中古spec2再生計画

作:10バンドおやじ


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第一章  好きにして

「これ、好きにして良いっすよ。」と、あさばあが言った。彼の掌にはかなり色褪せたspec2のシャシーがあった。
今日、日本橋模型で練習をした後、カメラカーをもう1台作りたいと私が言ったのがきっかけだった。

見ると、いかにもレースで使用されたと思われるモディファイがなされていた。
「これ、全然走らないんで、今は使ってないんです。」
なんだ、不良品か?
いぶかる私の心を見透かすかのようにあさばあは加えた。
「このシャシーを実験台にして、いろいろ皆でいじくったら面白いかも知れませんね。」
とあさばあ。

「そうか、spec2か.....。」私は内心これでカメラカーはちょっと辛いかな、と思っていた。
なぜ?spec2シャシーは大変トリッキーなので、重心が高くなるカメラカーには向かないのである。
一度spec2シャシーにカメラを搭載して撮影した時、こけまくった事が私の脳裏をよぎった。
これは、フルチューンするしか無い。それも、あさばあHPの注意事項に書いてある、あのやってはいけない改造を全て満たしたフルスペックを。
私の短絡的思考は、この時すでに完成時のスペックを思い描いていたのである。
「ターボ、4セル、FRP TバーRサス、進角、そうベアリングも.....。」

もう止まらない。雨あがりの墨提通りをうっかり逆走しているのにも気付かず遠回りをして家路に着いたのだった。
次章に続く



第二章 これは.....

家に着いた私は、早速あさばあspec2の診断を始めた。
ポテンショのコードが断線している事は彼から聞いているので、特に慌てるまでもない。
フルスペックに耐える事ができるのか?ここが一番大事なところ。
とりあえず、シャシーに改造の跡は無い よう だが...
ありゃ、シャシーの後ろが外側に膨らんでる!
よくよく見ると、ネジ全てがかなりのトルクでねじ込んだ痕跡ありあり。
あっちこっち割れてる。 
先程までの意欲が急速に萎えてくるのが自分自身情け無い。

さて、どうしたものか。
このマシンを改造して良いものか?
とりあえず全バラして、全てのパーツをチェックしてから決めようと気持ちを取り直し、先ずはモーターチェックから始めた。
LM350Tを使用した自作定電圧電源にモーターを繋ぎ、3.6Vにてスタート。
14700rpm。悪くない。ノーマルだな。
しかし、食い過ぎだ。
190mAも食ってる。ノーマルは140〜150mA程度の筈。
ツメを起こしてエンドベルを外す。エンドベルからローターを抜いてみる。
カーボンブラシが綺麗にコミュに当たっている。
と言うかべったり付いている状態。
結構走ってるじゃないか。

この時点で、今後の方針が決まった。
「一度走れる状態にして日本橋に行こう。」
後は、結果次第だ、と。


第三章 回想

想えば去る2001年7月22日、大王に誘われて第1回の選抜戦に出場した時は未だspec2は存在していない。
確か、第4戦あたりからだったか?

整備性はspec1との比較に於いて格段の進歩を遂げ、言い換えるなら改造し易くなった訳だが、どうした事かノーマル状態でのspec2は、カーペットコースに対応しているとは言い難い操縦性を示し、オープンクラスでありながら暫くノーマルspec1の後塵を浴びる事となったのは、エポックHPでのリザルトによって周知の事実である。

spec2が本領を発揮し始めるのは、某RCメーカー勤務のS氏、I氏の参加によって、遂にモーターチューンが始まった頃からである。
私はシャシー開発に思いの他手間取ってしまい、モーターまではなかなか手が回らない状態が続いていた。
FRP Tバーサスによって好みの操縦性を得るまでの1ケ月の間、モーターチューンとは別の流れがサーキットを支配しようとしていた。
そう、掟破りの4セルである。
基板トラブル続出の中、私とF氏はバッテリーから基板へのラインにショットキーダイオードを挿入した。
電圧を抑える為である。

4.8Vとなり、モンスターと化したspec2はドライバーに極度のドライビングセンスを要求し、実際かろうじて操れる参加者はほんの一握り。(そこに私はいなかった)
ストレートを通過するマシンのモーター音はもはや悲鳴にも聞こえた。
「これはモーターをチューンすると基板が危ない。」
そう感じた私はGC戦に2台用意した。
一台は4セル&ノーマルモーター、もう1台は3セル&チューンドモーターである。
予選前の練習走行でタイムの良かった4セルを使用する事にしたが、これは単純に直線スピードが速いだけで何も面白い事は無かった。
結果的には4セル&ノーマルモーターで決勝に挑んだ大王が淡々と走って勝利を得たのである。

3セル限定となった第2回大会では、総合的なバランスが問われる内容となり、白熱バトルが期待されたが、今度はモーターチューンが主流となった。
回転を上げ、タイヤ径を落として加速を上げるといった手段が上位陣の主流となった。
コースが一部変更となり、周回方向も今までとは逆になったので同一条件では無いものの、上位グループはあっさり9秒台に突入してしまった。

モーターチューンの方法論をあれこれF氏と話し合っているうちに、今度はF氏がとんでもない事を思いついた。
モータードライバの変更である。
なる程、理に叶った改造である。

