kinokologo2.pngのあらすじ(笑)


共和国崩壊

「コケール出てこいーっ!」
「裏切り者コケールを捕まえろーっ!」
共和国の首都カナンの街に怒号が響きわたった。
一部の強硬派が共和国政府庁舎に押しかけたのである。
戦争の回避と帝国との共存を模索するコケールに対し、あくまで共和国の自立を主張し帝国に徹底抗戦を訴える一派である。
帝国きっての策略家エノキンは彼等に目をつけ、密かに密偵たちを共和国に派遣した。
そして、その策略にまんまとのせられた強硬派は政府庁舎を襲撃し、議会の解散と政権の掌握を宣言したのである。
彼らは帝国との徹底抗戦を国民に呼び掛けると同時に、政府の要人たちを帝国に内通する者と決め付け、逮捕命令を出した。
そしてついにコケールは彼らの手に落ち、帝国への内通者の濡衣をきせられ反逆罪の罪で処刑されたのである。
エノキンの手による情報操作は共和国に想像以上の混乱をひきおこしたのである。
もともと多数の種族が集まって形成された共和国はコケールという存在があってこそまとまっていたと言える。
そのコケール亡き今となっては、もはや共和国には各種族をまとめていく力は皆無といっても過言ではなかった。
そして、強硬派の追求の手が政府要人に及ぼうとした寸前、危険を察知したスギ・コケールの師匠カ・フンショウは首都カナンの放棄を決意し、僅かな腹心と、まだ幼いコケールの息子エミールを連れて共和国を脱出したのだった。
この事件により共和国の結束は崩壊し各々の種族は再び散り散りになってしまった。
こうして強引に共和国の実権を握った強硬派であったが、その勢力はすでに帝国に対抗しうるものとは言えなかった。
一時の勝利に酔いしれた強硬派であったが、その喜びが恐怖に凍り付くまでさほど時間はかからなかった。
混乱に乗じた帝国軍は一気に共和国に攻め入り首都カナンを占領したのであった。
そのころ首都を捨て各地へ散っていった共和国の要人の多くは地下に潜伏したのだった。
スギ・コケールの師匠カ・フンショウもまた辺境の大森林地帯の中にある貧しい小さな村へと身を寄せ、打倒帝国を誓いチャンスを伺うのであった。
そしてコケールの息子エミールは幼いながらも朧げに自分の運命を予感しはじめていた。
しかし勝利に沸き立つ帝国にも誤算があった。
東部戦線方面で最強と歌われた、突撃隊隊長ベニテングの失踪である。
権謀術数を巡らせるエノキンの作戦を無視し独自の行動をとっていたベニテング部隊は、共和国残党の抵抗が最も激しかった東部戦線で消息を絶ったのであった。
エノキンは、ベニテングの度重なる命令無視に懲罰隊を差し向けたが、懲罰隊が到着したころには戦闘はすでに終結しており無数の屍があるだけでベニテング部隊の姿はすでに戦場には無く、彼等の生死さえも確認できなかった。
報告を受けたエノキンは密偵たちにベニテング部隊の生死確認を命じた。
「まさか、あの事に気付かれたのか? いずれにしろベニテングはもう用済みじゃがの」
一抹の不安を感じながらもエノキンは再び自室に閉じこもり次の策略を錬り始めるのだった。


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