天才と謎の存在、7


<我が家のじゃがバター>

我が家で育ったじゃがいも
キタアカリ達
春の光をいっぱい浴びたせいか
ほとんど肥料もやっていないのに
小ぶりだがつるつるで
部屋の暖かい灯りの下で
籐のバスケットに山盛り
乗かっている。



あんたらトマトやないの
ええやないのポテトとは兄弟なんやから
堅いこといいなやみんなナス科やで


ああそうかジャガイモの画像ないんや (ニヤニヤ)

ーーーーーーーーーー
芋です。芋です。芋です。芋です。
ーーーーーーーーーー

<注文の多い料理人>

つるつるのジャガイモ君達
さあ集まってくれたまえ

ーーーーーーーーーー
ハーイ、(芋)。「芋」。<芋>。|芋|。"芋"。です。

ーーーーーーーーーー

さっそくじゃがいも君達はキッチン(笑)
という狭い部屋に通された
そこには亭主からのじゃがいも君達に
細やかに書かれた注文紙が置かれていた。

一、じゃがいも君達、水風呂に入って
もっと美しくなろうじゃあないか。

二、横に置いてあるものは石鹸(バター)です
気にしないでください。

三、次に粉石鹸(三温糖)とボディシャンプー(本みりん)
で体をお洗いください。

四、チューブに入った黒い液体はは丸大豆シャンプー
です、大匙二杯程度お使いください。

少し黒くなりますがそれは日焼けサロン
を利用したとお思いください。

最後に刻みネギを全身にパックして
お皿でゴロゴロゴロお休みください。



みなさん6月のプールって必要ないとおもいません ?

フライパン風呂は冷たい。

芋たちは口々に不平をくちにした。
それは思い出話のようだった。

なんでプール開きはまだ水の冷たい6月なの

だいたいプールに入る前にあのピリピリ冷たい
シャワーを浴びなければいけないんだ。
あれで一瞬心臓が止まりそうになるんだ。

それでプルプル震えながら走り抜けて見る
冷たそうな広大な水を見ただけで
これは悪魔の仕業だと思ってしまう。

そして体育やプールの時間になるとやたら
元気になる奴がいる。
いつの間にか後ろにいて急に水をかけてくる
悪柿
いつもは宿題忘れて休み時間に階段で
プリント写させてもらっているくせに。

椅子に腰かけようとするとさっと椅子を引き
相手がずっこけるのを見て笑っている唐辛子

千両ナスが机の間を通ろうとするとさっと
足を出すボケナス
株間60cmのパーソナルスペースを守るなんて上品な
ナスなどいない。
所かまわず割り込んでくる雑草みたいな奴ばかり


それに俺に続けと言わんばかりの新任の
ムキムキ男性ボンレスハム教師。

ひまわりに向き合う太陽気取りで
俺がいる限りクラスになんの問題も起こらない
という自信満々の風格だった。
子芋達が帰るとどこを向いていいのか分からず
校長(月)の顔色ばかり窺っている

そして得意なプールの時間になれば
誰も頼んでないのにバシャッと大きな音をたて
プールに飛び込んで

大音をたてて着水するのはへたな証拠よ

バシャバシャと対岸まで泳いで、振り向き
俺に続けとばかりに、はいっ、前列から順番に
こちらに泳いできてくださいだと。

アシカショーの始まり始まり

犬かきで泳いでいたら、後ろから悪柿の
奴らがクロールでどんどん追い抜かしていって
プールサイドにピョコタンピョコタンと駆け上がっていく



--potato A -- COME ON !

the potato A said

「犬かきはほんとうに疲れる」
あと少しのところで沈没が始まった。
昔の芋鉢学校のプールは本当に深かった。

子芋の背が低いからやないの
デパ地下アイドルが言うか

それを腰に手をかけ飛び込み台で見ていた
ムキムキ新任教師は高い所から手をメガホン
にして「頑張れー」
って叫んでるだけ。

それを合図にか女子達は溺れかけている
こちらを見向きもせず
両手の平を胸の前で結んで
ムキムキ新任男性教師のほうをみている
どっち見てんだ。


たまにこちら向いて頑張ってーっていってくれてる子がいるが
頑張ってなんとかなるものではない。
急速潜航のサブマリンみたいなもんだ。

這う這うの体でプールサイドに手をかけ
上がろうとするがもう力がない。

その時になってやっとムキムキ新任教師がプールに入り
(ギリギリまで見てたのは寒かったからじゃないの)
後ろから水泳パンツをつかみ浮かせようと
しているが芋の子の手はこんな所から早く逃げだしたいと
プールサイドを必死で掴み
ほふく前進しようとしている。
もう体育は2でいいからこんな拷問止めてくれと思っていた

この力学的状況で次に想定される出来事を
考えてみてください。

プールに子芋の小桃がどんぶらこと大衆の面前に
さらされたのですか ?
naked pose ? いやこんなところで
そんなこと言っちゃあだめですね

それとも

「NO,no,no,no,no」
「Don't worry,  I’m wearing !
Pants ! 」

辛うじて子芋の尊厳は守られた

そしてムキムキ新任教師は言った
「やればできるじゃないか」
はぁ ?

と、その時 !