早速試してやっと分かった。
今までチューンドモーターにばかり気を取られていたが、チューンすればするほど電気食いになってしまい、ノーマルのモータードライバでは電気を流し切れなかったのだ。
今は3セルなので、あの時のような暴力的と言えるスピードではないが、かえってそれが幸となって何とか乗りこなせるメドはたった。

と思ったのも束の間、レギュレーションを読み返すとGC決勝は20周レースではないか!
第1回大会より5周多い。もたない。
急遽モーターをデチューンする事にした。
私は1.5チャージでいつもレースに臨んでいるのだが、遂にダブルチャージを敢行した。

10周のプレクオリファイと決勝20周2ヒート全てダブルチャージだ。
初めて経験するフルバンドでの決勝に気負いすぎてヒート1ではクラッシュしてしまったが、かえって気持ちが落ち着き、その後はスムーズな走りとなった。
ヒート2でも気負う事なくトップを追走する形で走れ、表彰台の一角に上がる事ができたのは望外であった。

私が常に目指しているマシン性能はアベレージを高く保てるマシン。
私は操縦が下手である。
私のマシンをあさばあが走らせると、必ず私よりコンマ3秒速い。
だから、私は彼のマシンよりコンマ4秒速いマシンを開発しなくてはならないのである。

さて、大会も終了した現在、新たな活動に向けてスクエア卒業生?達は策をめぐらせている。
そんな中にあって、私はスクエアで得た皆のアイデアを1台のマシンに凝縮してはどうか?と思っているのである。

撮影会の模様はあさばあの日記、第三章12月22日に掲載しています。
第四章 嗚呼、ポテンショが...

撮影会がある。
ちょうど良い機会なので、ばらしたマシンを一度組み立ててカメラを搭載してみよう。
多少の不具合は重量が幸いする筈である。なぜなら
「うーん、やっぱカメラ重いねー。」
などと適当な言い訳で済む。
それ!とばかり一晩ででっち上げた。
ついでに試作チューンドモーターも載せた。
このモーターは、秋葉原で100円で売っていた型番違いのジャンク品である。
配線も全て0.12sqのコードに交換した。
よーし、準備完了。

当日、何食わぬ顔でスクエアに集合し、いざ撮影会の始まり始まり。
いよいよ出番である。
トリムを調整し、後ろ向きにカメラを搭載したカメラカーは、他のマシンを引っ張って走って行く。
うん?何だかチョロチョロする。
しまった!ポテンショだ!昨日はカメラを載せてテストしてない。
重量増加が災いしてしまった。

撮影は、名手あさばあがカメラカーを走らせたおかげで何とか無事終了したが、こいつは失敗。
唯一の救いは、試作モーターの元気が良かった事位か?
カメラの重量とカーペットコースによる多少のパワーロスにも負けず、車速の伸びはまずまず。

これでマシンの動態チェックも済ませた。
ポテンショを交換し、ヨレているリアサスアームをFRPに変更すれば、ちゃんと走れるようになると確信した。
一応ダイジョーブみたい。

とりあえず、再生スケジュールを頭の中で組み立てた。
最初はシャシーだな。
次にライトチューンのモーターで慣熟して足回りをセットしよう。
最後はターボとタイヤテスト。

よーし、これで行こう。さて、今日はもう寝るとしよう。また3時だー!


第五章 「もしもし」

さて、ポテンショを手配しなければいけない。
そうだ、エポック社のアフターサービスを利用してみよう。
早速、3時休みの間にお客様相談センターに電話を入れた。

「はい、エポック社お客様相談センターです。」
先ずは元気の良さそうな女性の声から。
「もしもし、私、御社のインドアレーサーのユーザーなんですが、ちょっとマシンの調子がおかしいので、ご相談をと思いましてお電話差し上げた者ですが。」
「はい、それでどちらのタイプでしょうか?」
「スペック2です。」
「はい、少々お待ちください。」
暫し待たされる。

「お待たせしました。どのような具合ですか?」
と、今度は少し年配風の男性の声。
「ええと、ですね、直進付近で車が振られてしまうんです。いままでの経験からすると、ポテンショではないかと思うんですが。 それで、部品だけを送っていただく事は可能なんでしょうか?」
「いいえ、部品の供給は今のところ予定がありません。一応こちらで車をお預かりして調子を見た上で部品を交換します。」
いかん!ポテンショだけが欲しいのに.....。

「では、有償で構いませんので、ポテンショを交換していただくとして、工賃のほうはどのようにすれば宜しいのでしょうか?」
と、あくまでポテンショにこだわる。
「部品の具合が悪くて交換の場合は無償です。もし有償修理であれば、こちらから車をお返しする時に一緒に請求書をお入れします。改造はされていますか?」
そらきた。
「い、いいえ....。」
「改造された場合は、修理をお断りしていますので。それから、年末年始はこちらも忙しいので、できたら1月に入ってから、そうですね、11日以降でしたら有難いのですが。」
「はい、解りました。ではその頃に車をお送りするようにします。どうもお世話様でした。」

と、まあこんな会話が交わされたのだが、コードを取り替えたら改造になるのかしらん。
この前の撮影会の前日、切れかけた箇所があちこちにあったので、思い切って全部新しくしてしまったのだ!ま、いいや。とりあえず来年になったら送ってみよう。

え?ちょっと待てよ。改造ダメって事はFRPのTバー出来ないじゃないか。
今はモーターも違うのが載ってるし。面倒だな。
 ま、仕方がない。正月はゆっくりするとしよう。


第六章 待ってられない......

