SV-98/2-B04(32MB) の実装

はじめに

 今回は、SV-98 用の周辺機器を一般機へ実装してみよう、ということでディスクアレイカードを実装してみました。ここでは実装手順のみ書いておくことにしますので、ボードの素性や性質に関してはこちらをご覧下さい。


改造に必要な材料

 この改造には、以下の材料が必要です。
 なお、ケーブルや放熱用機器の類は、必要に応じて別途用意してください。


ハードディスク側の設定

 さて、当方が使用したのは ST39102LW ということで LVD 対応のハードディスクです。ここで気になるのは LVD 用のハードディスクなので、通常の SCSI カードでも使えるか、ということになると思いますが、問題なく使用できるようです。また、強制的に Single Ended にするためのジャンパもありますので、不安な場合は設定するとよいでしょう。あとは、通常の増設時と同様に ID が重ならないように設定します。とりあえず今回は ID を 0,1,2 と設定しました。


アレイカード側の設定

 この SV-98/2-B04 には、72PIN の SIMM が搭載されています。工場出荷時には 4MB の「ファーストページのパリティあり」のものが搭載されていますが、これは転送時のバッファに使用されるため、この SIMM の容量を増やすことにより、さらなる高速化が望めます。ただし、アクセススピードは 60ns のものを用意してください。なお、増設できる最大容量は 32MB です。

 続いて、カードを本体に実装しますが、このカードはサイズがフルサイズのため、実装に少し手間取るかもしれません。また、本体の LED ケーブルを改造しておくと、ディスクアレイのアクセスに合わせて本体前面のアクセスランプを光らせることが可能になります。これは通常の AHA-2940 系を実装する際にも使えますので、SCSI で統一したい方は改造しておくことをお勧めします。


アレイカードとハードディスクの接続

 アレイカード上には 68PIN(WIDE) の内蔵用のコネクタが2つありますが、どちらを使っても大丈夫なはずです。ただ、2チャネルともハードディスクを実装すると、転送速度が落ちるらしいので、注意してください。

 また、発熱が激しいハードディスクを使用する場合には、本体内に放熱用の FAN を増設する必要があります。今回はファイルベイの最下段の後ろ側のネジ穴を使用して FAN 固定用の金具を実装しました。また、FAN は 12v で駆動する 8cm のものを使い、CPU 冷却用 FAN が使用する電源コネクタを流用すると、電源を取る場所を悩まなくて済みます。

 さらに、ハードディスクベイの前面に、40ミリ角で厚さ10ミリの FAN を2つずつ実装(ハードディスクベイは2ベイ使用していますので、FAN は合計で4つ実装)しました。これらの FAN は、ハードディスクプレート(部品名では FD プレート)の横にある穴にインシュロックを使用して固定しています。

 とはいえ、PC-9821 Xv 系はお世辞にも本体内部が広いというわけではないので、今回のような FAN の実装方法を使用しても、充分な風量が当てられるかは微妙な状況です。これは実装する方に適当な方法を考えていただくのが適当でしょう。


ディスクアレイの構築

 ここまで終了したら、今度は添付のディスクアレイコンフィグレーションディスクを使用して、ディスクアレイを構築します。手順は以下の通りです。
  1. 複数のハードディスクを1台のハードディスクとみなすために『パックの定義』を行います。

  2. 『パックの変更』から『システムドライブの定義』に移り、1台の巨大なディスクアレイを何台の仮想的なアレイユニットに分割するかを設定します。なお RAID レベルや、書き込み方法をライトバックにするか、ライトスルーにするかはここで設定します。

  3. 分割が終了したら、『システムドライブの初期化』を実行します。この初期化はいわゆるフォーマットとは違い、アレイカードが個々の分割領域を認識し、並列処理できるようにするためのものです。なお、ここでは一度に複数の領域を並列で初期化することが可能です。

  4. 『システムドライブの初期化』が終了したら、今まで設定した内容をカード上の NVRAM とコンフィグレーションディスクに保存します。

  5. 本体を再起動し、MS-DOS を立ち上げ、FORMAT.EXE で通常のハードディスクと同様に各領域を初期化します。
 以上でディスクアレイの構築は終了です。あとは使用する OS をインストールするだけですが、書き込み方法をライトバックに設定した場合、使用する OS によっては電源を切るタイミングに注意する必要があります。


おわりに

 このカードのクロックアップ耐性について書いておくと、カード無改造の状態でベースクロック 78MHz 程度であれば正常に動作しています。また、カード上には 50MHz のオシレータが実装されていますので、これを交換すればさらに高速化できるものと思われます。

 また、本カードを用いてディスクアレイを構築すると、ハードディスクの起動メニューには「ディスクアレイ #1」などという妖しげな表記が出るようになります。また、AHA-2940 系と SV-98/2-B04 を併用する場合には、AHA-2940 側に接続するデバイスの ID を 0 から連続させておく必要があります。

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