何かに気付いたムキムキ新任教師は振り返り
まだプールサイドに上がりきらない子芋を
放置した。あっああブクブクブク

泳げない河童顔の子
水が嫌いですぐパニックを起こす、まんまる目の猫女
冷たい水中ではすぐに唇が紫色になる紫式部
泳ごうとしないマンボウ
いつも鼻水を袖口で拭くのでそこが
テカテカになっているテカオ 達を助けに行った。
まるで海難訓練の有り様だ。

陸に上がって子芋は考えた。

子芋に青春ドラマはいらない
人から取り残される
もの悲しさと安心して息ができる大地と
暖かい太陽があればいい。
そしてなによりほっておいてほしい。

子芋は膝を抱えて 顔を伏せ
なぜか自分の息を聴いていた。



いよいよ私の出番か

あっアドラーさん、そう言えばアドラーさんは
幼少の頃より大変なハンディを背負って
生きて来られたのですよね。

幼少の頃は背中が曲がるくる病に侵され
肺炎やその他、体の弱い人がよくなる命にかかわる
病気に侵されながらもそれでも母親は
過保護にならず元気過ぎる仲間と一緒に野原で
遊ばせていましたね。

<アドラーの劣等感>
アドラー少年はくやしかったでしょうね
同じ年ごろなのにほかの仲間は背が高く
走り回っても、大食いしても病気一つしない。
背中も曲がっていない。(器官劣等性)

自分は彼らより劣っているんだ(比較劣等感)

<アドラーの補償>
でもアドラーさんの凄いところはそれをてこにして
自分のこのていたらくなどうしようもない体でも
これからの人生を生き抜いてゆく為に
その劣等性を克服しようとし
仲間と同等に付き合い、
必死に勉強して眼科医になり内科医になりました。
こんな過程を補償といいその意味が後の世に
広く知られることとなりました。


それと呼び方は宮城音弥さんに言わせればアードラーが
ユダヤ人の原語に近い発音でしたね
フロイトさんと同じユダヤ人家庭に産まれ発想が似た
ところもあり、大勢の意見に流されない
屈強な精神の持ち主で、フロイトさんが夢判断を
発表した当時、非難が沸き起こっていましたが
アドラーさんは堂々とフロイトさんを擁護されていましたね。

それが縁でフロイトさんはアドラーさんに
感謝状を送り自らの主宰する水曜心理学協会に
招き入れました。
その時にユングさんもいました。
今の時代の心理学、精神医学や文学、
美術、宗教学、文化人類学・・・etc
に多大な影響を与えた歴史的瞬間でした。


そんな長くなることより子芋のこと
一つお話くださいな

では、一つだけ
子芋の心の根底にはイルカのようにスイスイ泳ぎ
みんなの喝采と賞賛を得て
先生や親から褒められている理想化された
自分がいるのではないですか。
それが承認欲求の正体です。

そんな承認欲求の虜になると人の自分への評価ばかりが
気になって多くがスイスイ泳いているのに
自分は犬のようにしか泳げないとか比較してしまい、
そんな自分を認められなくなる。
そうして承認欲求が満たされないと自分はダメな人間だ
とか、嫉妬したり、ねたんだり、すねたり、
勉強では負けないとかへんな自惚れに浸ってしまう。

では、一つだけ
辛い劣等意識にさいなまれていた時
子芋は自分の息を聴いていたんですね
これはいいことでした
息は古代よりプシュケーといってその人の魂
そのものです。
子芋は自身の魂の存在を確認していたのです。
今そこにあなたがいるのです。

<あるがまま>
泳げない姿もはずかしい姿も背が低い
ことも地味で人気のない自分も
それは正真正銘自分の魂
の偽りのない姿そのものです。

<自己受容>
そんな負の自分も嫉妬している自分も
劣等感にさいなまれている自分も
悔しく泣きじゃくっている自分も
ああこれもみんな自分なんだと
あるがままに受け入れてあげましょう

<自己肯定感>
一息そして一息深呼吸をすれば
少し楽になりましたね。

もしみんな見ている運動会の競争で
べったになった自分がいるとすると
どうでしょう
恥ずかしくていたたまれない気持ちに
なったりしませんか。
そのとき家に帰って母(父でも)
「ええやん、ええやんそれより怪我せん
かったからそれだけで丸儲けや」
「そやビデオとっといたからまた
来年親戚の集まりで一緒にみよか」

すべって転んで泣きじゃくって
どっか逃げていった。
そのまんまみんな映っている

彼らにとってそこには
そんな大切でかけがえのないあなたが
いるのです。

もしそれが自分が自分に対して
思えるようになればどうでしょう。
すばらしいことではないですか。
私は私でいい
自己肯定感


先生、一つだけじゃなかったですか
アドラー先生もうお時間ですよ
それと2つ目の一つだけは先生の範疇ではないですね。
お帰りには幕の内弁当をご用意しております。



<語り主より>
長らくご清聴ありがとうございました
体調も回復しましたし、また語り始めたいと
思っています。
一度きりの人生、心豊かに生きたいと思っています

しかしなんで苦手な臨床ばかり語っているんだろう
少し得意な他分野も語りたいと
思っています。
奇特な方
またよろしくお付き合いください。


こんなところですが
ありがとうございました

|一つ前へ(あまりにも個人的なページ)| | TOPへ戻る|