なんだか気持ちがむずむずしてくる。
会社から帰って来ると、撮影会が終了したあとばらしたままの「あさばあspec2」が嫌でも眼に止まる。

第2回選抜戦の準備がしたい。
抜群な出来栄えのインプレッサにカッコ良く電飾付けたい。
アイソメ制作もいよいよ佳境に入ってきた。
年が明けると仕事もぼちぼち忙しくなる。
エポックさんの「お客様相談センター」には、修理は1月11日以降にしてくれと言われてはいるが。
しかし.....。

第2回ヨンサンGPの時は、毎週仕様を変えてレースに投入してきた実績がある。
ポテンショは、手持ちのマシンから抜いてしまえば事が足りる。
エポックさんに出す修理品は手持ちのノーマルにダメポテンショを付け替えて送れば良いじゃないか?(エポックさん、見逃して!)

我慢ならん。やってしまおう。
さて、Tバーだ。私の勤務する会社にはローランドのMDX500(試作用のNCです)がある。
使い慣れたCADでデータを作るのは造作もない事である。
家で作ったデータを会社に持って行き、アフターファイブに私が使っているCPにデータを入れて、切削データに作り換える。
MDX500に繋がったCPを起こしてデータを引っ張ってくる。
t0.8FRP板を機械に固定して原点セットをし、CPからデータを送る。
次はTバーを取り付けるアームの切削。t1.5のA2017を使う。いわゆるジュラルミンである。
ものが小さいので、切り出しは各々30分もあれば完了する。

次はアームにM2タップを切る。Tバーとアームの取り付けネジ穴である。
最後はシャシーにアームを取り付けるため、アームの形状なりにバッテリーマウントを削り、シャシーに穴開けをし、開けた穴をサラ加工すればTバー仕様のシャシーが完成する。
Tバーとギアボックスの間にも本来ならスペーサーを製作する必要があるが、予備があるのでそれを使う。実はこのスペーサー、NCが無いと作れない。ギアボックス底面にある凸モールドを逃げるためのスペーサーなのである。カラー(ワッシャ)でも代役は勤まるだろうが、Tバーとギアボックスの組み付け強度に疑問が残る。
まあ、折角機械があるのだから手抜きはするまい。

今回のTバー形状は前作(/3)より若干ロール、ピッチング剛性を下げてある。
町田ミントのコースがフラットでは無い、との報告があったからなのだが、果たして前作のようにFサスのバネレート調整だけで済むかどうか?

話は変わるが、先だって第1回大会spec1クラスのチャンプからメールをいただいた。
そう、「鉄人」三井氏からである。彼からのメッセージは.....
「いっそF1でも作っちゃえば?」
最近の彼は、改造に凝りまくっているらしく、12月16日のレースでもオープンクラスはターボ、チューンドモーター仕様だったらしい。
ペーパークラフトでF1を作り、話題をさらったのも記憶に新しい。
うーん、
悩みが一つ増えた。
ま、とりあえず走るようにする事が先決か。
次はモーターだ!


第七章 どうする?

年が替わった。
初走りに用意したものはレース仕様のspec2、いわゆるフルチューン。
そしてニュータイヤ。
HPI製カーペットコース用と銘打ったスポンジタイヤ(ハードなのだそうだ)。
場所はスポンジタイヤに有利な日本橋模型サーキットである。
今日は大王も来ているので、いろいろと比較ができる。
あさばあspec2の為の予備テストみたいなもんだ。

さて走らせてみると.....。
遂にオーバーステアが出た。Fスプリングはセミハードにも拘わらず、である。
ノーマルでは標準のスプリングで対応できたのに、と思いノーマルマシンにタイヤチェンジしてみたが結果は変わらない。
明らかにグリップ増加である。それもバランスを崩す程の。
HPIのゴム質はネオプレーンと思われるが、どうもタミヤのブチルより粘っこい感じ。

タイヤをフルチューンに戻してスプリングをハードに換えてみる。
高速コーナー途中にある壁紙の継ぎ目で一瞬巻き込むが、そこさえ何とか通過できれば他はかろうじて対処可能な範囲。
ただ、このセットでは神経が切れる。
スプリングはハードのまま、1mmスペーサーをスプリングの上に入れてバネレートを上げてみる。
少しばかりアンダー傾向になった。
このタイヤはかなりピンポイントなセットを要求してくる。

とりあえずは一応走れるセットになったので、大王のフルチューンを追いかける事にした。
大王のマシンは私が今までに見た中で一番過激なチューンを実施している。
タイヤチューニングやターボは言うに及ばず、モーターに至ってはベアリング、進角、線径変更、ターン数変更、その他いろいろと、まず考えられる事は概ね採り入れてある。
見ていてとにかく速い。日本橋のストレートでは長さが足りない。

ところが、追いかけてみるとタイムが私と変わらないのである。
私のマシンのほうが加速、スピード共に劣っているのにである。
さらに悪い事にノーマルで出した自己ベストに遠く及ばない。
マシンのスピードに人間がついて行けないところまで「やって」しまったのか?

