理難題のリクエストが飛ぶ。
「なにぃ? AC/DCの地獄の鐘の音ぇそんなのは無理だってば、ヘヴィメタじゃんかよ」後半はほとんどイヂメに近かった。
ミケくんは笑いながらも周囲の状況の観察に余念がなかった。どうしても先程来の人影が気になっていたからだった。
今のところ、特に周辺に不審な変化は見られなかった。
カニカニ団はさんざ大騒ぎをした後に、再び今度は灯台のしたにて集合写真の記念撮影とあいなった。
日本でも数本の指に入るほど古く大きな灯台が間近にせまってきた。
その荘厳な黄金色のビ〜ムはこのあたりの海域を通過する船舶にとっては、まるで女神の様に安心を与えているのだろう。
大きく遠く太陽のように燦々と浅い夜空を映し出していた。
「誰かにシャッタ〜おしてもらおうか、すいませ〜ん」ミンナがポ〜ズを撮り終わるとSakaが冗談でキョロキョロあたりを見回す。
「誰もいねぇ〜っての」後列に立っていたMaroがすかさず突っ込む。
団員が代わる代わるカメラマンになって数枚をフィルムに残した。
・・・・しかし、この時に撮影した写真が、後に物議を醸し霊体験の証拠となろうとは、このとき誰も予想だにしていなかった。
それはRankerからの妙な影発見の知らせをうけるまで、だれ一人として気づかずにいた曰くつきの画像となって後日語られる事になった。
さすがに灯台のサ〜チライトは強力で遥か彼方の海上をひと舐めすると、見えなかった船が浮かび上がってくる。
その強力なライトが空気中や付近の柵やポ〜ルに乱反射する光の量もハンパではない。なんか知らないケド辺りが眩しいのだ。
暗い日本海の彼方にチカチカと漁船の点滅する灯が見えた。
「あれは、日本の漁船かなぁ外国のも来てるからなぁ、あれなんかは不審船っぽいな」と一艘だけ船団から離れた船を指さして笑った。
「がんばってカニとってくりよぉおお〜!」いきなり沖の船団に向かってミケくんが叫ぶ。
「今はカニ、季節じゃないってば」Maroにマッハでマジなツッコミを入れられてしまった。
なんでも天気のいい日には遠く大陸まで見渡せるのだそうだ。
思ったより身近に外国の存在があるのは意外に思えた。
30分ほど騒いでいただろうか、眠くなってきたので、さっそと下山することにした。
先程の林に差しかかる時に、いやな予感とともに振り返ったミケくんの見たものは、逆光眩しい中、横の薮に身を隠す謎の人影だった。


back.pngmokuji.pngnext.png