第四十七話「カニカニ団Core結成秘話」 1999年8月8日02:15 日本 珠洲 狼煙館其の柔壱 |
丘の頂上にはもう誰もいないハズだった。 人影なんぞ本来はある分けもなかった。 今一度振り返ってみたが。無人の灯台が煌々と丘の上に聳えたっているだけだった。 しかし、確かに黄色い影が、さっきまで彼らがいた場所からそう遠くない、ちょうど灯台の陰になる辺りだった。 石段を登ってくるときも、KMのトランペットを聞いている時も、付けられているという気配はなかった。 ミケくんは困惑していた。目の錯覚だろうか・・・だが確かにこの目で見たのだ。 ミケくんは一行の最後尾に付き林を抜けながら必死で事の次第を整理しようとしていた。 もし、何者かが宿から我々の後をつけ、丘の上に紛れ込んでいたなら、どこかで我々とすれ違っていたはずだ。 それはいったいいつなんだろう。 灯台のある丘に続く林の出口にはずっと神経を張り巡らせて見ていたはずだった。 それに何事も起きてはいないのだし、いったいなんの為に我々の後をつけるのだろう。 考えれば考えるほど、謎の男の存在と行動はどうにも説明がつかなかった。 帰りは暗さに目もなれてきていたのだろうか下りだからであろうか、さほど下山は思ったより困難ではなかった。 KM は演奏会がよほど堪えたのであろう、前を行くその姿は腰が笑い足元がフラついていた。 10分ほどで麓の街まで辿り着いた。来たときより特に変わった様子は見受けられなかった。 平地に下り立って文明の明かりに晒されたとたん真水フェチの団長が叫んだ 「のどが渇いたぁっっっぁああ」 でた・・・皆そう思ったに違いない。 団長は目ざとく最寄りの自販機を嗅ぎつけると、ポケットを弄った。 小銭を速効で投げ込むや、その微妙な品揃えにしばし迷って動きが止まっていた。 団長に釣られて次々と団員達が自販機の列に並んだ。それはあっという間の出来事だった。 ひっそりとした深夜の狼煙町にジュ〜スの缶がガッチャンコガチャンコと落ちる音が矢継ぎ早に響いた。 ほとんど住民に対しての地上げ屋のイヤガラセに近かった。 まさにカニカニ団お剃るべしっっっであった。 計13本のジュ〜スが数分で弾き出された計算になる。 これは日本全国の深夜時間帯のジュ〜ス出荷数の約2.4%を占めていた。 行きとは違う道に出てしまい、しばし迷うが、方向があってれば大丈夫とのことで、カニカニ団はさまよい歩いた。 その間にもミケくんは、神経質なほど後ろを気にしていたのだが、ついぞ怪しい者の手がかりは見つけられなかった。 それやこれやで狼煙館に到着ころには、真夜中の二時になろうとしていた。 すでに暗くなった旅館のフロントを駆け抜け、深紅の絨毯を敷き詰めた階段を音もなく駆け上がるカニカニ団。 皆は泥のようにクタクタに疲れ切っていた(特にKM )部屋に戻るなり寝入ったと思ったミナサン(^。^)ノ ちっちっち 確かに二時も過ぎていることだし、それぞれの部屋に戻って風呂に入るもの、PBを出して遊んでる者、それぞれの自由時間となった。 まるで旅館内はまるで修学旅行のような様相を呈していた。 SakaとMaro, Yayoi, Rankerは今夜は泊まらずに帰るという話だった。 竹の間に集まり今日の話題で盛り上がったあと、二時半にはお開きになった。 一旦帰るSakaたちを階段の所まで見送りにいった。 YayoiとRankerは仕事の都合で今日までしかいられないのだった。 「楽しかったで。ほな、また近いうちにな」陽気に手を上げてYayoiが階段を降りていった。 Rankerもすぐに東京に遊びにいくからと笑って巨体を揺すりながら靴を履いていた。というか乗っかっていた。 「じゃ〜。また明日ねぇ、早く寝ろよ〜」SakaとMaroは明日またカニカニ団と合流して遊ぶのだった。 4人が去って静かになったと思いきや、カニカニ団の面々がそのまま大人しく寝るワケがなかった。 竹の間にはクロネコ、たつゆき、KM , MBXの4人が寝床を作っていた。早くも浴衣に着替えた彼らは、割と早く寝た。 しかし、一方松の間の4人、団長、heads, あつこ、そしてミケくんの陣容はどう考えてもそう易々と寝るようなメンツではなかった。 まず部屋の電気が消えるまでに一時間、そしてとてもココには記せないCoreな話に相次ぎ、 これは新しい団体をカニカニ団の中に新設せねば収まりがつかんだろうということになって、 やむなく『(起きている仲間も売る)カニカニ団Core』誕生に至ったのであった。 延々と震撼すべき身内ネタが飛び出し、もとより『味方を欺くには、まず敵から』『最初に寝たものが負け』の格言どおり、 ミケくんがカニカニ団Coreの壮絶な戦いに破れ、自らが悪口雑言の嵐に見舞われていた頃が、朝方の4時を回っていたと云う。 |