今回のテストはタイヤ単体だけではなく、動力性能も加味した上でモーターをどこまでチューンするか?もメニューに入っている。
初代スクエアでならストレートの伸びも必要だし、加速性能についても重点項目だった訳だが、コンパクトになった新コースではコントローラブルでないとタイムが伸びないのである。
コースによってモーターを変えないといけない。
少なくとも高速コースとテクニカルコースの2本立てを用意しなくては。
さあ、どちらに焦点を合わせようか?そうだ、町田ミント用にTバー作っちゃったんだっけ。

第八章 進角は...?

第1回ヨンサンGPの頃、参加者の殆どが10秒を切れずにいた。
その中にあってやたら速いマシンが出現した。そう、例の二人である。
彼等はさりげなく「進角付けたんですよ。」で、余裕の10秒台突入。
え?進角?おもちゃのモーターでしょ?どうやって?

帰りに大王の仕事場に立ち寄り、技術会議(ヨタ話とも言う)が始まった。
「進角ったって、どこでやるのよ?」
「とりあえずばらしてみようか。」
エンドベルを固定しているケースのツメを精密ドライバーを差し込んでハンマーで叩き入れ、ツメを起こしてエンドベルを抜いてみた。
ローターも外してみるが、巻線はコアにきっちり巻いてあるのでコミュをひねって進角を付けるのは不可能な雰囲気。
(その後無謀にも大王はコミュをひねって断線の憂き目に遭った)

「じゃ、ブラシでやったら?」
「ブラシスプリングをひねってみよう。」
小さいラジオペンチをエンドベルに突っ込み、ぐりぐり板バネをねじって短くし、進角らしきものを付けた。
「こんなもんかなあ?」
「なんだかコミュに真っ直ぐ当たってないみたいね。」
難しい。

家に帰ってから今度は自分のマシンからモーターを外し、やってみた。
うまくいかない。
そもそも何度付いたか分からない。
ただ、分からないなりに速くなったのでそれで良しとしていた。
こんなモーターが長持ちする筈もなく、いつか4セルに頼っていた.....。
閑話休題。

現在、私は進角13°がお気に入りである。ターボとの併用が前提。
このモーターで第2回ヨンサンGP決定戦の時、ヒート1でファステストラップを記録した。
しかし、今度はストレートの短い町田ミントサーキットである。
大王のように、
「ストレートが終わってもまだ伸びるもんで諦めつかないのよ。」
ではもったいない。
ストレート2/3でトップスピードにならないとスロットルワークも乱れる。
「とりあえず進角は控えめだな。」
が、結論。

じゃあ何度が適当か?は分からない。気持ち的には8〜10°位。
今では、進角はコミュをひねって付けている。
そう、コイルをほどくのである。
言ってみれば、モーターの全バラシ。

それで、これから何をするのか?と言いますと.....
コイルをほどく
軸受けをボールベアリングに交換
シャフトがボールベアリングを通過できないので、シャフト削り
ブラシスプリングを焼止メ部から外してポイ!
新品ブラシのセンター部に溝彫り
コミュ プラ部分の位置決めピンを削って回るようにするのと、ベアリング変更によって位置ズレが生じるので、コア部に当たる側のプラ部分を0.4mm短くなるように削る
コミュを任意の角度に決めて、瞬着で固定する(今回は10°かな?)
コイルを巻く(安全策を取って107ターン)
会社のミーリング(XY送り機構が付いたボール盤です)に完成ローターを取り付けてコミュ磨き組み立てる
当たりを出す
とまあこんなものかな?

「あさばあ号」のブラシは前にも言ったが、かなり使い込まれているため、交換する。
幸い秋葉原で買ったジャンク品とブラシは同じなので、ジャンクモーターからブラシを外した。
さて、測定は次回。


第九章 予定変更

ばらばらになった「あさばあ号」をぼんやり眺めている。
「町田ミントサーキットに的を絞って、果たしてフルスペックになるのか?」
先ほどから、ずっとその事ばかり考えている。
本当にそれで良いのか?それでフルスペックと呼べるのか?
否!走れる場所があるかどうかは別として、未だ誰もやった事が無いマシンを作るべきだ!

そこまで頭を整理したところで、急に手が動き出した。
・「4セルを載せる」
・「ターボを載せる」
・「進角を付ける」
・「線径を太くする」
・「スポンジを履かせる」

今までのヨンサンでのターニングポイントとなった改造全てを1台のマシンに集結させる。
自分でもこのほうがワクワクする。無理して枠にはめる事は、無い。

さて、モーターを直す。
ボールベアリング、進角まではそのままに線径をΦ0.14/87ターンに変更。
大王のモーターと同一スペック、と言えば解り易いか?
3セルにして「これ4セル?」と言わしめたモーター。
電気喰い?関係ない。

バッテリーは多少くたびれているが、手持ちの改造4セルがある。
スポンジタイヤは今日ブチルミディアムを作った。
で、ターボ。基板を作り替える事になる。4セル対応にするため制御系と駆動系を分ける必要があるからだ。
そうしないとメイン基板が危うい。
たーつ電装に倣ってダイオード2個で電圧を落として制御系に入れる。
駆動系にはダイレクトに4.8V入れる。
FRP/Tバーはどうするか?そんな事は走らせてから対処すれば良い。
果たして4.8Vをかけると、どの位回るのだろうか?今は誰も知らない。

