あさばあのインドア最速理論

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ここでは、インドアレーサーヨンサンの室内での実走データをもとに、セッティングの研究をしていきます。
このコラムを読む前にヨンサン入門編を読むことをお勧めします。


最速理論その1 フローリング編

あさばあです。
いままで、ヨンサン専用コースでのデータ収集しかしておらず、インドアレーサーのサイトとしては今ひとつものたりなさを感じていたことだと思います。
今回からセッティングが難しいといわれているヨンサンを室内でより楽しく走行させるために、あさばあが実際の走行で得たデータを検証していきたいと思います。

今回用意したマシンは2台のスペック2。
ハードボディのインプレッサ(ホイルベース 0)
クリアボディのRX−7 (ホイルベース 2)
いづれもシャシーはどノーマルです。


今回走行させた場所は、あさばあの自宅サーキット。
路面 フローリング:室温 部屋にいて快適な温度。
トミービットチャージー用のコーナーマーカーを使用し簡単なコースをつくりました。
走行前にフローリングは掃除してあります。


まず、ノーマルでの走行データがほしいのでインプレッサから走行させます。
前後ノーマルのタイヤだったので巻き巻きになるかと思いましたが、意外にもまずまずの走りを見せます。
さすがにアクセルをラフに扱うと巻いてしまいますが、走行できる程度におさまっています。

ノーマルの意外なフィーリングに気を良くした僕はヨンサン選手権でもっともアンダーと言われるタイヤセットのRX−7で走行してみることにします。
フロントタイヤ スペック2用タイヤ削りだしスリック(以下SP2スリック)
リアタイヤ   スペック1用ハイグリップタイヤR用(以下HG−R)

走らせる前はドアンダーの期待さえあったのですが結果的には巻き巻きでとても走行どころではありませんでした。
慎重に慎重に走行をさせれば走れないこともないのですが、ちっとも楽しくありません。

考えられる一番アンダーなセットでこの結果・・・
いきなり壁にぶち当たってしまいました。

このとき僕の頭の中に
(デフにアンチウエアグリスを塗ってアンダーにするか・・・それとも・・・)
と、シャシー側でセットを出そうという考えがよぎりました。
しかし、僕は常に
「セッティングの基本はタイヤです。タイヤが決まらないと何をやってもだめ!」
そう言っています。
ですから、あくまでもタイヤのセットにこだわりたいと思います。

ここでもう1度インプレッサにマシンを変えます。
前後スペック2のタイヤではまだフロントのグリップが勝っているようなので、アンダーステアになるようにセットしていきます。
とりあえずリアタイヤはそのままにして、フロントタイヤを変えて見ます。
最初は、スペック1のノーマルタイヤ(細)です。

しかし、このタイヤは合わないようです。
巻き巻きになってしまいました。
ひょっとしたら細いからだめだと思いリア用のタイヤに変えます。
10分の1ではタイヤは細い方がグリップするのはあまりにも有名な話です。
スーパーナロータイヤとして一世を風靡しました。
接地圧の関係でグリップが良くなるということだったと思います。

フロントタイヤを太くして再チャレンジ!
しかし、僕の期待はあっさり裏切られました・・・
やはりスペック2のノーマルタイヤ前後のセット以上の好結果は得られません。

それならばと、フロントにスペック2のタイヤを削ったスリックを使用することにします。
「今度こそ!」
という僕の思いも通じずさらに状況は悪化します・・・

しかし、ここで1つの仮説が思い浮かびました。
「前後同じタイヤのときに普通に走れるのに、タイヤを変えたとたん巻き巻きになるということはフロントのグリップがあがったって事?だったら・・・」
そうです、つまり今までフロントタイヤとしてしか使用していなかったSP2スリックをリアタイヤとして使用して見るのです。
エポックの公式HPでも、グリップが不足してると感じたときはサンドペーパーでタイヤの表面を荒らすと書いてありました。

タイヤを前後入れ替え再チャレンジ!
すると・・・
このセットはばっちり決まりました!
気持ち良いくらいに良く走ります。
パンチカーペットではフロントに最適だったタイヤがフローリングではリアタイヤに最適になるのです。
これは盲点でした。
カーペットではラジアル、フローリングではスリックがよいということなのでしょうか?
それとも、タイヤを削ったことによりタイヤのゴムの目が開いてグリップが増したのか?
とにかくスリックタイヤはフローリングに合うことがわかりました。
この後、スペック1のノーマルリアタイヤのスリックも試しましたがこちらも好結果を得ることが出来ました。

これでやっと楽しく走行できる程度までセットが出せたので、タイムを測ってみることにします。
タイムはデジタルラップカウンターで計ります。
そのため、10周のタイム&ベストラップが計測できます。

まず最初は、
インプレッサWRC(スペック2)
タイヤ F:スペック1ノーマル(細)
     R:SP2スリック
シャシー:どノーマル

結果
ベストラップ: 4秒72
10周タイム:53秒21

この後、数回タイムアタックをした結果、
ベストラップ: 4秒67
10周タイム:50秒18
ここまで縮めることが出来ました。

本来ならばここでクリアボディを試すところなのですが、クリアボディのマシンの調子が今ひとつだったのでスペック1を試すことにします。
このスペック1は新品状態、リアタイヤのみ<SP2スリック>を使用します。
ボディはカストロール トムス スープラです。

スペック2での走行によりコースに慣れていたせいもありますが、いきなり好タイムが出ます。
ベストラップ: 4秒73
10周タイム:51秒46

この後数回のタイムアタックをした結果、最終的にはなんと、スペック2を上回るタイムが出ました。
ベストラップ: 4秒41
10周タイム:46秒58

走行した感想ですが、スペック1の方がラインのトレースが楽だったように思いました。
しかし、まだまだコースになれておらず走るたびにタイムが縮んでいたので、マシンが良いのかどうかはまだわかりません。
今回のテストでタイヤセットはある程度決まったので、次回からはスペック2のシャシーセッティング&タイヤの更なる研究を進めていきます。

更にタイヤですが、今回リアに使用したタイヤはいずれも角を落としたそろばんの玉のような形のタイヤでした。
ヨンサンのタイヤはホイルにはめ込むタイプのタイヤのためタイヤ中央の部分はゴムが薄くなっています。
ですから、今回使用したタイヤのように角を落としたタイヤの場合、ゴムの薄い部分が接地しやすくなりグリップが上がったのかもしれません。
次回は角を落とさないスリックタイヤのテストも行いたいと思います。

補足しますが、今回のコースではストレースが短いせいかアクセルを全開に開けるとマシンが安定せず結果としてタイムは伸びませんでした。
オーバースピードでコーナーに飛び込むとさすがにテールスライドを起こすようです。
そのため、ハーフスロットル程度のスロットルワークでライン重視の走行を心がけました。
その結果はタイムに反映されていると思います。


今回の結論

タイヤセットは路面により変わる。
フローリングで走行するときはリアにラジアルパターンを削りスリック状態にしたタイヤを使用する。
シャシーはタイヤセットが決まってから調整する。
このようにタイヤをちょっと加工するだけでヨンサンの走行性能を引き出すことが出来ます。
スペック2のタイヤはオプションパーツとして販売されていますし、スペック1のタイヤもアフターで入手可能ですのでぜひ試してみてください!


俺の最速理論に揺るぎはない!

フローリング編 第1章完

第2章へ続く


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