第十章 ちょっと道草、そして

突然ではあるが、私の所属する会社は、とある町の産業機器メーカーである。
モーターを動力とする機械を作るメーカーである。
だが、DCではない。ACが主体である。
しかし、モーターを制御するのはDCなので、「交直両用」である。
過去に玩具系の回路も扱っているというマルチな会社なのである。

そんな会社なので、あれこれやりたい事に出くわすとすぐさま解決してくれる助っ人がいるのだ。
そう、私の隣にいるY部長なのである。
今までヨンサンの改造を助けてくれた恩人なのだ。
「進角付けたら電気喰いにならない?」 
「いや、そんな筈ない。回転が上がるとどこかでメカロスが出るから喰うんだろ?」
「線径どの位にしたらちょうど良いかな?」
 「断面積で1.5倍が限度でしょ?いいとこ3割増し、うーん0.14位かな?あんまり太くするとターン数稼げないし、バカ喰いになるでしょ。」
「ブレーキ回路どうすれば良い?」
 「モーターから信号取ってみようか。NPN使って1段反転かけて2段目でLEDドライブすれば.....。ほら、あとは好みで時定数調整してね。」

こんな按配である。最近では、
「μPD16805をたーつぁんはダブルで使ってるんだって。チャージポンプ用のCを共用にしたらちゃんと作動するかな?」 
「チャージポンプの制御に発振回路入ってるはずだから、そこは独立にしないと相互干渉して本来の性能が出ない可能性がある。」
 「ナルホド。」
即座の回答で非常にタイムロスが少ないのだ。

まあ、私も電気が嫌いではない。本来は機械設計要員なのだが、過去に回路図1枚からオーディオアンプ(SE400)を手作りした事がある。
私が秋葉原に行く、という事はホビーショップではなく、ジャンク屋かパーツ屋巡りなのだ。
中でも秋月電子は良い。
私は充電器、放電器、回転計、安定化電源回路、スイッチング電源、赤外線センサー等など、ことごとく秋月で調達している。
前章できっちり方向は決まったので、4セル対応のちゃんとした充電器を作る事にした。

掲示板に一度書いたあの長たらしい名前の充電器KITである。製作は今回で4回目。
ちまたのホビーショップで売っているようなパルス駆動ではなく、定電流のごくオーソドックスなやつだ。
電力は電圧と電流の積である。パルス駆動のようにガツンガツン充電するのは小容量のバッテリーには似合わないような気がするので定電流で大人しくチャージしたいのだ。

基本構想は、3セル4セル対応。電流値は120mAと700mAの2本立て。
そう、ミニッツにも使用できるようにする。
レディーメードはセル数自動認識だが、こちらは選択式。
別に自分で分かっているから問題ない。
たった1300円で-儼充電器が出来てしまう方が偉い。
-儼を外してしまった時のタイマーは90minに設定。安全設計で行く。
基板に部品はあらかた載せた。あとは充電電流設定用のRを買ってくれば一応完成する。

さて、とΦ0.14/87ターンを回してみるとするか。
3.6Vに調整してある安定化電源をモーターに繋ぎ、間に電流計を入れる。
回転計をONしてスタンバイ。
ベアリングにしたお陰で、とても静か。
200+mA程度ならさほど喰っているわけではない。ターボが頼りなのは言う迄もないが。
回転は、と .....19300rpm出た。大王の2万超rpmには残念ながら及ばないが、これは意識的。
進角の付け方が違う。これで4.8Vかけたらと思うと.....。


第十一章 ターボ

まずまずのモーターが出来上がったところで次はターボ。
たーつぁんに伝授してもらったテクノロジーである。
このモータードライバはFETだけあってトランジスタのノーマルより流せる感じ。
お陰でチューンドモーターでもキッチリ回せる。

さて、私は不器用なので、たーつぁんみたいに空中配線ができない。
仕方なく基板を起こしているのである。
出来具合は職人の部屋に飛んでいただければ映像が載っている。
最近秋月でチップコンデンサを購入したのでこれを機にもう1枚作った。
「あさばあ号」用なのだが、この組み合わせだと4セル以外は大王と大差が無いのでつまらない。
シャシーの肉抜きをしながらふと思いついた。
両面基板を使ってモータードライバを表裏に貼ったら面白い。
ツインターボ!よし、これで行こう。

両面基板の表裏に版下を貼り付け感光、現像、エッチング。30分であっさり出来てしまった。
μPD16805は基板実装用なので通常穴あけは必要ないのだが、今回は表と裏を電気的に接合する必要がある。
電源、信号、モーター用は共用なので、穴を開けてスズメッキ線を通した後ハンダ付けする。
次に裏用モータードライバの足を反対に曲げ直す。裏用は基板からぶら下がるからである。
Y部長のアドバイスに従って、チャージポンプ用のコンデンサは表裏独立にした。
(何で表裏なんて言い方するのだろう?両A面ではないか?)
まあいいか。とにかくツインターボは完成した。

早速シャシーを仮組みし、メイン基板にターボを載せてボディを被せてみた。
R34のクリアボディで屋根にドンピシャ状態。
当たるわこりゃ。さーてどうしたものか?

積めることは分かったがちょっと窮屈。
「他に何か良い手は無いものかなあ?」
うっかりY部長の横で呟いてしまった。
「フレキシブル使ったら?貼り合わせでどう?」そう来たか!
もう一度エッチングである。基材は0.05mm程のポリイミド。耐熱樹脂テープと同じ材質。
薄い。これは2枚貼り合わせてもヘロヘロで使い物にならない。
0.5mmのFRPに瞬着で貼り付けた。
両面基板の時と同じように上下を接合する為、穴を開けないといけない。
基板の穴あけ用ドリルをそっと下ろした。
通った、と思ってすかさずドリルを上げ、基板の反対側を見た。
うわ!銃弾が当たった時の入口と出口の違いそのまま。
出口が無残にめくれている。
そのうち気が向いたら作るとしよう。
とりあえず一つは出来たし。
シャシーの肉抜きを再開しながら、そう思った。


第十二章 組み立て開始

部品も揃ったので、いよいよ組み立てを始める。
と言っても組み立てるのは全部外してしまったコードのハンダ付けからである。
コード、私のマシンは見栄もあって0.3sqのシリコンコードを奢ってある。
ノーマルではちょっと頼り無いが、かと言ってあまり太いと重くなる。
信号系にはノーマルをそのまま使い、動力系は今回0.12sqを買って来た。
線径はノーマルと同じだが、本数が7本通っている。(ノーマルは5本)
業界用語的に言うと「コンマイチニスケ」となる。
コードの断面積を言っているのだ。
通常コストを意識しながら部品選定を行う際、コードも当然対象となる。
回路の消費電流に合わせて線材も選定するのだが、0.1sq当たり1Aが目安。
勿論多少余裕は見るが、事ヨンサンに関して言えば充電時の800mAが最大。
然るに0.12sqで足りる(筈)。
余談になるが、電気街にコードを買いに行った時、
「コードください。」
「何スケ?」
と聞かれてしばし戸惑ったりしようものなら店員にまともな扱いをされない。
嫌なとこだね、秋葉原って。

長さもきっちり決めたいところ。ぎりぎりでも断線の原因になるが、不必要に長くする事もない。
色も10色あるので、オリジナルと同じ色使いで行く。
部品を定位置にセットし、1本1本長さを決めながらハンダ付けしていく。
先にシャシー内部から始めて、外出しは少し余裕をみておく。
中が出来たら一度メイン、アッパーを仮組みして外出しコードの長さを決める。
例のポテンショ、日本橋にあったので即購入した。
ちゃんとガタ対策がしてある。やるな、エポックさん。
これならステア系もすんなり組める。
直進性に関してはロールアウトしてからチェックする。
多分プッシュどアンダーだろうなあ。
誤配線が無いか5回チェックする。
シャレではない。
自分では間違ってないつもりでも間違えるのである。
何度も確認したほうが良い。

さあて、本組みは次回かあー。


第十三章 いきなり完成

線材に0.12sqを使おう、などと解ったような事を言っておきながら、いざ作業を始めると見てくれが悪い。
とにかく「ショボイ」のである。
これは納得できない。すぐさまシリコンコードを引き出しから取り出した。
バッテリーからモータードライバまでは、全てシリコンコードを使う。
制御関係の配線のみ「ショボイ」線材とした。

で、やってしまった。誤配線。
配線を完了し、シェイクダウンのため純正充電器で1分充電しスイッチON。
スロットルをゆっくり開けると.....。
タイヤが逆回転する。
「やっちまった!」
モータードライバの配線が逆だ。
一度メイン基板に入る配線を全部外してメイン基板をシャシーから外し、ノーマルモータードライバにハンダこてを突っ込む。
やれやれ、自分でミスっていたらシャレにならん。

さあて、今度は大丈夫。再度スイッチON。スロットル、ステアともにO.K.。
テスターを当てるとかなりビビルが、とりあえずメイン基板にバッテリーより1V低い電圧が出る事を確認。
(バッテリーがヘタリ気味のため、5.5Vしか出でいない。何回か充放電を繰り返してから再度チェックしよう)
いよいよ、4セルフルスロットルでのモーターチェック。
手持ちのテスターのインピーダンスが高いので、テスターを当てるとマシンが誤作動してしまい電流値の測定はお預け。
では、回転は?ギアボックスに組み込んであるので、タイヤで回転数を計測する。
たーつぁん流に行くと、ノーマル状態では4100rpm付近。とりあえず5割増の6000rpmに回転計をセットする。
ギヤ比が3.4286:1だから、モーター単体で20000rpmプラスというところ。
タイヤの回転音が静かなのであまり回っていないように感じるが、音質はカン高いのでストロボの発光周期を上げる。
タイヤのサイドウォールに貼り付けたアルミフォイルが次第に1本になる。
さあ、止まった。この時の数字はと.....
8047rpm。モーター単体だと、27600弱回っている事になる。
ノーマルの倍近く回っている。

私の家にはちゃんとしたテストコースは未だ無い。
とりあえず床を雑巾でホコリやら
削りカスやらを拭き取っていざスロットルON!
その場でスピンしてしまった。
かなりゆっくりと開けたつもりでもスゥッとリアが流れる。くるくる回っているうちにいきなりストップ。
あっという間の電池切れである。
次は、タイマーが切れるまで充電してやるが、2分と持たない。
ツインターボのせいでフルスロットルにした瞬間電圧が落ちると見た。
やはり、充電器を早急に作る必要がある。
いや、バッテリーも新品を調達したいところだ。

しかし、テストする場所は....無い。


第十四章 4セルの罠

何度も言うが、私は秋月ファンである。
充電器も放電器も秋月のKITで済ませている。
今回、バッテリーの持ちが悪いのでいろいろ調べているうちに、どうも追加したバッテリーに原因があるのではないかと思い当たった。

4セルマシンは急造で仕上げた為手持ちの中古バッテリーを改造した訳だが、その時電池の残量を確認せずに組んでしまったのだ。
追加した1本が他の3本と残量が合っていないと、足を引っ張る格好になる。
下手をすると、過充電、又は過放電状態となり死んでしまう。
充電直後の電圧が低かったのはその為かも知れない。

しかし、今一度ばらすのも億劫なので、「あさばあ号」に最初から載っていたバッテリーを新たに4セルに改造する事にした。追加する1本は私の手持ちを使う。
今度は、ちゃんと追加するセルを充放電して按配を見る事にした。

ここで役立つのが秋月の充電器なのだ。
ちゃんと1セルから設定できるので、ケースに入れるばかりになっている基板をちょっといじって1セル/3セル用に設定し直した。
充電電流は、テストの時に120mA出る事を確認してある。1Cで行く。
試しに電圧を測定してみると「あさばあ号」用3セルは3.9V、追加する1セルは1.21V。
このまま組むと、やはりばらつく。

先ずは1本から充電したのだが、15分もすると1.5Vに達してしまった。
残っていたのかな?と思いつつ放電器に繋ぐ。
こちらは2C放電に設定してある。実際の使用では300mA以上消費しているので問題ない筈。
さてスタート、と思いきやスイッチを入れてもすぐに切れてしまう。
負荷をかけた途端に電圧が落ちてしまうのだ。ちょっと可哀相だが、スイッチを入れっぱなしにしてどの位電流を流せるのか見てみる事にした。
なる程150mAしか流していない。
ずっと使ってないバッテリーだったので、未だ起きていないのか、それともへたってしまったのか?
これは何回か充放電を繰り返してみるしか手がない。元気になってくれると良いのだが、そうなった場合、充放電の1セットで2時間半かかる計算。ヒマかかりそう。

次は3セル。こちらは先に放電してみる。
ちゃんと250mA流している。終止電圧の3Vに達したところで強制的に放電を終了し、暫しの後充電開始。
しかし、1時間も経たないうちに4.6Vに到達してしまった。こちらも少しタレている。
まあ、元々が中古再生計画なのだから、どこまで復活するかも試したい気持ちがある。
あと数回充放電を繰り返してそこそこ息を吹き返したら4セルに合体するとしよう。

そう、言い忘れた事がある。ヨンサン搭載のニッケル水素は、ばらした部分のタブ(電池を繋いでいるタブの事です)にハンダが乗らないのである。
何故か私はステンレス用フラックスを持っているので、何とか予備ハンダをする事が出来た。
「普通にやるとハンダが乗らない」事が判明した時は結構焦ったが、今回は経験済みなので作業はいたって簡単に済む。
さあてと、充電、充電。


第十五章 悪戦苦闘

まだバッテリーと格闘している。
今や3本の3セルと2本の1セルをとっかえひっかえ充放電しながらデータを取っている。
そのうちの3セル1本はなけなしの新品。
どのようなデータか?と言うと、

1)ピークが出るまでの時間
2)ピークが出た時の電圧
3)1V/セルまで放電した時の電流値の変化
4)放電時間

ずーっとテスターと睨めっこである。データをコンピュータに送信できる測定器が欲しいとマジ思っている。

さて、新品の3セルは70分で充電終了。きっちり1.57V/セル位でピーク。
しかし2C放電で15分が限度。あまり入らない。まだ元に戻っていないと思われる。
中古は60分で終了。ただし1.68V/セルまで上昇する。
放電時間は12分。
ただ、充放電の回数が増えるに従って、充放電時間が延びる傾向なので、これは使えそう。
ところが、ばらした1本が最悪。
放電時の電流値がめちゃくちゃなのだ。
2C(240mA)程度なら何でもないと思ったのだが、200mAも保持できない。
終止電圧時は、120mAしか流れてない。
完全にへたっている。

ここまで来て一計を案じた。そう、放電器の改造である。
放電電流を連続可変できるようにしてみた。他のバッテリーがどこまで流せるか試すのである。
設定電流は0.1A〜1.5A。まさかとは思ったが、試してみて驚いた。
ほんの短時間なら1A出るのだ。流石にそれ以上となると、いきなり終止電圧となりオートカットされてしまう。
3Cは行けるバッテリーのようだ。
以上を基準にバッテリー選定を行う。結局もう1本ばらす事になりそう。
気分転換にダメ4セルが載っている「あさばあ号」を1C充電してパンチカーペットの上で走らせた。
2.5Mの直線があっと言う間。久し振りにモーターの悲鳴を聞いた。

ところがあっさり5分でストップ。これはおかしい。
いくらダメとは言え、70分入れたのだ。
電圧を下げる為に入れたダイオードが予想以上に利いているのか、それともチューンドモーターに電気を食われているのか?
こちらもチェックしなければならない。
早急にバッテリーを交換し、走行時間をチェックする事にする。
なかなか最終回にならないじゃないか!

最終章 お疲れ様でした

やっと最終回です。
ここまで付き合ってくださいました皆様、お疲れ様でした。
バッテリーも「あさばあ号」に最初から搭載の1本と手持ちの1本でニコイチを新たに作り、一気に完成となりました。
走行時間が極端に短かった原因は制御回路に保護として入れたダイオードのようでした。
電源電圧マイナス1V程度で、と当初目論んでいたのですが、どうも足りないようで、最終的にはショットキーダイオード2本でマイナス0.6Vとしました。
今後の実地テストはあさばあにバトンタッチする事となりますが、トラブルが出た時にでも対処する事にします。
さて、「あさばあ号」のスペックと動力性能に移ります。

シャシー重量  約73g
サイズ      タテ、ヨコ変わらず、高さのみプラス5mm
ホイールベース 62.5mm
モーター     Φ0.14x87ターン 進角約10°
4セル (4.8V)
ツインターボ (NECμPD16805x2)
動力系配線材をシリコンコードに変更
スポンジタイヤ 前AYK ハード
          後タミヤ ブチルスポンジミディアム
シャシー     リアTバーt0.8カーボン材に変更
          バッテリーマウント修正、肉抜き
          アッパー肉抜き

動力性能
0〜3m加速  1.24sec(パンチカーペット)
          (トミー製デジタルラップカウンター使用)
          (3回計測平均値   best 1.20sec)

と、まあ以上のようなものとなりました。
これだけ余計なものを搭載して7g程度の重量増加で済んだので、加速は目覚しいものがあります。

スタンディングスタートではホイールスピンが断続的に起こり、明らかにサスアームが剛性不足の様相を呈していましたので、最終的にはカーボンアームにしてみました。
少しはマシかな程度。

ノーマルでは3mで概ね最高速の域になりますが、こちらは未だ加速の真っ最中!
以前あさばあの協力を得て日本橋で同じように0〜3m加速をテストしましたが、日本橋はころがり抵抗の少ない壁紙路面ですので、知る者にとって0.2秒の違いはかなりの差が生じると直感できると思います。

但し、操縦性に関しては「やはり」プッシュアンダーが強いので、路面に合わせたタイヤチョイスが必要になると思います。
出せる速度レンジが広がった分、どこに重きを置くかでセットの方法論も変わってくるでしょうし。

今回「あさばあ号」を改造していく上で、公開していないトライも実は数箇所あります。
こちらは追々紹介していこうかな、と思っています。

それでは次の機会にまたお会いしましょう。

あさばあ号
 

 

あとがき

あさばあに
「あとがきは無いんですか?」
と聞かれて、そんなもの考えて無かった、とも言えず、
「ああ、そうだね、ちょっと待ってね。」
などと適当な返事をしつつ、何も考えていなかったらあっと言う間に時が経ってしまい、再生記が終わってしまいました。
これは、まずい。早く書かねば、と今せっせと書いている次第です。

先日、ふと思い立ってノーマルのSPEC2でゼロサンをやってみました。
やはり同じ条件で「あさばあ号」と比較したくなったのです。
結果は平均1.68秒。ベストは1.67秒でした。
たった3mで0.4秒以上の差をつけました。
「あさばあ号」は速いです。速すぎて操れません。
癖もあります。
でも、あさばあと相談の結果、このマシンを「広報用」として遠征の際に持参して相手の方に操縦してもらう事にしました。

今回、再生記の掲載にあたっての私の一番の目的は、ヨンサンという馴染みの薄い枠の中で、どこまで楽しめるか?
また、レースに参加した人達がどんな事をやっていたか?
をより多くの方に知ってもらう事でした。
それともう一つ、マシンにばかり気を取られていた私に鉄槌を食らわした「あさばあ」。
「弘法筆を選ばず」の諺を地で行く「名人」。
マシンを磨く前に腕を磨かなくては、と教えてくれました。

人が集まると思いもよらないものを見る事ができます。
また、それがヒントになって自分ならこうする、といった新しい目標が出来ます。

思えば私をヨンサンに無理やり(?)引きずり込んだ親友の「大王」、スクエアで出会った「あさばあ」、そして「たーつぁん」。
彼女同伴の「あつしくん」や子連れ「ラウダさん」など、多くの出会いのほうが、私にとって貴重な経験となりました。
そんな場を提供してくれたエポックさんに感謝しています。

最後に、4ヶ月に亘ってお付き合いしてくださいました読者の方々に、この場を借りてお礼を申し上げます。
どうもありがとう。
                                                            2002年3月
                                                          10バンドおやじ

このコラムのご意見ご感想をお待ちしています。


中古SPEC2再生記は毎週金曜更新で2001年12月8日〜2002年3月22日まで連載されました。
約4ヶ月の間お付き合いいただきありがとうございました。
10バンドおやじさんお疲れ様でした。心より感謝いたします。

 RTペガサス管理人 麻婆(あさばあ)


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